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企業メール・システム活用、
次世代戦略への「10のヒント」

第4回 答えは「企業の健全な成長を促す情報化投資」


 都心の高層ビルから周囲を見わたすと、無数のビルが立ち並び、足下には行き交う多くの人が見える。それらのビルを縫うように見え隠れする高速道路は、ところどころで何層にもわたって複雑に立体交差しながら、無数の車を運んでいる。空を見れば、着陸体勢を整えた飛行機が、次々と空港を目指して高度を下げていく。

 都市は日々膨張を続けている。これを支えるものの1つが、交通網や物流など都市インフラである。もしも10年前に同じ場所で都市を眺めたら、だいぶ違った光景が見えたに違いない。10年前のインフラを使って、現代の都市を維持することは到底できないだろう。逆にいえば、現在のような機能とキャパシティを持つ都市は、それを支えるインフラがあってこそ、ここまで成長できたのである。

 インターネット・メールが一般に広がりだした90年代後半、一般的なインターネットの通信速度は現在の1万分の1程度でしかなく、サイズの大きな添付ファイル(数十キロバイト程度)を送信するのもマナー違反とされた。それから約10年。インターネット・メールは誰にとっても不可欠の通信手段となり、光ファイバの普及によって通信速度は劇的に向上し、数十Mbytes程度の添付ファイルでも、誰にも文句をいわれず送受信できるまでになった。ユーザーが1日に送受信するメールの数も増加する一方である。さらに、コミュニケーションにおけるメールの比重が高まるに従い、取引にかかわる重要情報などがメールで送受信される機会も増えている。

 ビジネスに不可欠なコミュニケーション・インフラとなった現代のメール・システムは、機能にせよ、キャパシティにせよ、安全性にせよ、10年前とは比較にならないサービス・レベルが求められている。

 しかし現在においても、シンプルな文字テキストをやりとりすることを主眼に開発された、実績はあるが旧式のメッセージ・インフラを使い続けている企業は実は少なくない。こうした過去のインフラを使い続けていても、表面上はうまくいっているように見えるかもしれない。しかしそこで見ているのは、10年前の景色ではないか。メッセージ・インフラに正しい投資を続け、新しい技術がもたらす可能性を活かしていれば、本当は見違えるような景色になっていたのではないか。

 本稿ではこれまで3回にわたり、米国で続くメッセージ・インフラへの積極的な投資の背景に何があるのか、それを知るための10のヒントを取り上げ、3回にわたり1つ1つ解説してきた。今回は連載の最終回として、全体を総括してみよう。

メッセージ・システムの機能性向上とユーザー生産性の向上

 第三者との共同作業が作業の重要な側面であるかぎり、コミュニケーションはビジネスに必要不可欠な機能である。このコミュニケーションの領域において、電子メールは、かつての電話やFAXを大きく凌駕する存在となった。

 仕事の内容にもよるだろうが、ビジネスマンが1日にコミュニケーションに充てる時間はかなりのものになるだろう。特に経営者や管理職など、コミュニケーションが主たる作業になる場合には、1日のほとんどの時間をコミュニケーションに充てているケースもあるにちがいない。デスクワーク・コンサルティングの分析手法の1つとして、「時間分析」というものがある。時間分析では、作業者の実際の活動に使われている時間を何日かにわたって記録し、それらの分布を分析して、自動化や作業の再配分によって短縮可能な要素を洗い出す手法である。こうして客観的に時間配分を調べてみると、予想外の作業に多くの時間が割かれていることが分かることが少なくない。おそらく現時点でも、多くのデスク・ワーカーは、メールの処理にかなりの時間を費やしているだろうし、その割合は今後増えるにせよ、減ることはないだろう。

 つまりメールは、ホワイトカラーの生産性を大きく左右する中心作業の1つになっているということだ。幸い電話やFAXと異なり、メールは自動化やレスポンスの短縮といったシステム側の機能/性能向上によって、生産性を大幅に向上させられる余地が大きい。

