IT部門の担当者が1人または極めて少人数の「小さなIT部門」は、企業にとって重大なリスクにつながりかねない。この状態を脱するためにはどうすればいいのか、“あるある”な問題に応じた解決方法を探る。
IT部門を1人、またはごく少人数で担当する「小さなIT部門」の体制に悩む企業が増えている。小さなIT部門は、業務の属人化、担当者の負担増大、セキュリティ対策の脆弱(ぜいじゃく)性など、企業にとって重大なリスクとなる。この問題を解決するためには組織全体での取り組みが不可欠だ。本記事は、小さなIT部門の問題点と解決策について詳しく解説する。
小さなIT部門は日々の業務に追われながら、企業全体のIT戦略も考えなければならない重責を担っている。このような状況が発生する背景には慢性的なIT人材不足が挙げられる他、経営層のIT投資への理解不足、コスト削減の一環としてIT部門を縮小する動きも要因となっている。
最大の問題点は業務の属人化だ。1人、またはごく少人数の担当者に全ての知識やノウハウが集中することで、その担当者が不在になった際に業務が停滞するリスクが高まる。急な病気や退職によって担当者が不在になると、システムトラブルへの対応や日常的な運用管理が滞ってしまう。
属人化によって業務プロセスの標準化や効率化が進みにくくなり、長期的には企業の競争力低下につながる。このような状況を避けるためには、業務の可視化やマニュアル化、知識の共有が不可欠だ。
負担増大による健康リスクにも注意が必要だ。システムの運用管理、セキュリティ対策、ユーザーサポートなど、多岐にわたる業務を少人数で担当すると、慢性的な長時間労働や休日出勤が常態化しやすくなる。その結果、担当者の心身の健康に深刻な影響を及ぼす可能性がある。
緊急対応に常に追われる状況によって、新技術の習得や戦略的な業務改善に時間を割くことが困難になり、キャリア形成の面でも不利になりやすい。企業にとっても、担当者の健康悪化や離職は大きなリスクとなるため、適切な労務管理と支援体制の構築が求められる。
このような体制では、十分なセキュリティ対策を講じることも困難となる。日々進化するサイバー脅威に対して、最新の対策を常に適用して、監視を続けることは少人数では限界がある。セキュリティインシデントが発生した際の対応も、迅速かつ適切に行うのは難しい。
セキュリティポリシーの策定や従業員教育など、組織全体のセキュリティ意識向上に向けた取り組みも手薄になりがちだ。このような状況は、企業の機密情報や顧客データを危険にさらす可能性があり、情報漏えいや不正アクセスのリスクを高めることになる。セキュリティ対策の脆弱性は、企業の信頼性や競争力に影響を与える重大な問題となり得る。
IT部門を孤立させないための根本的な解決策の一つが、担当者の増員と体制の強化だ。専門知識を持つIT人材を新たに採用することで、業務の分散と効率化が図れる。採用が困難な場合は、他部門から適性のある人材を選抜し、IT部門へ異動させる方法も一つの選択肢だ。
既存のIT担当者のスキルアップを支援し、より高度な業務に対応できる体制を整えることも重要になる。部門内でのローテーションを実施し、特定の個人に業務が集中しないよう配慮することで、リスクの分散と知識の共有を促進できる。
業務プロセスの見直しと効率化も有効だ。まずは現在の業務内容を把握し、優先順位を付けて整理することから始めて、不要な業務や自動化可能な作業を洗い出す。マニュアルの整備やナレッジベースの構築による情報共有の効率化はもちろん、ヘルプデスク業務にチャットbotを導入したり、定型作業をRPAで自動化したりすることで、担当者が本来注力すべき戦略的な業務に時間を割けるようになる。
クラウドサービスの活用も、IT部門の負担を軽減する効果的な方法だ。オンプレミスシステムをクラウドサービスに移行することで、ハードウェアの保守管理やセキュリティアップデートなどの業務を大幅に削減できる。
「Microsoft 365」や「Google Workspace」などクラウドベースの業務ツールを導入すると、メールサーバの管理やソフトウェアのアップデート作業が不要になる。クラウド型のセキュリティサービスを利用すれば、最新のセキュリティ対策を常に適用できる。クラウドサービスの多くは自動スケーリングや冗長化機能を備えているため、システムの安定性向上にも寄与する。
人員の確保が難しい場合は、業務のアウトソーシングやマネージドサービスの利用など、外部リソースの活用も有効な手段だ。
