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ネットワーク設計・管理の効率化を極める!!
〜 ネットワークの自動探索・自動作図も可能とした、
Microsoft Visio Enterprise Network Toolsとは 〜 |
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はじめに |
ユーザーからネットワークトラブルの連絡が入り、現場へ急行。用意された書類は古くて使い物にならず、トラブルの原因も分からず四苦八苦。散々悩んだ挙句、原因はユーザー部門で最近追加されたPCだった。あなたがネットワークの管理を任されているのであれば、こんな経験は多々あるのではないだろうか。
日常業務からシステム管理、社内外との連絡、セキュリティ、人的資源のデータに至るまで、ネットワークに依存する割合は高まるばかり。会社が成長し、業務プロセスが複雑になれば、それに比例してネットワークも肥大化し、次第にその全容が分からなくなっていく。ネットワーク管理者のだれもが、ネットワークの全体がどのようになっているか、ひと目で分かるような、正確な文書の重要性を認めている。
しかし、自社のシステムに関する情報を逐次文書化する余裕のあるネットワーク管理者はほとんどいないのではないか。ネットワークに変更が加えられて以来6カ月間文書化が実行に移されていないなどということも稀ではないと思う。確かに、情報の文書化は、かなりの工数多大な費用が必要になる。さらに頻繁な更新・確認作業はキリのない労力を必要とし続ける。
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Visio Professional 2002で問題を解決 |
ネットワーク構成図やシステム設計図、データベース構成図などの技術図面の作成には、さまざまなグラフィックツールが用いられている。「Microsoft
Visio Professional 2002」もそのようなグラフィックツールの1つであるが、特にネットワーク管理者がシステムの設計や保守といった用途に利用するには、非常にお勧めのツールである。
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画面1 |
第1のポイントは、直感的な操作で作図作業を進めることができる点だ。ドラッグ&ドロップを基本とする簡単操作で手間がかからず、分野別に分類された図形や部品を活用して、複雑な技術図面も自在に素早く作成可能だ。多忙なネットワーク管理者にとっては大きな手助けとなるだろう。
第2のポイントは、「スマートシェイプ」と呼ばれる便利な部品(図形パーツ)の存在だ。ワークエリアに配置された部品同士を「スマートコネクタ」と呼ばれる接続線で結んでいけば、あっという間にネットワーク図が完成する。「スマート」という名のとおり、部品大きさを変えても基本形状が維持されるし、部品の配置を変更しても接続線は自動的に再描画される。突然の配置替えや予期せぬ仕様の変更などにも楽々対処できる。なお、ユーザー独自のスマートシェイプも登録できる。
さらに、Office XPで採用され、好評のクラッシュ回復機能も搭載。アプリケーションエラーが起きても可能な限り最新のデータが復元されるので、大切な作業内容や貴重な時間を失う危険性を最小限に抑えることができる。作図者の時間の有効活用のみならず、精神衛生上の観点からも、ほかのグラフィックツールよりも優れているといえるであろう。
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Visio Enterprise Network Toolsによる
ネットワークの自動探索 |
「Visio Enterprise Network Tools」はVisio Professional 2002の専用アドオン製品で、ネットワークの自動探索・作図を実現する。この機能は、ルータを基点としたネットワーク構成図を一発で作成してしまうという便利なものである。SNMPを利用しており、既存のネットワークを止めることなく実行できる点が便利だ。
[AutoDiscovery and Layout]テンプレートを利用するには、[ファイル]→[新規作成]→[ネットワーク]→[AutoDiscovery
and Layout]を選択。
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画面2 |
すると、メニューバーに[AutoDiscovery]メニューが追加されるので、ここから[探索ウィザード]を選択する。文字どおりウィザード形式なので、質問に答えていくだけで自動探索を実行してくれる。
ウィザードに従って、非SNMPデバイスを検出するかどうか、検出されなかったデバイスにPingを実行するかどうかを決める。
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画面3 |
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画面4 |
検索結果は、データベースに格納される。格納されている値は[データベースビューア]を開くことで参照できる。
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画面5 |
検出されたデバイスは、右ウィンドウに表示される。これらを、作図領域にドラッグ&ドロップするだけで自動的に作図が行われる。デバイスおよびネットワークを追加すると、以下のようなネットワーク図を自動的に作成してくれる。
