Loading
|
@IT > 集中管理のメリットを最大化するリッチクライアントソリューション |
|
●分散か、集中か、結論が出た。 伊藤氏はセッションの冒頭、これまでのファットクライアント/HTMLクライアントの課題、他社のソリューション、リッチクライアントに対する開発者のニーズなどに触れながら、企業の情報システムが現在置かれている状況から語り始めた。 そして、「いま、レガシーシステムからの切り替え最終段階の始まりの始まりの時期にきている……そんなふうに感じている。その代替テクノロジも成熟してきている。システム・アーキテクチャ的にはWebベースのシステムになるだろう」と指摘、「しかしながら、何十年も歴史のあるメインフレーム、オフコンなどの良さというものを一気に代替するのはなかなか難しい。その原因の1つが、Webシステムにはユーザビリティ、クライアント/サーバ方式では運用面で弱点があるということ。その弱点を補なう存在がリッチクライアント」と位置付けた。 伊藤氏は歴史を振り返りながら、自社製品の開発コンセプトを語った。
「この5〜10年、ファットクライアントだ、シンクライアントだという議論があった。それ以前から集中システムか、分散システムかという論議も繰り返し行われている。運用管理という観点でいえば、集中システムのほうが圧倒的に楽です。個人的な体験例ですが、私は、最初に入社したコンピュータメーカーで500台ぐらいのクライアント/サーバ・システムを販売しました。売ったあとが大変で、1年に10台ぐらいはトラブルが発生し、そのたびに昼夜を問わず全国各地から電話で呼び出された。ハードウェアでもソフトウェアでも、モノをばらまくと夜寝られなくなるという苦い経験をした。1990年代前半の話だ」 「1990年代後半には、“ネットワークコンピュータ”“ネットPC”といったコンセプト、テクノロジが提唱された。集中管理ができる点がメリットだが、当時はネットワークが細くて成り立たたなかった。今日ではネットワークのブロードバンド化が進み、そのコンセプトが実現できる環境が整ってきた」 伊藤氏は、こうした歴史的経緯とこれまでの議論にいま、1つの答えが出たと語る。 「ネットワークを使って、システムを集中的にコントロールできるようになり、さらにロジックをローカルPCに置かず、ファットクライアントのユーザビリティをシンクライアント(つまりサーバー側)に持たせることが可能になった2005年のいま、集中か/分散か、ユーザビリティか/管理かという問題に一定の結論が出たのではないかと思っている。製品担当者(伊藤氏)の先の苦い体験もあり、基本的には“集中”を志向して私どもが企画・開発した製品がFacerLiteだ」 ●プラグインなしのリッチクライアント製品 続いて、伊藤氏は製品の開発コンセプトを解説した。 「FacerLiteのキャッチフレーズは、『ブラウザだけで表現力豊かな、かつ機能的なアプリケーションが実現できる』。弊社ブレインセラーズ・ドットコムのミッションは、ユーザーとコンピュータが手軽につながるようにするというもので、これまでサーバ上でPDFをダイナミックに生成するbiz-Streamというソリューションを提供してきた。これはマン・マシン・インターフェイスのアウトプットサイドの話だが、次のラインアップとして、得意分野の技術を生かしてインプット部分を提供しようということで、開発した製品。特徴としては、リッチクライアントを実現するのにユーザーPCへのソフトウェア配布が一切不要なこと。クライアントサイドはDHTMLを使い、完全にノンプラグインでローカルにまったくプログラムを置かない。機能的には、実世界の帳票と同じようなデザインで項目などが作れて、入出力ができるもので、なおかつ、なるべく安く、軽いイメージの製品にして届けたいと考えた」と新製品への思いを語った。 FacerLiteのアーキテクチャは、サーバ上にWebアプリケーションと連動する「XMLエンジン」と「DHTML生成ライブラリ」を置き、ブラウザに対してDHTMLフォームを生成することで、クライアントの画面が表示するという形。フォーム(クライアント画面)はGUI設計ツール「FacerLite Designer」でデザインする。FacerLite Designerが実際に生成するのはXMLファイルでこれがレイアウト情報となり、XMLエンジンへの指示となる。FacerLite DesignerはEclipse 3.0のプラグインとして動作し、次期バージョンではJ2EE 5.0のJSFにも対応する予定だという。 ●顧客価値を提供するFacerLite FacerLiteの適用場面は、経理業務のようなキーボードオペレーション中心のアプリケーション、そしてエンドユーザー教育が難しいエクストラネット系のアプリケーションが有効だという。 「Webテクノロジで業務アプリケーションを作ると、マウスを使ったり、キーボードに戻したりと、とても面倒くさい」──エンドユーザーさんからの切実な話を聞きます。メインフレームの業務端末のように、キーボードだけでオペレーションできると、とても仕事の効率がアップする。 「コンピュータに不慣れな業務の現場でも、見慣れた伝票のイメージであれば、直感的に理解できる。BtoCサイトや取引先などとやり取りするエクストラネットでも、一目で分かる伝票形式なら簡単に利用できるだろう。エンドユーザーにとっては、表現力というのは極めて重要な要素だと思う」 そして企業にとって、リッチクライアント導入のメリットを次のようにまとめた。 「一般に情報システムの成功というのは測りにくいといわれている。ポイントの1つに、ユーザーのマインドが挙げられる。エンドユーザーが『使いやすい』といって喜んで使ってくれていれば、そのシステムはその会社にとって貢献しているはず。その意味ではリッチクライアントは情報システムを経営に役立てる上でキモの1つ」と強調、さらに「集中管理によって、セキュリティと配布管理の手間が大幅に削減でき、コストダウンにつながる。レガシーシステムをWeb化する場合に、アップトゥデートなシステムにするというアプローチがあるが、これも集中システムのよさを活かしたやり方だ。使い勝手と管理コスト削減を両立させるリッチクライアントは、企業情報システムのROI向上につながるもの」と結論付けた。 ●FacerLiteの表現力 続いて、FacerLiteで作成した伝票画面や病院カルテ画面を使って、その表現力と開発手順のデモンストレーションが行われた。 代表的コントロールとして、キーボード、チェックボックス、RPCライクな動きがサポートされている。 キーボード機能は、ファンクションキーやエンターキーを使ったキーボードオペレーションを実現するもので、入力フォーカス位置を見やすくはっきり表示するといったこともできる。 チェックボックスはボックスにチェックを入れる形だけでなく、文字や絵に丸をつけるといったデザインにすることも可能。RPC機能は、郵便番号を入力すると住所が自動的に表示されるような動きで、該当する住所データだけサーバから取得するような処理がサポートされている。 またGUI開発ツールのFacerLite Designerは、Eclipse 3.0上で動作するため、GUIレイアウトだけでなく、アプリケーション開発までを統合的に行うことができる。 伊藤氏は最後に、「FacerLiteは、従来のインターフェイスの欠点を補って表現力豊かで機能的なユーザーインターフェイスをエンドユーザーに提供できる。運用とユーザビリティというトレードオフ関係にあったものが解消され、両方ペイすることができる。価格的にもリーズナブルなサーバーライセンスであり、導入しやすいと考えている」とまとめた。 提供:ブレインセラーズ・ドットコム株式会社
企画:アイティメディア 営業局 制作:@IT編集局 掲載内容有効期限:2005年3月10日 |
|