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@IT > TIS導入からひもとくソリューションベンダとしてのSASの魅力 |
アットマーク・アイティ
営業企画局 制作:アットマーク・アイティ 編集局 掲載内容有効期限:2003年11月30日 |
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「SAS Telecommunications Intelligence Solutions」(TIS)は、通信事業会社に対して、ROIの短期達成とインテリジェントな企業経営をもたらす救世主的存在だ。国内外を問わず、通信事業会社は日夜熾烈な顧客の奪い合いを繰り広げている。市場自体が飽和していることに加え、他業界からの新規企業が参入。国内の動向を例にとれば、IP電話サービスで台頭してきたIT企業の躍進が目覚しい。
TISが提供するソリューションのフレームワークは図1のとおり。データ・マネジメントを行う「データウェアハウス/データマート」、各ビジネスニーズに対応した「分析アプリケーション」、そして効果的なキャンペーン施策を支援したり、分析結果を配信したりするための「キャンペーン管理&レポーティング」という3つの枠組みから構成されており、最適な分析を実現するためのデータモデルもあらかじめ用意されている。これにより、通信事業者は過去のビジネスデータを基に先手先手のビジネス戦略が打てるようになる。
TISのライセンスを購入すると、通信業界でBIを実現する際に必要となるSASテクノロジと、同社の実践ノウハウの両方が同時に手に入る。このため、従来製品と比較すると、最終的なソリューションを得るまでの工数を7割近く削減できるという。これにより、短期ROIが実現できるわけだ。 では具体的なTISの中身はどのようなものなのか。TISは、大きく分けると、SASテクノロジの集大成であるインフラ基盤「Telecommnications Intelligence Architecture」と、6つの分析アプリケーションで構成されている。アプリケーションは、基盤であるTelecommnications Intelligence Architecture上に、あたかもコンポーネントをプラグインするような形で構築するので、拡張性に優れている点が特長だ(図2参照)。
本ソリューションのキーとなるのは、基盤となるTelecommnications Intelligence Architectureの構築である。このインフラ基盤の中に、通信業界のビジネスで必要となるデータを集約し、分析に最適なデータ設計を施すことによって高速な処理が可能になり、迅速な意思決定につながっていく。では、通信業界に必要なデータとはどのようなもので、どのようなデータモデルを使えば、高速かつ結果につながる分析が可能になるのだろうか? ここを支援するのが、SASが提供する「実践ノウハウ」だ。
契約者数4800万人を抱える欧州第2位の移動体通信事業者テレコムイタリアモバイル社(TIM社)は、SAS TISを導入して解約率を40%改善、さらに導入後1年未満で500%のROIを達成することに成功した。 同社はかねてより、「顧客に関する情報を統合し、いろいろな視点での分析を容易にするセントラル・レポジトリを構築したい」「顧客セグメントや顧客行動に関しての分析をサポートするシステムを構築したい」「タイムリーなレポーティングを確実に実施できる効率的な情報配信システムを構築したい」というニーズを抱えていたという。これを受けたSASでは、顧客セグメント/プロファイリング、通話傾向分析などを分析するアプリケーション群と、Webレポーティングツールを提供。コアとなる分析基盤には、顧客属性や通話明細、コールセンターへの問い合わせ回数、そしてキャンペーンに対する反応率などあらゆるデータを投入し、3テラバイトものデータウェアハウスを構築したという。 SAS Internationalのアジア・パシフィック プロフェッショナル・サービス担当ディレクターのカルロ・グランディ氏は次のように説明する。「TISが提供するデータマイニングモデルと、顧客セグメントのアプリケーション『SAS Customer Segmentation』を組み合せることで、どの顧客が解約しそうなのかを分析しました。ここで作成されたリストの精度(モデルのフィット率)は実に90%にも達しており、解約リスクが高い顧客を正確に突き止めることができたのです」
TIM社がこれほどまでに精度の高いリストを作成できたのには理由がある。顧客の行動特性から解約率の高い契約者をリストアップするのだが、通常は通話状況を調べて解約リスクを洗い出すケースが一般的だ。しかしTIM社の場合、契約者がコールセンターに問い合わせしてくる回数を基に分析を開始。その結果、通話料金やサービスを改善することで、解約率の防止につながったという。 グランディ氏は「実は解約を考えている顧客の場合、他社サービスと比較検討するためにコールセンターに電話をかけてくる率が非常に高いのです。この場合、通話時間や回数を基に分析をかけても意味がありません。ヘビーユーザーであるほど、低価格でサービスがいいキャリアに乗り換えようとするのですから。『顧客の行動特性からリスクを発見する』とは言っても、どの行動データを使うかが成否を分けます。SASは全世界の通信業者のビジネスを支援しているので、どのデータを使えば精度の高い予測を導き出せるか、適切なアドバイスができます」と語る。 さらに同氏は、リストの精度と並んでもう1つ重要なファクターがあると指摘している。「解約しそうな顧客をいかに早いタイミングで把握できるのかも非常に重要です。