プロダクトリーダーに聞く、企業ITの30年、JP1の30年

» 2024年11月29日 10時00分 公開
[PR/@IT]
PR

 自社のメインフレームの知見を生かした、オープン系ネットワーク(分散)型ジョブ管理製品として1994年に誕生した日立製作所(以下、日立)の統合システム運用管理「JP1」。ITシステムのトレンドがオープン化から仮想化、クラウド、クラウドネイティブへと移り変わっていく中で、ユーザーニーズに応えながら継続的に機能を発展。30周年となる現在、生成AI(人工知能)も機能に取り込み、多くの企業のビジネスとシステムを支えている。この30年間における「企業ITと運用管理の変遷」を日立はどう見てきたのか。プロダクトおよびサービス開発責任者としてJP1に携わってきた吉田雅年氏と高木将一氏に、「JP1と運用管理」にかける思いと「運用管理の価値」を聞いた。

photo 左:吉田雅年氏(日立製作所 クラウドマネージドサービス本部 本部長)/右:高木将一氏(日立製作所 クラウドマネージドサービス本部 運用管理プロダクト&サービス部 部長)

ユーザーニーズに応えるという思想は、製品開発当初から受け継がれてきたもの

 テクノロジーの進化により、ビジネスプロセスがデジタル化されていく過渡期の中で生まれたJP1。ITシステムがメインフレームからUNIXサーバなどオープンシステムにダウンサイジングしていく流れの中で、メインフレームでは当たり前だったバッチ処理などを自動実行する機能をオープン環境で実現することから、その歴史は始まった。

 「UNIXやWindows環境に移行する上で、ジョブ管理は必須の機能でした。その後すぐに配布/資産管理、ネットワーク管理などの機能もカバーし、マルチベンダー対応に取り組んでいきました。日立でもメインフレームOSを手掛けてきたことから、変化に臨むお客さまのニーズにいち早く応えたいという強い思いがあったのです」(高木氏)

 求められる機能を素早く展開したJP1は、パートナー販売を開始した1997年ごろから統合運用管理製品として急速に日本中のIT部門に普及していく。当時のIT部門は、開発と運用の距離が近く、ニーズや要件を包括的にカバーすることが重要だったという。

 「当時は、今でいうDevOpsやSREに近い考え方や体制があったのではないかと思います。次第にITが発展して分業化が進み、効率化を追求する流れが強まったことで開発と運用の立ち位置も変わっていきました。そんな中でも、ユーザーニーズに応えてさまざまな機能を提供していこうという考え方や思想は、JP1を提供し始めた当時から受け継がれてきたものです」(吉田氏)

オープン化、仮想化、クラウド――時代が変わっても「業務の視点で進化を追求」

 その後、ITシステムのトレンドは仮想化、クラウドへと移り変わっていくことになる。ビジネスに追従するインフラ運用のスピードや柔軟性が重視され始めたのもこのころからだ。JP1もニーズに合わせ、モニタリングや可視化の機能強化を進めていく。

 「業務システムの数が増え、仮想マシンを中心に管理対象が増えると、障害が起こったときに原因がどこにあるのか見えにくくなります。そこで複雑化、大規模化したシステムを一元管理し、障害時にも業務影響を迅速に把握できるよう、モニタリングや可視化を軸に管理性の強化を図っていきました」(高木氏)

 例えば、2009年のV9では、物理/仮想サーバの混在環境でCPUリソース使用率を可視化する機能や、各システム構成要素の依存関係をひも付けて監視し、稼働状況を一元的に把握できる機能を強化。大規模システムにおける運用性の向上を図った。2012年のV10ではクラウド対応を強化してJP1製品群の連携機能を向上させ、各種運用オペレーションの自動化を実現。その後、企業のクラウド利用が本格化する中、2016年のV11ではハイブリッド環境の一元管理機能も強化した。2021年にはJP1のSaaS版「JP1 Cloud Service」の提供も開始している。

 このように振り返ると、ニーズの変遷に応え続けてきたことが改めてうかがえる。ただ一般に、仮想化によるサーバ統合やクラウド移行では、管理性向上によるコスト削減が目的化する傾向が続いてきた。しかし、JP1はニーズに応えながらもそれにとどまらず、「ビジネスをどう支えるか」という視点で開発してきたという。

 「もちろんコスト削減はIT部門にとって重要な目的の一つです。ただ、それだけではなく、お客さまのビジネスをどう伸ばすか、ビジネスにどう貢献するかを重視してきました。例えば仮想マシンをスケールさせたり、障害対応をしたりする際も、業務にどのような負荷がかかるのか、業務への影響範囲はどの程度かをモニタリングできるような機能を提供していました」(吉田氏)