■<ヒント1>ユーザーは大量のメールにおぼれている
 メールは一斉送信や転送が容易であるため、一対一の通信に加え、メーリング・リストなどを応用した複数メンバ間での情報共有が簡単にできる。これは便利な機能ではあるが、一方では送受信メール数を指数的に増加させる欠点がある。今後もメール数が増加することを考えると、システム管理者は、過去のメールを高速に検索するしくみをユーザーに提供する必要がある。Exchange Server 2003+Outlook向けに提供されているMSNサーチなど、高速なインデックス検索機能を利用すれば、数年分のメールから、数秒で目的のメッセージを検索するなどが可能になる。

■<ヒント2>デスクにいないと使えない
 メールを仕事に不可欠なコミュニケーション手段と位置づけた場合、外出時や出張時など、オフィスのデスクにいないときでもタイムリーにメッセージを送受信できることは、ユーザーから見ればむしろ当然の機能である。しかし実際には、携帯電話などのモバイル・デバイスによるメール・サーバへのアクセスを可能にしている企業はあまり多くない。メール・システムへの追加投資とセキュリティ・リスクの増大が導入のハードルになっているものと思われるが、いつまでも放置できる問題でないのは明らかだ。いまなお「デスクにいないと使えないメール・システム」を利用しているなら、安全かつ効率的にモバイル・アクセス・サービスを提供するための手だてについて検討を始める必要がある。

■<ヒント3>会議招集に潜むムダ
 単純な文字メッセージと添付ファイルだけでも、運用を工夫すればかなりのことができる。しかし会議招集の例で示したとおり、シンプルなツールを工夫する過程では、多くの工数が発生してしまうのは避けられない。常態的にこうした作業工数が発生しており、それらを自動化する余地があるのに放置するのは賢明とはいえない。ユーザーのメール利用実態を把握し、必要ならメッセージ・システムのバージョンアップを検討すべきである。

■<ヒント4>「迷惑メール」が時間を盗む
 迷惑メールはやっかいな問題だが、幸いなことに、メール・サーバやメール・クライアント側での対応機能により、自動的にフィルタできるようになってきた。しかしこの分野は、1つ対策が進めば、それをすり抜ける手段が編み出されるというイタチごっこになっている。大切なことは、継続的な対策がベンダから提供されるということと、さまざまな技術やレベルでの複合的な対策を統合化して迷惑メールを撃退できることだ。複合的な対策が可能なら、スパマーの単純な対策を網にかけることができる。

セキュリティ・リスクの低減

■<ヒント5>ウイルス対策をクライアント任せにしない
 クライアントだけでなく、サーバ側にもウイルス対策を施さないと、感染リスクを管理者が集中制御することができない。この点、オープン・ソース系のシンプルなメール・システムに比較すると、Exchange Serverなどのパッケージ製品は、ウイルス対策ソフトウェア向けのAPIなどを備えており、豊富なサードパーティ製ウイルス対策ソフトウェアを利用できる。サーバ・サイドでのウイルス対策を充実させたいなら、製品選択肢の幅の広いパッケージ製品が有利である。

■<ヒント6>ユーザーの良識に頼らぬ情報漏えい保護
 現実に発生した情報漏えい事件を見ると、内部ユーザーのミスや不注意、故意の情報の持ち出しなどが多い。これに対処するには、Windowsシステムやネットワーク環境全体でのサポートが不可欠だ。この点では、Windowsやネットワークを提供するマイクロソフトの製品に一日の長がある。マイクロソフトのWindows Rights Management Services(RMS)を利用すれば、Active Directoryのレベルでリソース管理を集中化し、メールに限らずきめ細かなアクセス制御を設定できる。RMSにより、管理コストを抑えながら、組織的な情報漏えい対策が可能になる。