例えば、来月にも契約を解除しそうな顧客リストが今やっと完成し、それをカスタマサービス部門に提供したとしても、このタイミングでは解約を未然に防ぐためのアクションが間に合いません。しかしTIM社では、TISを使うことで3カ月後に解約しそうな顧客リストの作成に成功しました。その結果、解約防止策を打つための十分な余裕が出てきたことが、大幅な解約率の引き下げにつながったといえます」 これだけ迅速に分析結果を提示できたのは、TISが提供するデータモデルと、SASのコンサルティングによって得られるデータ最適化の賜物だ。具体的には、SAS Systemで処理できる形にデータを整備し直し、TIS上で決定木分析やロジスティック回帰分析など複数のアルゴリズムを組み合せたデータモデルを作り上げ、最適解を迅速に得られるノウハウを提供。これにより、どのデータをどのようなデータアルゴリズムをあてはめればいいか迷うことなく、精度の高い予測結果が得られるわけだ。 このように、TIM社が短期間のうちに500%のROIを達成できたのは、TISによる複数のアプローチの積み重ねの結果だといえる。このほかにも、データウェアハウスに集約されたデータを「価格シミュレーション」に活用することで、競合他社が何か新しいオファーを打ち出してきたとき、TIM社としてどのように対処するか、同じようなオファーを出すべきか、それとも対応策を取る必要はないのかといった判断を迅速かつ適切に行えるようになったという。
日本国内でTISの出荷が始まったのは今年の6月から。SAS Institute Japanの営業本部第1営業部 統括部長 高木義博氏は、国内市場でのTIS出荷に際して次のように語る。「TIM社の事例に見られるように、TISは海外の通信業界の中で長年培ったノウハウをSASのプロダクト上に集大成したものです。国内の通信業界においても、ちょっとしたカスタマイズを施すことで迅速に立ち上げることができ、それだけビジネス損失も少なくできます」と自信を見せる。 もちろん、「海外のノウハウをそのまま日本に適用できるのか」という疑問もあるだろう。これに対し、同第1営業部・通信担当部長代理の福沢亮一氏は「国内の通信事業者の中には自分たちは特殊企業だからソリューションの導入は難しいと思い込まれている担当者が少なくありません。しかし、各国の事情にもよりますが、同じ通信業界であれば分析のために収集し活用するデータの共通部分は非常に多いと思います。携帯電話が飽和状態になっているイタリアでの成功事例は国内の通信事業者にも必ず適用できます」と答える。
そして実際、SAS TISを評価し、顧客維持のための分析アプリケーション「SAS Customer Retention for Telecommunications」から順次導入を始めている国内ユーザー企業も増えてきたという。現在SASでは、「どのような分析を行ったら効果が出るか」「全社統一のインフラ基盤を作るためのシステム環境の整備」といった2つの点からコンサルティングを進めている最中だ。まず分析に必要なデータはどのシステムにあるのかを特定し、データ項目を統一した後、SAS Systemに適合するようにデータの最適化を実施。実際にユーザー企業のデータを使ってテスト分析を繰り返すことで、データモデルの精度を上げていく。これにより、導入作業が完了したその日から精度の高い予測を導き出すことができる。 もう1つ、これまで同社が国内通信事業者に対して提供してきたノウハウが組み込まれていることも注目に値する。例えば国内の大手移動体通信業者では、データマイニングツール「SAS
Enterprise Miner」を導入して顧客維持活動を推進。契約者の通話行動を基に、「夜間に電話をかけることが多い顧客には夜間割引サービスを提案」、また「昼間仕事で携帯電話を使っている顧客に対しては、お得なビジネス料金プランを提案」するといった施策を打つことで、顧客維持と新規顧客獲得に成功したという。こうした実績を背景に、国内通信業者に対しても、目的に応じた最適な分析プランを提出することで、ユーザー企業のビジネスを確実に拡大していくことができるという。
世界中の通信業界ではすでに、このTISの基になるソリューションを導入し、次々と新しい成果を収め続けている。例えば、Sprint(米国)では、SAS Customer Retention for Telecommunicationsの導入により顧客満足度が向上して、全サービス分野における解約率を6%から2%に低下させることに成功した。また、Hutchison Telecom(香港)では、SAS Customer Segmentation for Telecommunicationsの導入により顧客と個々のマーケティング活動を適切に結びつけることができるようになった。 さらにドイツのTelco:Deutsche Telekomでは、SAS Cross-Sell and Up-Sell for Telecommunicationsの導入によりアップセルの成功率を14%増加させた。このほか、トルコのTurkCellもSAS Credit Scoring for Telecommunicationsの導入により支払状況のプロファイリングと料金回収ターゲット設定を実施できるようになり、回収率は1カ月当たり6%向上し、料金滞納となる顧客の予測率も350%向上させることに成功したという報告がある。 SASは今後も、こうした国内外のベストプラクティスをベースに、各企業に応じた最適な分析ソリューションを提供し続ける方針だ。
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