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@IT > 企業戦略ツールとしてのWebサイトの活用・運用法 > 第5回 |
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企画:@IT営業企画局 制作:@IT編集局 掲載内容有効期限2002/10/27 |
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今回は、株式会社JALUXにおけるAURIQ製品導入事例をご紹介する。
さて、JALUXでは、新たな販売チャネルの開拓の一環として、Webサイト上での販売にも1997年ごろから取り組んできた。出発点は、インターネット・ショッピングモールサイト「楽天市場」への出店だったという。そして、2001年4月に独自のECサイトを立ち上げるまでの約3年間は、楽天市場内の一店舗として運営してきた。現在、同社のECサイトを推進するe-ビジネス事業部が設置されたのは、1999年だったそうだが、当事業部を率いる島氏の言葉を借りると、オンライン販売に本腰を入れるに当たり、より自由度の高い自社サイト運営へと切り替えるために、楽天を“卒業”したとのことだ。
「e-ビジネス事業部」が推進するJALUXのECサイトは、同社のWebサイトが、それぞれの特色を生かした商品・サービスを紹介・販売する「ミニ楽天」といった印象の構成になっている。「JALSHOP」とほぼ同様の商品が購入できる「JALUX Shopping」や、「世界の厳選ワイン」「フラワーショップ」「BLUE SKY(全国空港売店おすすめ品)」「リゾッチャ・ショッピング・パラダイス(リゾッチャグッズ)」「MASACO石鹸(バリ島の自然派石鹸)」といった物販系のページに加えて、「保険オンライン契約」「住マイルnavi(高級賃貸・分譲物件情報)」といったサービス系ページ、「jらいふでざいん」のような、JALUXのネットワークを活用し、従来の枠組みにとらわれない新しいライフデザインを提案するページもある。
Webサイトに関する業績については、2001年度は2億円強の売上(ただし、昨年度は4サイトのみの出店)を記録、9サイト(店舗)に増えた今年度は、7億円超の売上を見込んでいるという。これは、「JALSHOP」のような紙媒体を含む通販事業総売上の7%を占める。島部長は、「これを10%以上に上げるのが当面の目標」だという。
ただ、当サイトの売上をさらに伸ばしていくためには、いろいろと苦労があるようだ。島氏、大湊氏は率直に現状を話してくれた。
「現在の9サイトの展開に当たって、BtoC向けビジネスを扱う担当部署に対し、Webでの展開希望を募ったケースもありますし、こちらから口説いたこともあります。ただ、全体としてみれば、部署ごとのインターネットに対するリテラシの高さやモチベーションには大きなばらつきがありました」
JALUXは、かなり早い時期からオンライン販売を開始していたものの、本格的な取り組みを開始してまだ1年が経過したばかりである。そのため、いまだ手探り状態であり、e-ビジネス事業部も、各部署に対して啓蒙活動を継続しているのが実状だ。一方、各部署とも、オンライン販売がどの程度有望なのか、もう1つ見えないというのが本音のようである。そこで、現在は、回線やデータセンタ(IDC)、サーバ費用やサイト全体の企画・運営といった共通費部分は、e-ビジネス事業部がコストセンターとして受け持ち、日々のサイト運営に関わるランニングコストのみ各部署に負担してもらう仕組みを取っている。こうすることで、オンライン販売に、各部署が積極的に関与していけるようにしているのだという。
■専門店ゆえの弊害 ここで島氏は、現状の問題点を教えてくれた。
「出店している各担当部署は、商品知識など、非常に専門性が高いのですが、その弊害として、プロモーションの立案時に、どうしても自分たちの商品の販売を中心に考えがちになるという面がまだあります。例えばワインを買ってくれた顧客に対して、ほかの部署(サイト)で扱っている花をお勧めするといったクロスセルの発想を持つには至ってないわけです」
JALUXというブランドの元で、9サイトが展開しているにも関わらず、それぞれバラバラに運営されてきたのである。部署ごとの独立性が高く、いわゆる「セクショナリズム」が当ECサイト運営にも反映されてしまっているらしい。 ■自社開発のアクセス解析ツールの限界
ところが実際には、そういった顧客行動や気持ちを知るためのデータ解析には相当、苦労したのだという。当初契約していたデータセンターが提供していたログ解析機能は非常に使い勝手が悪いため、わざわざ解析プログラムを自社開発した。しかし、「出来上がったプログラムは、こちらの言ったことは実現してくれてはいたが、使い勝手が良くなっただけで、それ以上のものではなかった」(島部長)。そこで、「マーケティングツールとしての機能の追加」という希望を出して開発費用を聞くと、「数千万円かかります」という答えが返ってきて、半ばあきらめの気持ちを持っていたようだ。
