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 @IT > @IT Special PR:SPSS Data Mining Day 2007 イベントレポート前編
 
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 今年で9回目の開催となる「SPSS Data Mining Day 2007」は、渋谷セルリアンタワー東急ホテルに、雨模様の中1200名を超える来場者を集めて開催された。

渋谷セルリアンタワー東急ホテルにて行われた
「SPSS Data Mining Day 2007」

SPSS Inc.President & CEO ジャック・ヌーナン氏

 冒頭、あいさつに立ったSPSS Inc. President and CEO、ジャック・ヌーナン氏によれば、「データマイニング」をメインテーマに据えた、このような大規模な集まりが開催されているのは日本だけであり、世界に類を見ないものだという。また、SPSS Japan Inc. 上級副社長、村田悦子氏は、過去の来場者は延べ1万人に達することを伝えて、来場者に感謝の意を示した。

SPSS Japan Inc.
上級副社長 村田 悦子氏

 村田氏は、日本のデータマイニング市場シェア50%を占めるに至った同社の立場を踏まえ、「今年は、ここに来れば“データマイニングのすべてが分かる”ということを狙いにして、昨年までの半日のプログラムを全日に拡大、セッション数を4コマから10コマへと大幅に増やして、ユーザーのみなさまの期待に応えたい」とあいさつの中で語っていた。

 当レポートでは、基調講演を始めとして、SPSSソリューション、およびいくつかの導入事例を紹介していく。

基調講演
「経験価値思考マーケティングとデータマイニング」
神戸大学 大学院 経営学研究科 教授 石井 淳蔵 氏

神戸大学 大学院 経営学研究科 教授 石井 淳蔵 氏

 石井氏は、まず日本企業の経営課題として、「構造的な利益率低下」を挙げた。スクリーンに映し出された加工食品業界の過去40年間の投資利益率の推移のグラフを見ると、40年前は、優良企業とみなされる6%のラインを維持する企業が多かったにもかかわらず、近年は軒並み3%以下にまで低下している。

 一方、日本に進出している大手外資企業ではどこも同10%を超えており、コカ・コーラのように営業利益率30%以上、投資収益率は25%に達するところもある。同氏は、こうした構造的な利益率低下の原因は、市場成熟期に起こる「過剰品質」にあると指摘する。したがって、機能や性能において、競合とどう差別化を図るか、また市場のどこを狙うのかといった従来の典型的なマーケティング発想から脱却する必要があるという。

「技術進歩のペースが速まり、製品の性能が、顧客が使いこなせる水準を上回ってしまうと、その製品は『過剰品質』となります。すなわち、顧客からは、競合製品との機能・性能上の違いはもはや感じられず、価格競争に陥ってしまうため儲からなくなるわけです」(石井氏)

 同氏は、これを「脱構築」(「脱競合」「脱市場」)と呼ぶ。この「脱構築」の実践方法が「消費経験アプローチ」であり、このアプローチに基づいてマーケティングの統合を図るのが「消費経験価値志向のマーケティング」だという。「脱構築」とは、そもそも、現実に対する思い込みを捨てることであり、また、機能性や合理性以外の見方(情緒性など)にも着目することである。つまり、「消費経験アプローチ」とは、消費者の消費経験の観察を通じて、顧客が意識しないような生活課題とその解決策を見出したり、商品がどのように使用しているかを探ったり、また、商品にどのような意味を与えているかを探ることだそうだ。

 さて、いくつかの消費経験アプローチの事例のうち、「ミルクシェイク」のケースを紹介しよう。ミルクシェイクを販売している企業が、新商品開発を行うため、2つの開発チームが調査を行った。一方のチームは「グループインタビュー調査」を採用したが、こちらはうまくいかなかったという。もう一方のチームは店頭に出向き、ミルクシェイクの購入者を一日中観察し続けた。すると、朝方、男性の購入客が多いことが分かった。その理由を探ってみると、車通勤の男性が運転中に、ミルクシェイクを朝食代わりに飲んでいたという事実が明らかになったそうだ。

 そこで、このチームは、こうした車通勤用の朝食市場に適したミルクシェイクを開発したのだという。「朝食」という切り口から考えれば、ミルクシェイクの競合製品はドリンク類ではなく、ドーナツやサンドイッチなどとなる。消費者を観察することがなければ、このような視点は得られなかったはずだ。 同氏によれば、消費者経験アプローチにおける調査の視点は、商品が生活の中でどう位置付けられているかを知ることである。そして、調査方法としては、定性調査と定量調査の折衷になる。このアプローチにおいて「データマイニング」は、消費経験にかかわる思わぬデータ間の関係を発見することを始めとして、さまざまな活用が可能だという。

