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@IT[FYI] 企画:アットマーク・アイティ 営業企画局
制作:デジタル・アドバンテージ
掲載内容有効期限:2004年7月26日

 
  第2回 Microsoft Application Development Conferenceイベントレポート

― 本格化する.NETソリューション・ビジネスの現場 ―

 2004年5月27日、マイクロソフトのソフトウェア開発者向けイベント「第2回 Microsoft Application Development Conference 〜新時代ビジネスアプリケーションのあるべき姿とは〜」が青山にて開催された。このカンファレンスは、Microsoft Application Development Community 2004と呼ばれる開発者コミュニティ・プログラムの一環として開催されたもので、ISVや受託ソフトウェア開発、システム・インテグレータなどを中心に約300名が参加した。

 イベントでは、Microsoft .NETテクノロジを活用したアプリケーションの可能性と、.NETがもたらすビジネス・チャンスについて、先進ビジネス・アプリケーション開発を手がけるオピニオン・リーダーらによるプレゼンテーションや、パネルディスカッションなど、最新事情についての活発な意見交換が行われた。ここでは、イベントでの発表や議論の内容について簡単にまとめる。

  .NETで100億円の売り上げを達成

 午前のパネルディスカッションに先立ち、日本ユニシスの尾島良司氏が「.NETビジネスの将来性」と題し、プレゼンテーションを行った。

.NETビジネスの急成長ぶりを熱く語る日本ユニシス 尾島良司氏

 尾島氏によれば、日本ユニシスでは現在、.NETベースのシステム開発案件が急増中だという。これまでWindowsベース・システムといえば、どちらかというと中小案件が多かったが、最近では大規模案件が増えており、2004年3月期実績では、.NET関連のシステム・サービス受注が約100億円に達したと語った(ハードウェア・システムの費用を除く)。日本ユニシスは、銀行の基幹システムに代表されるミッションクリティカル分野でもWindows+SQL Serverを適用すると決意を語った。

 実績という点ではこれからだが、.NETの最大のメリットは開発生産性の高さにある。尾島氏によれば、日本ユニシスのケースでJ2EE(Java 2 Enterprise Edition)での開発に比べ、.NETなら1〜2割は開発工数を削減できるという。この最大の理由は、アプリケーション・プラットフォームの標準化だ。

Javaアプリケーション環境の推移と.NETアプリケーション環境
Java環境に比較すると、.NETでは標準化されたアプリケーション・プラットフォームが提供されるため、開発生産性が非常に高い。出典:プレゼンテーション資料

 J2SE(Java 2 Standard Editon)のみだった当初は、案件ごとにサーバ製品が変わると勉強し直しだったが、これがJ2EEの提供によってサーブレットやJSP(JavaServer Pages)、EJB(Enterprise Java Beans)などが標準化され、開発は一段容易になった。さらにStrutsなどのフレームワークが提供されたことで、Webアプリケーション開発はもう一段容易になった。.NET Frameworkは、ASP.NETやADO.NETなどのフレームワークまでを含む環境である。つまり、フレームワークまで含めて標準化されているわけで、開発効率が大幅に向上しているとした。

 また、.NET FrameworkはDOA(Data Oriented Approach)に基づくシンプルな実装が貫かれており、「必要以上に夢を追いかけず、現実的な環境になっている」ことも開発生産性向上に貢献しているとのことだ。尾島氏は「.NET Frameworkはけっこう儲かる」と締めくくった。

  経営戦略を提案できるIT開発が重要

 尾島氏のプレゼンテーションを受け、続くパネルディスカッションでは、急速に拡大する.NETソリューションの現状と将来、問題点などについて、@IT代表取締役である藤村厚夫氏がモデレータを務め、パネルディスカッションが行われた。参加者は日本ユニシス 尾島氏とアルゴシステム創研 勝藤彰夫氏、マイクロソフト 安藤浩二氏、@ITでInsider.NETを主宰するデジタルアドバンテージの小川誉久氏の4名。

「新時代アプリケーションのあるべき姿とは!?」と題して開催された午前のパネルディスカッション
Webアプリケーションの問題点とスマート・クライアントの可能性など、次世代アプリケーション開発に対するビジネス面に注目した議論がなされた。写真左からアットマーク・アイティ代表 藤村厚夫氏、日本ユニシス 尾島良司氏、アルゴシステム創研 勝藤彰夫氏、マイクロソフト 安藤浩二氏、デジタルアドバンテージ 小川誉久氏。