■<ヒント7>メールでまさかの情報漏えい。そのとき問題を追跡できるか?
 どれだけ対策したとしても、情報漏えいや不正攻撃による被害リスクをゼロにすることはできない。万一こうした事件や事故によって、取引先や顧客に被害を及ぼした場合には、過失責任などを法的に評価する必要に迫られる。この場合には、いつ誰が何をどうしたのかという事実を、第三者が客観的に評価できる活動ログが必要だ。特に、犯罪性が高い事件の場合には、証拠隠滅のために犯人がこうした活動ログを削除しようとするかもしれない。確実にログを保存するには、管理者がサーバ側で集中的に情報の収集を行える機能が必要である。

TCO削減と障害リスクの低減

■<ヒント8>管理者はなぜ期初に多忙を極めるのか?
 段階的に異なるベンダやプラットフォームのシステムが導入されると、それらのシステムごとにユーザー管理が断絶される。こうしてシステムが複雑化すると、組織変更や人事異動にかかる管理者の負担が指数的に増える。

 この問題を回避して、柔軟なシステム拡張を可能にするには、ユーザーなどのリソース管理をネットワーク全体で統合するディレクトリ・サービスが必要である。マイクロソフトが提供するディレクトリ・サービスのActive Directoryなら、マイクロソフト製品はもちろん、さまざまなサードパーティ製品が対応しており、将来的にも柔軟に拡張が可能である。もちろん、Exchange Server 2003のユーザー管理は、Active Directoryと完全に統合されている。

■<ヒント9>コスト削減のカギは「管理ポイントの局所化」
 UNIXやWindowsなどのオープン系システムのメリットは、必要に応じてさまざまなベンダのパッケージ製品を組み合わせることで、高いコストパフォーマンスが得られることである。しかしその一方では、さまざまなベンダのプラットフォームやミドルウェア製品がイントラネット内部にひしめく結果になる。問題なく動いているときにはよいのだが、ひとたび問題が起こった場合の原因究明は困難だ。

 この問題を解決するには、異なるプラットフォームや製品を統合的に管理できる統合管理ツールを利用すればよい。この統合管理ツールとして、マイクロソフトはMOM(Microsoft Operations Manager)を提供している。MOMは、管理パックと呼ばれる拡張コンポーネントを組み込むことで、マイクロソフト以外のプラットフォームや製品も統合的に管理可能にする。Exchange Server 2003用の管理パックはMOMに標準搭載されている。

■<ヒント10>障害リスクは不意に問題化する
 万一の障害発生に備えて、定期的なサーバ・データのバックアップが不可欠だ。しかしメール・サーバのように、サービスを簡単には停止できない場合には、バックアップ用の特別な支援機能が必要である(一般的に、使用中のファイルはバックアップできないため)。この点Windows Server 2003は、Volume Shadow Copy Service(VSS)と呼ばれる機能を備えており、データの読み書きは停止することなく、ある時点でのデータのスナップショットを確保し、それをバックアップすることができる。

 1台のサーバが停止した場合も、サーバが冗長化(クラスタリング)されていれば、バックアップ側のサーバでサービスを継続できる。ただし障害時のシームレスな切り替えを実現するには、メール・サーバ側もクラスタリングに対応していなければならない。Exchange Server 2003 Enterprise Editionは、標準でクラスタリングに対応しており、Windows Server 2003 Enterprise Editionと組み合わせることで、最大8ノードのクラスタ・システムを構築できる。

健全な機能とキャパシティの拡張を、安全かつ低TCOにて実現する

 これまで述べてきたとおり、米国企業がExchange ServerやOutlookなどの高機能な、だが高価なメッセージ・システムへの投資を惜しまないのは、メール・システムの機能向上やキャパシティ強化によりユーザーの生産性を向上させながら、安全にかかわるリスクを低減し、管理にかかわる負担をも圧縮するためであることが分かった。ビジネスの成長に見合ったメッセージ・システムを選択した結果と考えてよい。

 読者のメッセージ・システムはビジネスのダイナミズムに耐えるものかどうか。ここで一度リセット・ボタンを押して、再考してみる必要があるだろう。

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第4回 答えは「企業の健全な成長を促す情報化投資」

提供:マイクロソフト株式会社
企画:アイティメディア 営業局
制作:@IT 編集部
掲載内容有効期限:2005年11月30日
 
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