 例えば、

  • ダイレクトメールのデータを用いて、レスポンス率の改良のための手掛かりを得るコールセンターで、お客さんからの聞き取りデータを用いて、適した商品を推奨するWebサイトで、アクセスする人の行動傾向を分析して、個人に特化したサイトを提供する
  • お店で、お客さんデータを用いて優良顧客を見分ける

などがある。

 同氏は、近年、「マーケティング・リテラシーの向上」を唱えている。「マーケティング・リテラシー」とは、消費者などについての知識を学び、増やし、活用する力のことだ。そこで、さまざまな知識を集約し、営業、マーケティング、製品開発に役立てることのできる「知識のダム」を構築することが、今後の企業のマーケティング活動にとって非常に有効であるとの考えを示し、基調講演を終えた。

SPSSソリューション
「The Power of Words 〜データマイニングのビジネス価値を高める言葉の力〜」

SPSS Inc. Vice President オリビエ・ジューヴ 氏

SPSS Inc.
Vice President
オリビエ・ジューヴ 氏

 テキストマイニングの分野で約20年の経験を持つジュ−ヴ氏によれば、企業内で扱うデータのおよそ80%は、eメールやコールセンターの記録、各種報告書やWebサイト、ブログなど、非構造のテキスト文章、またはテキストだという。

 近年、インターネットの進展、とりわけWeb2.0が叫ばれる昨今では、顧客自身がブログを通じて膨大なテキスト文章、テキストデータを生み出している。こうした顧客の声をほかの顧客が信頼し、商品やサービスの購入に当たって参考にするようになってきた。

「こうした顧客の声(オピニオン)は、さまざまなチャネルを通じて簡単に収集できる“事業価値の高いデータ”であり、活用しない手はありません」(ジュ−ヴ氏)

 ところが、企業側に目を向けると現実は顧客の声を十分に理解し、活用するに至ってはいないという。このことは、商品やサービスの使用を止めた原因について、消費者アンケートでは顧客サービスがトップ(74%)であるのに対し、企業管理職に聞いたアンケートでは、顧客が離反した理由として「価格」(36%)がトップに上がっていることからもわかる。

 結局のところ、ほとんどの企業は、データを分析するトップダウンのアプローチは取っているものの、その分析結果を効果的にアクションに結び付けられていないというのが現状だそうだ。

 この分析結果(知識)と具体的なアクション(実行)の差を「Execution Gap」と呼ぶが、これを解決する1つの手段が「テキストマイニング」である。テキストマイニングは、非構造のテキストデータから、核となるコンセプトや感情など、ビジネスを向上させるための意思決定に有用な知見を抽出することができる。

 同氏は、テキストマイニング技術の進展の歴史について簡単に紹介してくれた。1970年代は、「単語」レベルの抽出がせいぜいだったものが、1980年代には「表現」(単語と単語の組み合わせ)の抽出が可能となり、1990年代に入ると、「携帯電話という単語は、通信業界の専門用語である」といった固有表現(固有名詞)の識別まで進み、さらに現在では、文章に含まれる「感情」の読み取りも行えるようになっているという。コールセンターなどでは、顧客との会話の中から、顧客の声の強さ(ストレス)を自動的に分析して、感情の起伏の様子を知ることさえできるのだという。

 ケーススタディの1つとして、「FlyerTalk.com」というWebサイトに開設されている「The Hotel Programs Forum」のコンテンツの分析のポイントをご紹介する。これは、同フォーラム内でホテルの利用者が投稿した、大手ホテルのロイヤルティプログラムについての意見や感想をSPSSの各種ツールを用いて分析したものである。

 この分析結果から、20%の利用者で投稿全体の80%を占めるという、いわゆる「パレートの法則」が見出されたこと、またフォーラムに投稿された話題の中からは、ホテル滞在時の肯定的、または否定的な体験、ホテルの見た目や設備、予約プロセス、ロイヤルティプログラムで得たポイントの効果的な利用法などの共通したテーマが発見されている。そして、テキストにおける満足度指標(Text Satisfaction Index)を用いて、競合ホテルブランド間の差異を比較することが可能だそうだ。