「RTmetrics」を初めて知ったとき、島氏は「やった! これが求めていたツールだ」と思ったという。 そこでJALUXでは、これまでのプログラムに替わるアクセス解析ツールとして、「RTmetrics」の導入を決定した。導入のポイントは次の7点にまとめられる。
●導入の容易さ、コストパフォーマンスの高さ 「RTmetrics」は、スイッチのミラーポートからミラーパケットを取得するだけなので、Webサーバ側にはいっさい手を加えない。この点で極めて導入が容易だ。 そして、取得したいデータもユーザーレベルで任意に設定できる。独自プログラムを用意することに比べれば、開発・メンテナンスともにはるかに安価だ。島氏が“即座”に導入を決めたのもこうした点がポイントだった。
●使いやすさ、リアルタイム解析
「RTmetrics」を実際に操作している大湊氏は、やはり「使いやすさ」に加えて、最新のデータに基づく解析結果が即座に分かる「リアルタイム解析」の機能を高く評価している。これまでのログ解析は、1カ月に1回というのが限界だった。 ところが、現実のサイト運営においては、昨日のサイト状況を今日見たい、というニーズがある。「RTmetrics」の導入に当たって、ほかのさまざまなログ解析ツールも比較検討したが、こうしたニーズに応えることができたのは、「RTmetrics」だけだったという。
●サイト、ドメインごとの顧客行動が分かる
最も知りたかったサイト内の顧客導線(クリックストリーム)が分かるようになったことも、「RTmetrics」導入の大きなポイントだった。 JALUXの各店舗サイトに訪れた顧客が、どのページを見て、どんな商品に興味を持ったのかといった顧客行動が分かれば、各店舗のWebマスターはそれぞれの分野での専門家だけに、顧客に対してさまざまな働きかけを行うことも可能だろう。 「RTmetrics」は9店舗ごとの結果をそれぞれ見ることが簡単にできるため、現在は各店舗のWebマスターが直接「RTmetrics」の画面で各店舗の顧客行動を知ることができるよう、Webマスターが知りたいポイントを吸い上げている段階だそうだ。こうして、個々の店舗のWebマスターが最適な施策を行う助けになるような仕組みを作り上げていくことを考えているという。 またリファラー(参照元)、つまりどのサイトからJALUXの各店舗サイトに来たのかが分かるので、ほかのサイトでのキャンペーンをするならばどんなものが効果的か、また店舗同士で相互キャンペーンを行うのに相性がよい組み合わせはどれかなど、プロモーションの面でも有効活用できそうだ。 ●複数サイト間での顧客行動が分かる、複数サイトの一元管理が可能
9店舗のシナジー効果を高めていくという目的においても、クリックストリーム解析やパス解析が役立つ。
パス解析は、サイトの中でどのような経路を通る訪問者が多いかを集計するもの。「RTmetrics」では、同じネットワーク内であれば、異なるサイト間の相関パス解析ができるため、9店舗間の顧客の流れを把握できる。 こうしたクリックストリーム解析やパス解析を使って、「ワインを買ってくれた顧客に花を勧める」といったクロスセリングにも取り組んでいきたいと大湊氏は言う。9店舗のWebマスターそれぞれが各店舗間の顧客行動の情報を共有することで、クロスセリングに対する意識を育てていきたいというのだ。
この夏はそのさきがけとして、初の9店舗の合同販促施策「JALUX『夏・祭キャンペーン』」を実施した。こうしたサイト全体でのプロモーションなどを通じて、クロスセリングによる売り上げアップに向けて、戦略を練っていきたいという。 このほか、「RTbandwidth」についても、社内システム関連部と連携をとりながら、最適な活用法を模索していこうと検討している。
島氏に今後の抱負を聞いたところ、次のような答えが返ってきた。
「今後は、各部署とのミーティングの際には、こうしたツールの解析結果を議論のベースとして活用することを進めていきたいですね」
「また、『RTmetrics』『RTbandwidth』のような優れたツールをJALUXだけに止まらず、JALグループ全体としての顧客満足度の向上に活用できれば、と考えています」
店舗に来てくれた顧客の行動や思いを、より深く、素早く知りたいという強いニーズを抱えていたJALUX。そうしたニーズに応えることのできる「RTmetrics」を装備したJALUXのECサイトが、今後どのように顧客志向の高いサイトへと進化していくのか、楽しみである。
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