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画面6 |
ここで、ネットワーク構成図に必要なポイントを振り返ってみよう。
(A) 外部との接続ポイント
(B) 代表的なネットワーク機器の接続
(C) 代表的な共有機器の接続
(D) 共有機器の接続に必要なアドレス(マシン名やIPアドレス)
SNMP対応の機器が導入されていれば、上記の項目はほぼ自動探索で発見できると思う。あとは、非SNMP機器など探索されなかった部分をユーザーが書き入れていくことになる。
この作業は、前バージョンから踏襲された使い勝手の良いユーザインターフェイスや、豊富なシェイプライブラリを使えば、短時間で済ませることができる。
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レポート機能による現状の把握 |
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画面7 |
小さな企業のネットワークであれ、大陸をまたぐような巨大な企業のネットワークであれ、ネットワークは絶えず変化する。ネットワーク構成図は、作成した瞬間から陳腐化が始まるのは宿命のようなものだ。しかし、Microsoft
Visio Enterprise Network Toolsの 「自動探索」や「ガイド付き更新機能」を利用すると、常に最新のネットワーク図を用意できることになる。
また、同機能を利用して取得した機器情報は、レポート機能を利用して、簡単に出力することができる。ネットワークの空きIPアドレスのリストやルータのOSのバージョンなど、ネットワークの管理に必要となるレポートをいつでも簡単かつ最新の状態で作成することが可能である。ネットワーク上で検出されたすべてのサーバやスイッチ、ルータおよびそのほかの機器などの総合的なレポートを簡単に閲覧できるので、トラブルシューティングの際には問題解決までの時間を大幅に短縮することが可能になるだろう(トラブルシューティングの際は、不正確で古い情報を頼りにするため、問題の特定に作業時間の80%を費やしているともいわれる)。
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まとめ |
このように、Microsoft Visio Professional 2002とVisio Enterprise Network Toolsを使えば、非常に短時間でネットワーク構成図を作成することが可能だ。また、非常に労力を必要としていた「資料を最新の状態に保つ」という作業を大幅に省力化できる。
最新のネットワーク構成図がすぐに手に入る状態にしておくことで、ネットワーク管理者のネットワーク管理や保守に関する作業、障害対応への負担は大きく軽減されるだろう。その分、ネットワーク管理者はそれまでトラブルシューティングや文書の作成に費やされたリソースを、ネットワークの改善作業など、より生産的な事柄に費やすことが可能になる。
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画面8 |
なお、今回はネットワークの自動探索機能を中心に紹介したが、Microsoft Visio Professional 2002では、Active
Directoryから情報を取り込んでディレクトリ構造を図式化/文書化したり、Exchange Serverの組織情報からの組織図自動生成、SQL
Serverのデータベース構造を解析したER図の自動生成などを行うこともできる。
図面作成の際に[ファイル]−[ネットワーク]−[Active Directory]を選択すると、画面8のような形のウィンドウが開く。接続先のActive
Directoryネットワーク データベースからデータをインポートし、データベースのすべてのオブジェクトやオブジェクトの一部のグループ、または構成コンテキストからのフォレスト情報をインポートできる。また、[Active
Directory]ステンシルのオブジェクトを使用して、サイトやサービスの情報を設定したり、ネットワーク上にあるドメイン、サイト、サービスの関係を視覚的に表示したりすることも可能なのだ。
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画面9 |
◆コラム◆ Visioの持つ可能性 |
Visioはプロセスフローや組織図、オフィスレイアウトやビル管理、ネットワーク、Web、データベーストポロジなど、幅広い分野の作図をサポートしている。Visioで作成したチャートや図面をPowerPointに挿入してプレゼンテーションを行ったり、Excelと図形のプロパティを連動させたりといったOffice
XP製品との連携はもちろんのこと、SQL ServerやVisual Studioのプロジェクトをリバースエンジニアリングして、データベースER図やソフトウェアUML図を作成できるなど、エンジニアにとってもうれしいツールだ。
■対応ファイルフォーマット
BMP、EMF、GIF、JPG、PCX、PNG、TIFおよび WMFといった一般的なグラフィックフォーマットのデータのインポートおよびエクスポートが可能だ。
また、Autodesk AutoCAD DWGファイルとDXFファイルをインポートできる。 |
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