 なお、同氏によれば、顧客の将来の行動(購入、解約など)を予測するためのモデルとして活用できるデータには次のような種類があるという。

  • 属性データ(性別/年齢/職業/居住地など)
  • 行動データ(注文/取引履歴/支払い履歴/利用履歴など)
  • 態度データ(意見/嗜好/ニーズ/要望など)
  • インタラクションデータ(オファー/キャンペーンの結果/コンテキスト<文脈>/クリックストリーム<Web上の動線>など)

 これらのデータに対して、Webマイニングやテキストマイニングを活用して予測モデルを構築していくわけだが、Webのデータを追加することで予測モデルの精度は20%向上し、また態度データの追加では同30%、そしてテキストデータの追加により、予測精度が40%向上したケースもあったそうだ。同氏のプレゼンテーションは、こうしたテキストマイニングの有効性を示唆して締めくくられた。

「データマイニング活用指南〜PES3.0で分析業務がここまで変わる〜」
SPSS Japan Inc. セールスエンジニアリング シニアマネージャ 鈴木 貴志 氏

SPSS Japan Inc.
セールスエンジニアリング
シニアマネージャ
鈴木 貴志 氏

 SPSSの鈴木貴志氏は、2007年8月にバージョンアップ予定の「Clementine11.1」および「Predictive Enterprise Services 3.0(PES)」の新機能ついて、デモを見せながら紹介してくれた。 鈴木氏はまず、そもそも「データマイニングとは何か」について、OLAPや統計分析との対比で説明を行った。すなわち、OLAPが現状の把握が主目的であるのに対し、データマイニングでは、顧客の行動についての将来の予測が最大の目的である。また、統計分析の主な狙いは、仮説を検証することであるのに対し、データマイニングのそれは、大規模データを分析することを通じて仮説を構築することにあるそうだ。

 データマイニングとは、仮説を構築するプロセスともいえる。データマイニングによって作成された予測モデルは、業務システムに組み込まれて実務に活かされるが、その結果は再びデータマイニングに戻され、予測モデルの精緻化に活用される。こうした業務にひも付いた分析サイクルを実現することが、データマイニングには求められているという。

「“Clementine”は、データマイニングを行うための『ワークベンチ』です。プログラミングなしで、操作性の高いGUIを通じて、データの加工、視覚化、モデリング、出力まで一貫したサポートを可能にしています」(鈴木氏)

 さて、データマイニングでは、大きくは次の3つのことに活用できるという。

  • 予測(解約防止、売上予測、在庫予測など)
  • 分類(顧客購買類似グループ、商品ポジショニング、店舗特性把握など)
  • パターン発見(クロスセリング、アップセリング、Webサイト適正化サポートなど)
(画像をクリックすると拡大します)
Clementine 11.1で追加される新規追加ノード

 Clementine 11.1では、新たにさまざまな機能が追加されているが、その根底に一貫して流れる思想は「分析者の作業を楽にする」ということだそうだ。データマイニングは仮説を構築するプロセスであるため、分析者は試行錯誤しながら、さまざまな切り口で分析を繰り返さなければならない。当然ながら、分析には膨大な手間と時間が必要とされるため、できるだけ分析者の作業負荷を軽減できるような機能を追加したというのである。鈴木氏のデモは、そうした新機能を中心としたものとなっていた。

 例えば、モデル作成時に使用する「2値の分類」の機能だが、予測値が「YES」「NO」のどちらかに分けられるようなもの(解約をする、しないなど)であった場合、分析手法としては、C&R Treeや、CHAID、デシジョンツリー、ニューラルネットワーク、ロジスティック回帰分析などさまざまなものが適用可能だ。

 これまでのバージョンであれば、異なる分析手法を適用するためには、同じような作業を繰り返す必要があったが、新バージョンでは、同じデータに対して複数の分析手法をいっぺんに適用できるようになったため、繰り返しの手間が大幅に削減された。それに加え、それぞれの分析結果を一覧して確認することができるようになっている。そのため、どの分析の精度が高いか、といったことも素早く比較検討できる。

 続いて、鈴木氏は「Predictive Enterprise Services 3.0(PES)」の説明に移った。PESとは、一言でいえば「分析プロジェクト全体を自動実行させる管理ツール」である。すなわち、ClementineやSPSSにおける複数の分析処理やモデルを管理することにより、分析業務を支援してくれる。 PESの主な機能は下記のとおりである。

