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全国政令指定都市へサービス・エリア拡大 2001/9/25 ブロードバンド・インターネットというと、現時点では、まずCATVインターネットやADSLが挙げられる。特にADSLは、いち早く全国展開が開始されたことや、利用料金が急激に低価格化したことなどにより、一部ではブロードバンドの本命とまで言われている。 しかし、ADSLやCATVを使ったインターネット接続サービスのデータ通信速度は、512kbps〜8Mbps程度である。データ通信速度の標準的な構成としては、上り(ユーザー宅から局側)で512kbps、下り(局側からユーザー宅)で1.6Mbpsといったところだろう。なおADSLサービスに関しては、信号品質の問題から電話局からの距離によって、データ通信速度が変化する。1.5kmを超えると、極端に通信速度が低下し、半分以下の速度になることが知られている。 これに対し、次世代のブロードバンドと注目される、光ファイバをユーザー宅に引き込むFiber To The Home(FTTH)は、双方向で100Mbpsのデータ通信速度を誇り、局からの距離にも関係なく均一なデータ通信速度が実現できるサービスだ。100Mbpsというと、個人が利用できるものとしては、かつてないデータ通信速度を実現したインターネット接続サービスである。この通信速度は、社内LANで主流の100BASE-TXのそれに等しい。 つまり、LANと同じ感覚でインターネットが使えることになるわけだ。DVDビデオのデータ転送レートが5Mbpsから10Mbpsであることを考えると、100MbpsならばDVDビデオが同時に10〜20本は配信できることになる。何より100Mbpsというデータ通信速度は、数年前ならば、たとえ大企業が基幹ネットワークとして導入しようと思っても、おいそれとは導入できないほど高額だったものだ(月額で数千万円もした)。それを個人で利用できるようになるというのだから、隔世の感がある。 基本的なアーキテクチャを踏襲しながらも、性能を劇的に向上させることで、PCの可能性が大きく変化してきたように、同じインターネットであっても、双方向100Mbpsという高速インターネット接続が標準となれば、その可能性はさらに大きく広がることになるだろう。 例えば、遠い昔から次世代のコミュニケーションとして注目されながら、いまなお普及には至っていないビデオ・カンファレンシング(テレビ電話)も、当たり前の存在として地位を築くだろう。また、インターネットを使って、テレビを個人でも「放送」できるようになるし、さらに遠隔医療や通信教育などはこれまで以上に使いやすいものとなるだろう。そしていまでは想像できないような、新しいインターネット・アプリケーションも登場してくるに違いない。
これらは遠い「夢」ではなく、すでに現実のサービスとして提供が開始されている。これが有線ブロードネットワークスの提供する高速インターネット接続サービス「BROAD-GATE 01」である。2001年3月から東京都世田谷区の一部でスタートしたサービスだが、順調にエリアを拡大中だ。2001年9月現在、杉並区、目黒区、大田区の一部でもサービスを展開している。さらに10月からは、政令指定都市の一部でサービスを開始する。その後、県庁所在地の一部にも展開される予定だ。 2001年8月末現在、2014世帯への工事が完了しており、着実にユーザー数を増やしている。この中には、1028棟のマンションなどの集合住宅も含まれており、管理組合などの同意が必要で導入が難しいといわれる集合住宅でも実績が多いことが分かる。有線ブロードネットワークスによれば、集合住宅の場合、そのうちの1世帯からでも申し込みがあれば、光ファイバの敷設を行うとしている。
サービス提供エリア内であれば、申し込みから最短2週間ほどで開通が可能だ。申し込みを行うと、1週間ほどでサービス可能かどうかの診断が行われ、結果が通知される。サービス・エリア内でも、光ファイバが敷設されている電柱とユーザー宅の間に、広い道路や鉄道などがあると引き込みが行えないことがあるそうだが、基本的には1ノード当たり2キロ平方メートルの範囲でサービスを行えるということだ。 引き込みが可能であると分かれば、工事日を決め、光ファイバをユーザー宅へ引き込む。直接、光ファイバを家屋に敷設するための工事は、平均して1〜2時間ほどで完了するようだ。使用する2芯の光ファイバは非常に細い(電話線よりも若干細い程度)ため、宅内へは既存の電話配管やエアコンの配管の隙間を利用して引き込みを行う。そのため、ほとんどの場合は家屋に穴などを開けることなく、引き込みが行える。引き込まれた光ファイバは、宅内の専用モデムによって、100BASE-TXに変換されるので、イーサネットでPCを接続すればよい。 個人向けのサービス「HOME100」の場合は、IPアドレスが1個以上割り当てられ、SOHO向けサービス「OFFICE100」では5個のIPアドレスが割り当てられる。別途サーバ契約を結ぶことにより、自社内にWebサーバを構築する事も可能だ(ただし、DNSサーバはusenのDNSサーバを利用することとなる)。
「BROAD-GATE 01」は、渋谷区表参道のYahoo! Cafeや世田谷区三軒茶屋のcafe J、渋谷QFRONTのブロードバンドカフェ(10月オープン予定)などでも体験することができる。今回は、有線ブロードネットワークスの社内で実際に100Mbpsを体験してみた。社内LANでも利用しているということで、フルに100Mbpsを個人で占有するような条件ではなかったが、それでも普段利用しているADSLサービスに比べて十分に高速だった。いつもは、少し表示が遅いと感じるニュース・サイトも、まるでキャッシュから読み込んだような速度で表示されたのには驚いた。
ADSLと比較しても60倍以上のデータ通信速度を誇る。これだけ違うと、ファイルのダウンロードなど、インターネットを使った日常作業の効率も大きく変わってくるだろう。 このときの条件で、ファイルのダウンロードが6Mbps程度、回線を1人で占有した状態ならば、50Mbpsは余裕で利用可能という。共有した状態でも、ADSLを1人で占有しているときの5倍から6倍(ADSLの平均的な実効データ通信レートが1Mbpsから1.2Mbpsと言われている)、1人で占有した状態ならば40倍以上の速度が出ることになる。SOHOなど数人でインターネット接続を共有する場合でも、劇的な速度向上が達成されるのは間違いないだろう。 また「BROAD-GATE 01」では、ユーザー向けに豊富なコンテンツを用意している(有料のものもある)。ミュージックビデオや映画、カラオケなどに加え、簿記やTOEICなどの資格講座、新規株式公開企業の社長へのインタビュー、ニュースなどのストリーミング・ビデオ番組が用意されている。また、産経新聞のレイアウトをそのままデジタル化して配信する「新聞まるごと“電子配達”(ニュースビュウ)」を購読することも可能だ(朝夕刊で月額1900円)。今後、さらにコンテンツの充実を図り、ビジネス向けの資格講座などを大幅に増やしていく予定だという。
気になる料金は、以下の表のとおり。
初期費用には、ユーザー宅内への光ファイバ敷設までの費用が含まれており、宅内で光ファイバを引き回すといった特別な工事を行わない限り、追加の工事費はかからないという。新築集合住宅向けに、20戸以上の一括加入が行われれば、専用モデム使用料などを含めて2900円という月額料金というプランも開始する予定だ。 月額使用料には、フレッツ・ADSLなどで別途必要となるプロバイダ料金も含まれていることから、ほぼADSL並みの接続料金を実現している。データ通信速度の差を考えると、コストパフォーマンスの差が歴然なのは説明するまでもない。 まだサービス・エリアに含まれていないという理由を除けば、もはやブロードバンド・インターネット接続サービスとして、CATVやADSLを積極的に選択する理由は見あたらなくなってしまった。
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