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@IT > Win-Win-Winを実現するパートナーシップとは? SIビジネス、儲かるコツを大公開 |
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2000年前後を境に不振が続いていたIT業界だが、企業のソフトウェア投資増を背景に、再び盛り上がりを見せている。2005年12月に発表された日銀短観では、「企業のソフトウェア投資額が前年比7.6%増」と、驚異的な伸び率が示された。ソフトウェア投資額が前年比増となるのは、4年ぶりだという。 この投資増を後押ししているのが、国内95%を占めるといわれる中堅・中小企業(SMB)だ。ここ数年で大企業の設備投資が一巡し、景気回復の波が浸透。この追い風を機に、中堅・中小企業がこぞって「IT強化」を目指している。ITビジネス、特にSI事業に携わる者ならば、この状況をただ眺めているわけにはいかないだろう。 このトレンドを捉え、独自戦略を打ち出しているのがNECだ。それは、「SMB市場への営業強化」という単純なものではない。同社が抱いているコンセプトは、「ユーザー企業、パートナー企業、そしてNECを含めたWin-Win-Winを構築するパートナー作り」(NEC ITプラットフォーム販売推進本部 ソフトウェアビジネスグループ ブランドマーケティング・マネージャー 池田秀一氏)という。
SMB市場で勝つポイントとは何か。池田氏は「営業体制、長期サポート、選択肢の広さの3つが鍵」と語る。
昨今のIT業界は、OSミドルウェアからアプリケーションまで含めた「垂直統合」の提案が目立つ。これでは、ユーザー企業の選択の幅が狭まってしまう。 一方NECは、自社製ミドルウェアも含め、「より良いものを組み合わせる」提案に主眼を置いている。「ハードやソフトを自由に組み合わせ、優れたソリューションを提供するのがNECのスタンス」(池田氏)という言葉どおり、Linuxを始めPostgreSQLやMySQLなどのオープンソースソフトウェア(OSS)にも意欲を見せ、組織力を生かした営業・サポートを実施している。ほかの大手SI企業には見られない取り組みであり、NECの大きな特徴といえる。この姿勢があるからこそ、国内IAサーバ市場トップである「NEC Express5800」の地位が揺るがないわけだ。 「IT人材が不足しているSMB市場では、営業力と長期サポートはもちろん、幅広いソリューションが決め手。そのためNECは、優れたソリューションを持つISVとパートナーを組み、ユーザー企業にとって有益なシステムを提案したいと考えている。また、NECのインフラを使うことで、ISV同士の協業も進み、大きなビジネスチャンスを得られるだろう。結果的に、ユーザー企業もパートナー企業も、そしてNECもハッピーになるSIビジネスが実現できる」(池田氏)。
実際に、NECのパートナーはどのように活躍しているのだろうか。 パネルディスカッション「聞き出せ! 注目SIerの“ウチは、こうやってSIで儲けた”」では、中堅・中小市場分野に強いISV各3社が討論。モデレータとして、システム構築・活用に造詣が深いフリーランスライター吉田育代氏を迎え、ビジネスブログ市場最大手のドリコム 事業推進室 室長 清水武氏、国内Webフィルタリング市場で3年連続トップのアルプス システム インテグレーション セキュリティソリューション部 セールスマーケティング課 猪瀬森主氏、中堅・中小製造業市場で国内シェア1位のリード・レックス 取締役営業推進部長 松田繁雄氏が語り合った。(以下敬称略) ――本日は、各市場でトップシェアを誇るISVの方々にお集まりいただきました。最初に伺っておきたいのは、ずばり「繁盛している理由」についてです。何か秘けつがあるのでしょうか?
清水 ドリコムは、ビジネスブログのプラットフォームを提供するベンチャー企業で、社員には「世の中にないものを作りたい」という共通する思いがあります。このチャレンジ精神が、当社の強みです。具体的には、ビジネスブログ市場を立ち上げるべく社内リソースをすべて投入し、市場創設と開発に取り組んできました。これが良かったのだと思います。 猪瀬 アルプス システム インテグレーションがWebフィルタリング製品を扱い始めた10年前も、市場がない状態でした。始めは海外製品の販売代理店として、その後自社製Webフィルタリングを開発・販売する中で、営業力やブランド力の乏しさに直面し、苦労を重ねたのも事実です。そこで、大きなチャネルにしぼって営業リソースを投入し、当社ができる技術サポートやプロモーションなどをどんどん提案しました。やはり「自社の強みを強調し、存在感を示した」ことが功を奏したのでしょう。 松田 われわれリード・レックスは、赤字で苦しんだ時期もありました。そこで感じたのは「時代の動向を察知し、先を読むこと」の重要性でした。そして開発した生産管理パッケージ「R-PiCS」は、登場以来10余年にわたって、生産管理パッケージの常識をくつがえす「短期導入」を実現してきました。例えば4年前、「6カ月で立ち上げられる生産管理システムを実現する」と宣言したときに、大向こうから嘲笑されたことがあります。現在、6カ月で稼働する生産管理パッケージR-PiCSを実現し、評価されています。
――製品やサービスが良いだけでは売れない時代、3社とも「新しい市場を創造する」というベンチャー精神が共通していますね。つまり製品・サービス開発と共に、営業活動やマーケティングが重要だったわけですが、実際にこの課題をどのように解決したのでしょう?