  • ファイル管理(作成したストリームのバージョン管理、モデルの複数管理、検索など)
  • スケジュール管理(日次、週次、月次単位での自動実行、ジョブ終了通知等のアラート機能など)
  • アプリケーション間のジョブ、コマンドの実行(複数の分析ツールを一括実行、加工、集計、モデル化、レポートの一連の定型作業を無人で実行など)

 最新バージョンのPES3.0では、レポーティング機能の強化が図られた。具体的には、Webを通じて、分析者以外の一般ユーザーが分析結果を容易に閲覧することができる。

(画像をクリックすると拡大します)
BIRT Report Designerによるレポート作成画面。GUIの操作だけで簡単にレポート形式を作成できる

 この機能を実現するために追加されたモジュールが「BIRT Report Designer」である。BIRT Report Designerでは、実際のアウトプット(帳票)のイメージを操作しながらレポートをデザインできるため、大変使い勝手が良くなっている。また、一般ユーザ側では、「Predictive Enterprise Browser」を用いることで、ブラウザー経由で分析結果にアクセスできる。

 鈴木氏は、PESは、「データ分析用のプラットフォーム」として分析、活用、検証の一連のサイクルを支援するものであり、部門から組織規模でのデータ分析を実現するツールであると述べて講演を終えた。


SPSSでは、“Clementine”をはじめとするSPSS製品や
データマイニングに関する各種資料をご用意いたしております。

資料をご希望の方は、SPSSのWebサイト内
資料請求ページ」にてお申し込みください。


提供:エス・ピー・エス・エス株式会社
企画:アイティメディア 営業局
制作:@IT 編集部
掲載内容有効期限:2007年9月27日
 
<開催概要>
日時
2007年7月12日(木)
会場
セルリアンタワー東急ホテル
主催
エス・ピー・エス・エス株式会社
協賛社
茨城日立情報サービス株式会社
日本電気株式会社
日本ネティーザ株式会社
<プログラム>
10:00-10:10
SPSS Opening Address
SPSS Inc.President & CEO
ジャック・ヌーナン 氏
SPSS Japan Inc. 上級副社長
村田 悦子 氏
10:10-11:10
基調講演
経験価値志向マーケティングとデータマイニング
神戸大学大学院 経営学研究科 教授
石井 淳蔵 氏
11:10-12:00
SPSSソリューション
The Power of Words 〜データマイニングのビジネス価値を高める言葉の力〜
SPSS Inc. Vice President
オリビエ・ジューヴ 氏
13:10-14:00
A-1
「データマイニングが生み出すビジネスチャンス」
明治学院大学 経済学部 国際経営学科 教授 清水 聰 氏
B-1
テキスト情報から『次の一手』を決めるマーケットの本音を探索 〜 『なずき』による感性分析を主軸とした新たなテキストマイニング 〜
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ
法人ビジネス推進部
なずき推進室 商品企画・営業チームリーダ
尾崎 哲夫 氏
14:10-15:00
A-2
有機野菜などの会員制宅配組織『大地宅配』における購買分析
大地を守る会/株式会社大地 
販売促進チーム
表 恒伸 氏/前川 隆文 氏
B-2
大規模データ時代の顧客データマイニング〜新しいパラダイムを創造するDWHアプライアンス〜
日本ネティーザ株式会社 代表取締役 兼
北アジア・ゼネラルマネージャー
ダグラス・エッツェル 氏

日本電気株式会社 UNIVERGEシステム本部 DWH-SI部 マネージャー 外賀 伸治 氏
15:20-16:10
A-3
情報大航海時代に向けたNTTドコモにおける戦略的情報活用
株式会社NTTドコモ 情報システム部
情報戦略担当部長
久保田 明 氏
B-3
データマイニング活用指南〜PES3.0で分析業務がここまで変わる〜
SPSS Japan Inc.
セールスエンジニアリング
シニアマネージャ
鈴木 貴志 氏
16:20-17:10
A-4
感性工学的アプローチによるコーポレートブランドの分析
セイコーエプソン株式会社
ブランド・コミュニケーション推進部
野本 泰弘 氏/布施 智一 氏
B-4
「『個客』をどのように理解するか〜多様化するユーザー像とデータ分析〜」
タカラインデックスeRラボ株式会社
データベースマーケティング部 マネージャー
神谷 謙五 氏

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