 SIerに対する業務システム開発のコンサルティングを手がけるアルゴシステム創研の勝藤氏は、「.NETで短期間で開発できるのは大変魅力的だが、VBベースのクライアント・サーバ・システム全盛期におけるマイクロソフトの開発者支援は、必ずしも業務システム開発者が安心できる内容ではなかった。業務システム開発者が安心して.NETを利用するには、この分野に対してマイクロソフトが確固たる『覚悟』を持って臨むのだという意思表示が必要だ。またVBで簡単にソフトウェアを作れるのはよいが、それが全体的なデザインの軽視につながった側面もあるのでは」と疑問を投げかけた。これに対しマイクロソフトで長らく開発支援製品を担当してきた安藤氏は、「反省すべき点は反省し、顧客重視の姿勢を改めて追求する。VBによるボトムアップ型の安直なソフトウェア開発が通用しない時代になっていることは自分も強く感じている」と応えた。

 @IT主宰の藤村氏は、@ITサイト運営を通じて、.NETだけではない全般的な傾向として、プログラマ自身が意識改革の必要性を自覚していると指摘。具体的には、実装を抽象化した開発方法論、アーキテクチャ・デザインの重要性への関心が高いという。これに対し勝藤氏は、「ソフトウェア・アーキテクチャの上流設計手法としてオブジェクト指向分析・設計(OOAD:Object Oriented Analysis & Design)が注目されているが、業務システムの上流設計をOOADで実現しようとすると必要以上にクラスができて管理が難しい。業務システムでは、データをどう管理するかが重要で、データ指向アプローチ(Data Oriented Approach)が適している」と述べた。

 尾島氏のプレゼンテーションにあったとおり、.NETの最も分かりやすいメリットは開発生産性の高さで、これはソフトウェアの開発コスト圧縮に直結する。しかし勝藤氏は「開発コストの削減競争はすでに一巡した。低コストなオフショア開発に対抗するには、下請けとしてではなく、経営戦略に活かすITを上流レベルで提案できるかどうかだ」と強調した。

  .NETは最初からSOA指向

 午後のセッションでは、パネルディスカッションにも参加したマイクロソフトの安藤氏が「マイクロソフトの技術動向、ロードマップ」と題して、またマイクロソフトで.NETテクニカル・エバンジェリストを務める近藤和彦氏が「“オーケストレーション エンジン”が作り出すビジネス・アプリケーション環境」と題して、それぞれプレゼンテーションを行った。

.NETの将来性、先進性について語るマイクロソフトの安藤浩二氏

 安藤氏は、大手ベンダーの単価引き下げや案件の短納期化、オフショア開発などの進行により、ソフトウェア・ベンダーはサバイバル時代を迎えていると前置きし、「従来型の案件単位の受託開発ではなく、最新技術を活かして顧客企業の経営課題をトータルに解決できるソリューション提供が求められている。これには、Webサービスを利用したサービス指向アーキテクチャ(SOA)に注目すべきだ」と述べた。

 .NETは当初からSOAのアプローチをとっており、例えばVB 6などで構築された既存の業務アプリケーションはそのままに、BizTalk 2004でシステム連携を実現し、外部へのWebサービス・インターフェイスを提供することで、SOAにのっとったサービスが提供可能になるという(図「MicrosoftのSOAアプローチ」参照)。そして、プラットフォームとなる.NET Frameworkは、64bit対応や次世代WindowsのLonghornに向けてさらにサービス指向性を高めるべく強化されるとした(図「.NET Frameworkの将来」参照)。

MicrosoftのSOAアプローチ
従来のアプリケーションをBizTalkで連携させ、外部に対してはWebサービス・インターフェイスを提供することで、SOAのサービス提供を実現する。

.NET Frameworkの将来
次世代Windowsとして開発中のLonghornに向け、さらにサービス指向性を強化して.NET Frameworkは発展していく。

 安藤氏は、次世代開発環境として現在開発中のVisual Studio 2005(開発コード名=Whidbey、以下VS 2005)では、DSI(Dynamic Systems Initiative)と呼ばれる概念をサポートする機能が追加されると述べた。DSIとは、現在の設計→開発だけでなく、展開や運用も1つのITのライフサイクルとしてとらえ、後工程である展開・運用管理までを視野に入れた設計・開発を可能にするしくみである(DSIの詳細は別項「Windows Server Insider:ベールを脱いだマイクロソフトの次世代システム・マネジメント戦略」を参照)。マイクロソフトは、このDSIベースの開発支援機能を次のVS 2005に「分散システム・デザイナ」として追加予定だという(画面「VS 2005の分散システム・デザイナ」参照)。

VS 2005の分散システム・デザイナ
次のVS 2005では、ソフトウェア・モデルとシステムの展開を1つの開発環境の中でデザインできるようになる。

 続いてマイクロソフトの近藤氏は、ビジネス・プロセス管理ソフトウェアとして同社が先ごろ発表したBizTalk 2004の概要、BizTalk 2004と.NETテクノロジを活用した情報システム・アーキテクチャについて説明した。