ヘルプデスク業務や日常的なシステム運用管理など、定型的な業務を外部に委託することで、担当者の負担を軽減できる。アウトソーシングにはさまざまなメリットがあるが、委託先の選定には慎重を期す必要があり、セキュリティ対策や品質管理の面で十分な信頼性を持つパートナーを選ぶことが重要だ。
マネージドサービスは、ネットワーク管理、セキュリティ監視、バックアップ/復旧など、ITインフラやアプリケーションの運用や管理を専門のプロバイダーに委託するサービスだ。最新技術や専門知識を持つプロフェッショナルチームによる24時間365日の監視や対応も可能で、セキュリティリスクの低減やシステムの安定的な運用が期待できる。スケーラビリティが高く、企業の成長に合わせて柔軟にサービスを拡張できる点も大きなメリットだ。
リモートサポート機能を持つツールを導入すれば、離れた場所で作業するユーザーのPCに担当者が接続し、トラブルシューティングや設定の変更ができる。担当者が現場に出向く必要がなくなる他、複数の問題にも対応しやすくなるため、IT部門の人員確保が難しい組織の強い味方になる。
課題を解決するためには、経営層がIT投資は単なるコストではなく、企業の競争力を高め、業務効率を向上させる戦略的な投資であることを認識し、支援する必要がある。適切なIT投資によって業務プロセスの自動化や効率化が進み、人的リソースを他の重要な業務に充てられるようになる。
セキュリティ対策への投資は、情報漏えいなどのリスクを低減し、企業の信頼性を高めることにもつながる。経営層には、IT部門からの提案を積極的に聞き入れ、長期的な視点でIT投資の効果を評価することが求められる。
IT部門はコストセンターや支援部門と見なされることもあるが、ビジネスの成功に直結する重要な役割を担っている。従って経営層はIT部門を経営戦略の立案や実行に積極的に関与させ、ビジネス目標の達成に向けた重要なパートナーとして扱う必要がある。
IT部門の責任者を経営会議に参加させ、ITの視点から経営判断に関与させることで、より効率的な意思決定ができるようになる。業績評価基準をビジネス貢献度や革新性なども含めた総合的なものにすることで、IT部門の戦略的な取り組みを促進できるだろう。
Splashtopが提供するリモートデスクトップソフトウェア「Splashtop」は、1台のコンピュータから複数のPCに対してアクションやスケジュールの実行が可能だ。画面共有機能でユーザーに操作方法を指導できる「Splashtop SOS」を使えば、電話やメールでの説明よりも効率的にサポートできる。高度に暗号化された接続を使用することで安全なリモート作業環境を確保するため、セキュリティ面も安心だ。
Splashtop SOSは、IT担当者が離れた場所からユーザーのデバイスに簡単にアクセスし、迅速なサポートが行えるワンタイムのリモートサポートアプリケーションだ。管理者は申し込み、アカウント発行、アプリケーションのダウンロードの3ステップで導入でき、ユーザーはトラブルが発生したデバイスにアプリケーションをダウンロードするだけでサポートを受けられる。
複数のプラットフォームに対応して、高度な暗号化技術を採用しているため、セキュリティ面も安心して使用できる。ファイル転送や複数モニターのサポートなど豊富な機能を備え、効率的なリモート作業を実現するSplashtop SOSは、IT部門の担当者にとって時間と労力を大幅に節約し、より多くの業務に対応できる強力な味方となるだろう。
小さなIT部門の問題には、組織的な対応が必要だ。解決策としては、IT部門の増員や体制強化、業務プロセスの見直し、クラウドサービスの活用などが挙げられる。IT業務のアウトソーシングやマネージドサービスの利用、リモートデスクトップソフトウェアの導入も効果的だ。経営層がIT投資の必要性を理解し、IT部門を戦略的に位置付けることも重要になる。
Splashtop SOSは、小さなIT部門の負担を大幅に軽減し、奮闘する担当者たちを孤立させないよう支援するサービスだ。高度なセキュリティ機能と使いやすいUI(ユーザーインタフェース)を備えており、IT部門の業務環境改善に大きく貢献する。
小さなIT部門の問題の解決には、組織全体での取り組みと適切なツールの活用が重要だ。総合的な対策を実施することで、IT部門の効率化と企業全体の競争力向上につながるだろう。
※本稿は、Splashtopからの寄稿記事を再構成したものです。
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アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2025年4月17日