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オープンソースのメリットを最大化
ウインドリバーのLinux戦略が支持される理由

ウインドリバーのLinux戦略が本格的に動き始めた。組み込みOSのプロ集団が、組み込み分野でLinuxを活用するための総合ソリューションを提供する。Linux適用に苦労してきた機器メーカーの関心は高く、採用に向けた動きも始まった。来るESECでは、その一端が披露される。

 「VxWorks」は商業的に最も成功した組み込みOSの1つである。コンシューマ機器や通信装置、そして極めて高い信頼性が要求される航空宇宙機器まで幅広く利用されている。

 そのVxWorksを擁するウインドリバーが、組み込みLinux「Wind River Linux Platform」に力を入れる。組み込みOSとして普及し始めたLinuxを取り込んでユーザーの選択肢を広げるのが目的だが、決して名目上のラインアップではない。組み込みOSベンダとして、オープンソースのLinuxでも商用のVxWorksに劣らない付加価値を提供している。

 ウインドリバーのLinux Platformはその名のとおり、OS単体ではなくLinuxカーネルに約120種類の標準的なオープンソースミドルウェアをセットしたプラットフォーム製品として提供されている。それも単にバンドルするのでなく、5000種類以上の社内テストを経て一定基準をクリアしたものだけを組み合わせている。さらに、Eclipseベースの統合開発環境「Wind River Workbench」、クロスビルド環境「Wind River Cross Build System」が加わり、VxWorksと同様の支援メニューも用意されている。Linuxを使った組み込みシステム開発を全面的に支援する内容だ。

 そしてDSO(Device Software Optimization)戦略のもと、用途に応じて3種類のLinux Platformをラインアップする。2004年11月に通信機器向けプラットフォーム「Platform for Network Equipment」にLinux版が登場したのを皮切りに、2005年6月に汎用向けの「General Purpose Platform」、同年11月にコンシューマ機器向けの「Platform for Consumer Devices」でもLinux版が登場している。

図1 Wind River Linux Platform 1.3の構造。Linuxカーネルからミドルウェア、開発環境、サポートまでを一体的に提供する

   標準カーネルを基に高度サービス

 Linux Platformの最大の特徴は、コアとなるLinuxカーネルに「プリンスティンソース・カーネル」を採用していることである()。

注:現行のLinux Platform 1.2はLinuxカーネル2.6.10でCGL v2.0。7月に出荷予定の最新版では、カーネル2.6.14でCGL v3.0となる。

 一般にベンダが組み込み用途に提供するLinuxカーネルは、リアルタイム性を高めるなどの目的で独自チューニングを施すが、ウインドリバーの場合、コミュニティが提供するカーネルに加工を施していないのだ。

 これについて、シニアプロダクトマーケティングマネージャーの若山朱美氏はこう述べる。「Linuxでは、ベンダやユーザーごとに仕様が枝分かれし、オープンスタンダード性が損なわれる『フォーク現象』が問題となっている。ユーザーの判断でカーネルに手を加えるとしても、そのベースが標準であるプリンスティンソースならコミュニティがリリースするパッチもスムーズに適用でき、正統な進化をとげられる」。

 もちろん、汎用OSのLinuxを組み込み用途に使おうと思えば、カーネルチューニングが必要となるかもしれない。その場合でも、ウインドリバー独自のCross Build Systemにより、変更管理・構成管理が行える。どのようにチューニングし、どのようなパッチやミドルウェアを適用したか、確実にトレースできるのである。

 こうした変更管理・構成管理を十分に行わないままOSのカスタマイズを進めた結果、何か問題が発生したときに前にも後にも進めず、立ち往生するケースが多くある。また、機器への適用もその場限りで再利用が難しい。その点、ウインドリバーのLinux Platformは、Cross Build Systemによって高レベルのカスタマイズ性と再利用性を保証する。

 なお、Linux Platformには「テクニカルサポート」「プロフェッショナルサービス」の2種類の支援メニューがある。前者が一般的な保守サービスであるのに対して、後者はカスタマイズや受託開発など高度サービスを提供する。ユーザーの要求に合わせて、カーネルチューニングを含めたプラットフォーム全体の最適化も担う。オープンソースのLinuxでも商用に劣らないサポートが受けられるのだ。

   コミュニティ貢献でLinuxを改善

 Linux Platformのもう1つの大きな特徴は、「6カ月トレインモデル」として6カ月ごとのバージョンアップをユーザーへコミットしていることである(18カ月先までのロードマップを開示)。組み込みOSでは異例のことだ。バージョンアップごとに新機能や対応CPUが追加され、コミュニティからリリースされたパッチやミドルウェアの追加/修正も確実に適用される。「開発計画が立てやすいとユーザーから喜ばれている」(若山氏)というのも当然だろう。

 こうした定期的なバージョンアップが可能なのは、1つには前述したように、Linuxカーネルに業界標準のプリンスティンソースを採用しているからだろう。世界中の大勢のエンジニアが、日々改善に取り組んでいるオープンソースであることのメリットを最大限に生かしている。

 ウインドリバー自身もコミュニティ活動に積極的にかかわる。Linux普及を推進するOSDL(Open Source Development Lab)において、通信装置向け「キャリアグレードLinux」やケータイ向け「Mobile Linux」を議論する部会に参加。デジタル家電向けLinuxを議論するCELF(CE Linux Forum)にも参画している。Linux自体の機能拡張は、コミュニティへの貢献を通じて行うという考えを貫く。

