次世代インフラを手に入れる一手 VMwareからコンテナへの移行戦略で成否を握る鍵は?仮想化基盤刷新とコスト最適化の両立

VMwareのライセンス変更を契機に、企業のITインフラ戦略は再考を迫られている。単純な移行ではなく、将来を見据えたIT基盤の最適解を模索する中で、注目を集めるのがコンテナ技術だ。「Red Hat OpenShift」などの活用を含め、企業はITインフラの在り方をどう見直すべきか。

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» 2025年05月09日 10時00分 公開
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 VMwareがBroadcomに買収され、ライセンス形態や価格体系が大幅に変更になった。それにより多くのユーザーが、既存システムの基盤となっているVMware製品を利用し続けるのか、それとも他の基盤に乗り換えるのか、選択を迫られるようになった。乗り換えるなら、どの製品を移行先として選ぶのか。

 この状況は、中堅・大企業にとって、サーバ仮想化を含めたITインフラ自体を自社のIT戦略に照らし合わせて見直す契機となっている。例えば「VMware製品ベースの仮想化基盤で動いている全てのシステムやアプリケーションを単一の代替基盤に移行する」という単純な方法は再考の余地があるだろう。現在および今後の自社におけるITニーズを精査し、最適解を模索する企業が増えている。

 では、企業はITインフラの在り方をどう見直すべきなのか。「コンテナを使って激しい変化を柔軟に乗り越えていくべき」と訴えるのは、日本ヒューレット・パッカード(HPE)の小西克博氏だ。

 「支配力を持っているIT企業がソフトウェアやサービスの値段を自由に変えられるような状況は好ましくありません。そうしたことが起こっても、変化を柔軟に乗り越えられる基盤を構築していただきたいです。その手段の一つにコンテナがあります。仮想マシンを続けるのか、段階的にでもコンテナに移行するのか、今はそれを考える絶好の機会だと考えます」

 HPEとのパートナーシップの下で数多くのユーザー企業を支援してきたレッドハットの宇都宮卓也氏も「既存の仮想マシンを別の仮想化環境に単に移すだけでは、その場限りの対応になる」と指摘し、こう話す。

 「今回と同じようなことがあったとき、また仮想マシンを別の環境に移す手間や時間をどう考えるかです。もちろん仮想マシンを使い続けるという選択肢はありますが、ベンダー各社のさまざまなアプリケーションがコンテナに対応しています。生成AIアプリケーションの構築でもコンテナが重要な役割を担います。コンテナ対応は待ったなしなのです」

 両氏が指摘するように、仮想マシンからコンテナ環境への移行は、IT業界における大きなトレンドとなっている。ただし、既存の業務システムをクラウドネイティブなアーキテクチャで作り変えるのは容易ではない。そこでHPEとRed Hatが提案するのが「仮想マシンをコンテナ上で動作させる」というアプローチだ。

小西氏 HPEの小西克博氏(A&PS事業統括本部A&PSビジネス推進本部ハイブリッドクラウドソリューション部)

仮想マシンをコンテナ上で動作させるアプローチとは

 これを実現するのが「Red Hat OpenShift Virtualization」だ。Red Hatは長年、オープンソースの「Kubernetes」をベースにした企業向けのコンテナ基盤「Red Hat OpenShift 」を提供してきた。これが持つ機能の一つであるOpenShift Virtualizationは、仮想マシンをコンテナとして動かすことが可能だ。

 「VMware vSphere」(以下、vSphere)環境から移行すれば、大きなコスト削減効果が得られる。ベアメタルサーバ上にコンテナ基盤のOpenShiftを構築し、その上で仮想マシンを動かすため、VMwareのライセンス費用は不要になるのだ。

 小西氏は、OpenShift Virtualizationを積極的に使うメリットを次のように説明する。

 「コンテナと仮想マシンを同じ仕組みで管理できるため、これまで通り仮想マシンを使い続けながら、特定のシステムだけをコンテナ化するといったことをスムーズに実施できます。また、アプリ開発者がコンテナの中身の開発に集中し、インフラ運用者はコンテナの実行基盤の管理に集中することで、それぞれの責任分界点が明確になります。コンテナと仮想マシンを同時に管理することで、インフラ運用の見直しを進めやすくなるのです」