猪瀬 10年前は、「インターネットを規制するとは何事か」といわれるほど、Webフィルタリングは理解されていませんでした。しかし、「必ず必要になる」と信じ、厳選した大口チャネルに対し、営業を展開したのです。これに理解を見せてくれたのがNECでした。パートナーとして協業する中で、機能や技術についてかなり具体的に意見されたことで、製品の品質が上がったのです。 清水 当社はまず、競合他社と共にビジネスブログの啓蒙活動に努めました。まだ未成熟の市場では、競合同士で食い合うより、一緒に大きくしていくのが最善の手段です。ただ、もっと市場を拡大していくには、ベンチャーなので単独で営業するだけでは課題があります。BtoB製品の場合、営業力の強さやサポート体制も非常に重要なポイントです。パートナー体制を早急に構築することが必要でした。それがNECです。 ――製品開発、営業・サポート体制について、NECのような大手SIの力が役立ったわけですね。 清水 そうです。特に製品へのアドバイスは、ユーザー企業のためには必要だったと思います。 松田 NECの方は、プロジェクトに対するこだわりや「NECブランド」に対する忠誠心が非常に高いと感じています。NECには、自動車でいえばエンジンやシャシーに相当する車の性能を左右する共通部分(ハード&ミドル)に注力していただき、用途に応じて上に載せる艤装(アプリケーション)は、われわれISVがその強みを生かして提供する関係でありたいと思います。システムの基礎の部分は、NECという大ブランドで提供していただき、われわれは業務アプリケーションに全力を投入することで、いいパートナーシップが組めると考えています。
――いまの意見を受け、SI事業におけるパートナーシップを考えてみたいと思います。皆さんは、理想的なパートナリングとは、どうあるべきだとお考えですか?
清水 われわれだけでは、営業力やサポート体制など、後々の運用面で品質の高いサービスを提供しきれません。そこでNECという組織力が生きてくるわけですが、逆にパートナーシップに縛られ過ぎて動けなくなるのは避けたかったのです。NECはそうした縛りがなく、互いの強みを補完しながら信頼関係を築いていこうとしています。こうした対等な関係こそ、パートナーシップに必要だと思います。 猪瀬 私も同意見です。パートナーとは、金額やリスク分散、役割分担すべてにおいてイーブンであることが必要です。そしてこれからは、ユーザー企業を含めた3者Win-Winの関係を築くことが必要ではないでしょうか。 松田 市場の大きさによって価値もいろいろ変化するものですが、「市場が認める価値」をお互いが出し合い補完関係を作っていけるのが、理想的なパートナーですね。 ――最後にNECの池田氏にお伺いしますが、これらの意見を受け、今後どのようなパートナー関係を築いていきたいとお考えですか? 池田 いまのIT企業は、「自社の強みを生かして製品・サービスを開発する」タイプと、「技術者を派遣し、人月工数で稼ぐ」請負タイプに2分されます。これが、「自社の強みで勝負すべく、すべてのリソースを独自開発に投入する」海外企業との差です。国内IT企業にまん延する“請負体質”を止めることが、ビジネスを大きく伸ばす手段だと考えています。そしてこの流れをユーザー企業にも還元するために、よりパートナーシップが重要になると認識しています。 NECのソフトウェア事業はまだまだ大幅拡大の余地があり、これから整備していく点もありますが、いいお話があればISVの方と真摯に向き合い、検討していきます。組織が大きいため、1つの部門で断られたからといって、「ダメ」にならないのがNECの良さでもあります。ぜひいろいろなISVの方とお話させていただければと思います。 ◆ ビジネスは、1社の力だけではスケールアウトしない。特にSMB市場は、全国規模のチャネルと、息の長いコミュニケーションが求められる。いまも伸び続けるSMB市場で、SIビジネスを成功させるために、NECとのパートナーシップは強力な武器となりそうだ。 提供:日本電気株式会社
企画:アイティメディア 営業局 制作:@IT 編集部 掲載内容有効期限:2007年03月31日 |
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