Loading
|
@IT > 長距離と大容量を両立した無線LAN「WIRELESS BEAM」 |
|
オフィス内に無線LANのアクセスポイントを導入している企業は、もはや珍しくなくなっただろう。一部のホットスポット(公衆無線LAN)サービスでは屋外での無線アクセスを提供しているが、電波の受信範囲やデータの伝送速度は屋内のものと遜色がない。 しかし、今回紹介する原田工業株式会社の「WIRELESS BEAM」シリーズは、2キロ離れた地点の無線アクセスポイント間でハイビジョン映像の中継も可能な50〜60Mbpsの伝送速度を実現する。
無線LAN製品において原田工業の名前を聞いたことがある読者は少数派だろう。同社が無線LAN製品「WIRELESS BEAM」シリーズを市場に投入したのは2004年。しかし、自動車のアンテナメーカーとして50年近い歴史を持ち、その高い品質から国内メーカーだけでなく、著名な欧州メーカーや米国ビッグ3などの海外メーカーにも純正部品として採用されている。 自動車業界の部品の品質に対する要求は極めてシビアだ。なぜならば、部品の欠陥が人の命にかかわる事故へとつながる可能性があるからである。ちなみに、原田工業が持つ高品質なアンテナは、携帯電話やPHSのアンテナにも採用されている。つまり、原田工業という名前を知らなくても、原田工業のアンテナにお世話になっている可能性が高いのだ。 「WIRELESS BEAM」シリーズには、アクセスポイントとなるIEEE 802.11a/b/g対応無線ブロードバンドルータ「WBH-18IXR」のほかに、円偏波のヘリカルアンテナ、直線偏波のパッチアンテナ、屋外用および屋内用のオムニアンテナというオプションアンテナが充実している。特に長距離通信のキモとなってくるアンテナは、一般のアンテナでは使われていない特殊な放射の仕方を実現しており、電波干渉を受けにくく、マルチパスに強い。
「WIRELESS BEAM」の特徴はアンテナの品質だけではない。原田工業が独自に開発した高速転送技術「マルチリンク」によって最大108Mbpsのバルク転送が可能なのだ。 ご存じのように無線LANにおける最大伝送速度はカタログ値の半分も出ればいい方で、実際には最大値の4分の1ということも多い。しかし、2つのチャンネルを2本のアンテナで同時に通信させるマルチリンク方式を利用すれば、6.5キロ離れた地点でも13Mbps、2キロ未満であれば50〜60Mbpsという非常に高速な実効スループットが実現する。
マルチリンクの考え方は非常に簡単だ。送信側の通信処理ソフトにおいて入力されたTCP/IPパケットをデータリンク層のMACフレームに分割していく。一定の重み付けに従ってパケットスケジューラが2つの無線モジュールに分割されたデータを割り振り、2本のアンテナが独立にデータを送信する。分割されたデータは受信側の通信処理ソフトで再統合される。アンテナ1本当たりの無線通信の伝送速度が最大54Mbpsなので、54+54=108Mbpsというわけだ。
受信側で統合されたデータに欠落があれば、TCPの誤り訂正機能によってデータの再送が行われる。また、通信している2本のチャンネルのうち、どちらか片方が欠落したとしても生きている方のチャンネルに自動的に振り分けるフェイルセーフ機能も備えている。 アンテナを複数用意して54Mbpsの伝送速度を100Mbps以上に引き上げる技術にMIMO(2006年1月19日にIEEE 802.11nとしてドラフト案が承認された)が存在する。MIMOの場合はその名のとおり「Multiple Input Multiple Output(複数のアンテナでデータを同時に送信して、複数のアンテナで受信する)」であるが、マルチリンクは2本のアンテナが独立で作動するところに大きな違いがある。原田工業のIT商品企画室長を務める柳川利武氏は「ISDNが64kbpsのチャンネルを23個束ねて1.5Mbpsを実現した考え方がマルチリンク技術のヒントです」と語る。
では、マルチリンク技術を使った高速無線通信がどのようなソリューションをもたらすのかを考えてみよう。 すでに言及したが、長距離でも大容量のデータ通信が可能な帯域を利用して、HDTVクラスの高精細動画の伝送が可能だ。DVD相当のMPEG-2であれば同時に2〜3本の動画ストリームを伝送できる。また、屋外で長距離という点を考えると広い敷地を持つ工場などで監視カメラの映像を本部棟に伝送するのにも役立ちそうだ。
一方、2本の独立した無線通信という特性を生かして、1本をデータ通信用に、もう1本をVoIPなどの音声通信用の帯域に割り当てて、確実性を増すという使い方も考えられる。データと音声を物理的に分けて通信することで音声データの歪みをなくすことができるという利点もある。 2006年2月1日には、アンテナを1本にして価格を抑えた新製品「WBH-14IXR」が発売された。こちらは2キロ離れた地点で30Mbps、4キロ地点で20Mbpsの実効スループットが期待できる製品だ。
提供:原田工業株式会社
企画:アイティメディア営業局 制作:@IT編集部 掲載内容有効期限:2005年3月6日 |
|