 一方、ウインドリバー内部でもかなりの開発リソースをLinux Platformに注いでいる。“OSのプロ”であるエンジニアを全世界で約400人動員して、製品開発に当たるとともに、250人近いプロフェッショナルサービスエンジニアがユーザーの要求に応えてカスタマズなどを行っている。また、多方面でコミュニティ活動に参加しており、Linux Platformのブラッシュアップも迅速、的確に行える。ともあれ、ここまでLinuxにスティックしているヘンダはあまり例がないだろう。もちろん、大手機器メーカーであってもLinuxに対してここまでの開発リソースはさけない。

   Workbenchで、エンド・ツー・エンド開発

 Linux Platformの魅力を語る際に、Workbenchの存在を外すことはできない。ウインドリバーはもともと、VxWorks向けIDEとして使い勝手に定評のあった「Tornado」を擁していたが、2005年夏からVxWorks、LinuxともIDEはWorkbenchに一本化。若山氏は、「Tornadoから継承した使い勝手の良さと進化の速いオープンフレームワークが融合し、Workbenchの使い勝手はTornadoを上回るところまできている。開発環境の貧弱さがLinuxの弱点といわれてきたが、それは過去のこと」と自信を見せる。ウインドリバーはEclipse Foundationの戦略メンバーとして運営をリード()するとともに、組み込み開発に関する機能やツールを提供するDSDP(Device Software Development Platform)プロジェクトのプロジェクトリーダーという役割を担っている。

注:Eclipse Foundationの戦略メンバーは、年会費の拠出に加えて最低8人の技術者をEclipse関連の開発に従事させる義務を負う。

 Workbenchは、ハードウェアの立ち上げからテスト、製造まで1つのIDEでエンド・ツー・エンドの開発をサポートできるのが特徴である(図2)。プロジェクト管理、ビルド、コンパイラ、エディタ、ソースコード解析、デバッガなど一通りの機能が標準で備わっている。Eclipseベースなので、自社製/サードパーティ製プラグインを自在に組み合わせることも可能だ。

図2 エンド・ツー・エンドの開発をサポートするWorkbench

 オプションの動的診断ツール「Wind River Diagnostics」を組み合わせると、診断用パッチをターゲット上の実行プログラムへネットワーク経由で挿入。必要なデータを出力させたり、データロギングしたりできる。実行プログラム自体に手を加える必要はない。つまり、従来の「編集−コンパイル−ダウンロード−テスト」のデバッグサイクルとは異なる画期的な実稼働中のシステムのデバッグが可能となる。また、ネットワークを介して行うことにより、遠隔診断にも使え、出荷後の市場における機器のマネジメントまで拡張が可能となり、「真のエンド・ツー・エンド開発を実現できる」(若山氏)。

 さらに、同じ操作性と手順でVxWorksとLinuxのマルチOS開発が可能な点もWorkbenchの魅力だ。携帯電話基地局で使うハイエンド通信装置などでは、リアルタイム性に優れるVxWorksと汎用的なLinuxを併用するニーズがあり、Workbenchで一元的に開発が可能となる。ウインドリバーはVxWorks、Linuxの両方で、マルチプロセサ構成機器への適用が期待されるクラスタ向け通信プロトコル「TIPC(Transparent Inter Process Communication)」への対応を果たしており、マルチOS開発へのニーズはさらに高まりそうだ。

   搭載製品のお目見えも目前

 以上のように、Linux PlatformはVxWorksの補充的なサブラインアップではない。VxWorksと並ぶ主力ソリューションへ育てるという、ウインドリバーの気構えが伝わってくる。一番先にリリースされたPlatform for Network Equipmentは、海外の通信機器メーカーを中心に採用が進んでいるという。一方国内では、コンシューマ機器向けのPlatform for Consumer Devicesへの関心が高まっているという。「内製やほかのベンダ製品で苦労したユーザーが、われわれのLinux製品への乗り換えを検討している」(若山氏)と、水面下では採用に向けた動きが進んでいるようだ。

 いよいよウインドリバーのLinux戦略が国内でも本格的に動き始めた。要注目である。

「組込みシステム開発技術展(ESEC)」出展のお知らせ
6月28〜30日に東京ビッグサイトで開催される「組込みシステム開発技術展(ESEC)」において、その一端が披露されるもようだ。Linux Platformを搭載した次世代IP携帯電話、ホームネットワーク規格「DLNA(Digital Living Network Alliance)」対応、通信事業者向けなどのレファレンスデモ機が出展され、デモが行われる予定。

詳細は、ウインドリバーのWebサイトにてご確認ください。


提供:ウインドリバー 株式会社
企画:アイティメディア 営業局
制作:@IT 編集部
掲載内容有効期限:2006年6月30日
 
関連リンク
ウインドリバー

ソフトウェア総合開発プラットフォーム

Wind River Platform for Consumer Devices Linux Edition

Wind River Platform for Network Equipment Linux Edition

General Purpose Platform Linux Edition

開発スィート「Wind River Workbench」

動的診断ツール「Workbench Diagnostics」

ハンドヘルド・デバイス向けインテル次世代アプリケーション・プロセッサ対応 ウインドリバー Linuxプラットフォームを発表(プレスリリース)

業界初のデジタルコンシューマ向け商用Linuxプラットフォーム製品を発表(プレスリリース)

LinuxベースのプラットフォームWind River Platform for Network Equipment, Linux Editionを正式出荷開始(プレスリリース)

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