 このような“ビジネスに貢献する運用管理”を見据えた製品開発は、クラウドネイティブ時代に入るとさらに加速する。2023年のV13では「ハイブリッド/マルチクラウド環境の運用変革」をテーマに、一層の効率向上と“ビジネスの安定運用”の両立を追求している。

 「昨今は、ミッションクリティカルシステムはオンプレミスに、顧客向けサービスなど頻繁な機能変更や改善が求められるシステムはクラウドに配置する、といった適材適所のインフラ運用が求められています。V13では、そうしたハイブリッド/マルチクラウド環境の一元管理機能を向上させながら、システム全体の健全性を可視化するオブザーバビリティを強化しています。これにより、インフラの稼働状況とともに、SLO(サービスレベル目標)などの指標を使って『システムを快適かつ安定的に提供できているか』といったエンドユーザー視点の監視が行えます。運用効率化とビジネスへの貢献、そのバランスを重視しています」(高木氏)

 「ビジネスの変化が速くなると、システムもその変化に追従できるよう進化する必要があります。JP1は、仮想化やクラウド利用が進む中で機能を強化し、クラウドネイティブ化が進む中でDevOpsやSREといった開発と運用が一体化した体制にも対応できるように進化してきました。ニーズを反映しながら、“一歩先を読んだ”製品開発を進めることで、新しい価値を創出し続けてきたという自負があります」(吉田氏)

システムと運用現場が変わり続ける中、30年間変わらずに提供してきたJP1の価値

 JP1はユーザーからの評価が高いことでも知られる。高度な信頼性と安定性が求められるミッションクリティカルシステムの運用、ハイブリッド/マルチクラウド環境の一元管理、新しい運用スタイルであるSREへの対応など、多様な運用ニーズに応える機能を、各社の状況に最適化して実装できる点が強みだ。

 「細やかなインテグレートが可能な点は高評価を得ています。例えば、お客さまが新しい取り組みを進める中で既存システムと新システムが混在し、それらの監視ツールであるJP1のバージョンもまた混在した状態になっても後方互換性があるため一元的な管理性は損なわれません。動作確認やサポートを含め、新システムへのスムーズな移行を支援します」(高木氏)

 「日立にはお客さま対応専用の部屋があります。システムにトラブルが発生した場合、それがJP1に起因するトラブルでなくても各専門知識を有する社員が集まって一丸となって支援します。その結果『ビジネスを止めずに済んだ』『ビジネスを円滑に進めることができた』と感謝されることも多いですね」(吉田氏)

 一方で、ビジネスへの追従が求められるのはシステムだけではない。ビジネス貢献という点で、運用管理者に求められる役割も変化しつつある。

 「システムの変化に合わせて運用も変えていかなければ、システムが本来の価値を発揮できません。今の運用者には、システムの変化に応じた運用の最適化が求められています。JP1はそうした変化への対応をサポートしつつ、お客さまの課題やニーズに応えられる製品を今後もリリースしていきます」(吉田氏)

 このように、システムと運用管理者の双方を支援し続けてきたJP1だが、労働人口の減少や新技術への対応など、運用現場の課題は依然として多い。時代に応じてビジネスやシステムが変わり続ける以上、新たな課題は常に生じるが、この30年間、JP1はその時々の運用管理者の悩みや課題に寄り添い、常に一歩先を見据えて発展してきた。そのスタンスは今後も変わらないという。

 「30年間にわたってお客さまのITシステムを支える活動に貢献できたことは非常にうれしいです。一方で、今後も日本中のお客さまを支え、期待に応え続けていくことに責任の重さも感じています。生成AIのような先端技術によって運用の在り方にブレークスルーが起こり始めている中で、運用者の役割も変わっていきます。今後もそうした変化に対応し、お客さまを支えていきます」(高木氏)

 「30年続くプロダクトはそう多くありません。JP1は、お客さまとパートナー企業からのフィードバックを取り入れながら機能をブラッシュアップしてきました。そうした製品開発サイクルのもとで、多くの企業と社会に貢献できたことは感慨深いです。JP1が今後も大切にすることは2つです。一つは世の中の変化をキャッチアップし課題を先回りして解決すること。もう一つは、いざというときにもお客さまを変わらず支援し続ける体制を維持することです。そこは今後も変わらない日立の価値だと考えています」(吉田氏)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


提供:株式会社日立製作所
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2024年12月4日