BizTalk 2004についてプレゼンテーションするマイクロソフトの近藤和彦氏

 BizTalk 2004の最大の特徴は、開発環境の現行バージョンであるVisual Studio .NET 2003(以下VS.NET 2003)と連携させることができ、VS.NET 2003の内部からBizTalkオーケストレーション(ビジネス・プロセス連携)やBizTalkマッパ(データ変換支援機能)を操作できることだとする。

 近藤氏は「BizTalkは高いといわれるが、同等の機能を自社で開発した場合の工数やリスクを考えれば、そうともいえない。またEAIやB2Bばかりでなく、1システムのワークフロー管理にも適用できる。そして開発者でなくてもビジネス・プロセスのデザインを行えることが大きな特徴」と締めくくった。

 
  .NETビジネスFAQ:大切なのはコミュニケーション能力

 最終セッションでは、「.NETビジネスFAQ 素朴な疑問から、勝てるアプリ開発のポイントまで。オピニオン・リーダーに聞く」と題するパネルディスカッションが行われた。

 パネラーには午前の部にも参加した日本ユニシス 尾島氏、アルゴシステム創研 勝藤氏、マイクロソフト 安藤氏の3名に加え、アマゾンジャパンのWebサービス・テクニカル・エバンジェリストである吉松史彰氏が参加した(モデレータはデジタルアドバンテージ代表の小川氏)。このパネルディスカッションでは、参加者から寄せられたいくつかの質問を基に、これからのソフトウェア開発について、テクノロジも視野に入れて活発な議論がなされた。

 「新しい開発手法の話題ばかりが先行して混乱している」という質問に対しては、午前のパネルディスカッション議論を受けてDOAの重要性が語られた。マイクロソフト 安藤氏は「組織はどんどん変わるが、人事や経理、在庫などいったデータはあまり変わらない。この変化しにくい部分を出発点にして開発を進めるのがDOAであり、効率がよい」と答えた。日本ユニシス 尾島氏も「シンプルなDOAのほうが、複雑なOOADよりも多くのビジネス・アプリケーションへの親和性が高い」と述べた。

 「『SOA』をよく耳にするが、よく分からない」という質問に対しマイクロソフトの安藤氏は「ソフトウェアの再利用などが叫ばれて久しいが、低レベルなコンポーネントの単位で再利用を図るのは実際には難しい。そこでさらに抽象度の高いレベルでシステム連携を図ろうとするのがSOAの発想だ」と解説した。

サービス提供企業として、Webサービスのビジネスにおける実例を紹介したアマゾンジャパンの吉松史彰氏

 オンラインストアの先駆けであるアマゾンは、Amazon.co.jpのサイト機能およびコンテンツを第三者が自らのサイトに組み込むことができるAmazon Web Service(AWS)のサービスをすでに開始している。このサービスと併せて、Amazon.co.jpアソシエイト・プログラムを利用すれば、自らのサイトでより効果的に商品を紹介することができ、販売時に得られる紹介料にも増大が見込まれる。吉松氏の説明によれば「アマゾンのアソシエイト・プログラムの利用サイト数は全世界で約100万サイトに及んでおり、金額は公表できないが、AWSとアソシエイト・プログラムを連動させ、紹介料による所得で生計を立てている人もいるらしい」とAWSがビジネスとしてもすでに回り始めていることを紹介した。

開発者として生き残るには、より高いコミュニケーション能力が必要と主張するアルゴシステム創研の勝藤彰夫氏

 「ソフト開発者として生き残るには?」という質問に対しアルゴシステム創研 勝藤氏は、「これからの開発者にはコミュニケーション能力が必要。残念ながら、現状はきちんとした日本語の文章を書ける技術者があまりに少ない。コミュニケーション能力の1つとして、開発者には、機械相手のプログラミングばかりでなく、人間に対して正しく情報を伝えるための文章作成技術もぜひ身につけてほしい。高いコミュニケーション能力により、エンド・ユーザーから要求を正しく吸い上げ、それらを適切にシステムに反映できるエンジニアは圧倒的に不足しているし、この部分はオフショアできない」と答えた。

 アマゾン 吉松氏も「サービス指向も突き詰めればコミュニケーションに行き着く」と指摘。デジタルアドバンテージ 小川氏も「仕事がらさまざまな人に取材するが、だれもがコミュニケーション能力不足とその必要性に言及する」と述べた。開発者としてこれから生き残るためには、優れたコードを書けるだけでなく、エンド・ユーザーや設計担当者、展開・運用担当者など、情報システムにかかわるさまざまな人たちとの良好なコミュニケーション能力が必要不可欠になるようだ。

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