 宇都宮氏は次のように付け加える。

 「仮想マシンがコンテナとして管理されるため、可搬性が高まります。別の場所に簡単に持っていくことも、コンテナレジストリに登録することもできます。また、ダウンしたとしても復旧が早く、レジリエンスを確保しやすいことがコンテナの特徴の一つです」

図1 仮想マシンをコンテナで稼働させるメリット(提供:レッドハット)《クリックで拡大》

 HPEとRed Hatは、OpenShift Virtualizationが既存のHPEのハードウェアで問題なく動作するかどうかを検証し、ドキュメントやホワイトペーパーとして公開している。ユーザーやパートナー企業はそれらを参考にしながら、サーバ、ネットワーク、ストレージを構成できる。

 「ソフトウェアベンダーとして機能を提供できても、それがハードウェア上で本当に正しく動作できるかは確認してみなければ分かりません。特に仮想マシンは、動作させるハードウェアによって性能や可用性が大きく変わるため、お客さまはハードウェアとの相性に高い関心を持っています。動作検証によってHPEさんの“お墨付き”を得られたことはユーザーの信頼感につながるだけでなく、導入後の確認作業や検証作業を容易にするという意味でも大きな価値があります」(宇都宮氏)

宇都宮氏 レッドハットの宇都宮卓也氏(技術営業本部シニアスペシャリストソリューションアーキテクト)

共同検証を実施し「コンテナとしての仮想マシン」のメリットと課題を明確化

 共同検証によって、OpenShift Virtualizationの特徴やメリットもより明確になった。小西氏は、通常のクラウド環境にはない魅力として「説明性」を挙げる。

 「クラウドやコンテナサービスの中には、障害が発生しても理由を十分に説明してくれないケースがあります。一方OpenShift Virtualizationは、HPEとRed Hatが技術的に検証し、ハードウェアのどこに問題があるのか、ソフトウェアでどこまでサポートできるのか、『動かない理由』をしっかりとお伝えできます。さらに、ミッションクリティカルな運用に耐えられるか、復旧までにどう対策すればよいかまで、お客さまが安心してシステムを利用できるようサポートします」

 統合管理によってシステムの可観測性が高まることもメリットだと宇都宮氏は指摘する。

 「仮想マシンとコンテナを一元化し、同じコンソールで管理できます。コンテナで使われてきた可観測性の機能を仮想マシンにも適用し、単一コンソールでモニタリングができるのです。仮想マシンが利用するストレージやネットワークの統合管理も可能です」

 共同検証では、こうしたさまざまなメリットを確認しただけでなく、どのような課題があり、それをどう解決すべきかの道筋を示すこともできた。課題になりやすい一例が、Kubernetes環境のバージョンアップやメンテナンス作業だ。

 「Kubernetesはバージョンアップのサイクルが速いため、負担に感じるお客さまも多くいらっしゃいます。企業のシステムだと『安定稼働しているものをわざわざバージョンアップしたくない』という考え方もありますが、バージョンアップしないと、そこに眠るセキュリティの脆弱(ぜいじゃく)性を放置することにつながります。共同検証の結果を踏まえて、そうした運用面での課題をサポートする体制を整えました」(宇都宮氏)

 具体的には、HPE側でハードウェアに関するサポートに加え、日々の運用をサポートするための体制を整備した。OpenShiftのバージョンアップに対応するとともに、導入から廃棄まで顧客システムのライフサイクル全体をサポートする。

図2 OpenShift運用支援サービスの概要(提供:HPE)《クリックで拡大》

 Red Hat側は、最長3年間同一バージョンをサポートするオプションや、インプレースでの基盤のアップグレード、別基盤を用意したブルーグリーンアップグレードなどの機能を提供し、顧客を支援する。

構築から運用まで、ハードウェアとソフトウェアをトータルで支援

 OpenShiftは、従量課金モデルのプライベート向けクラウドサービスである「HPE GreenLake」を通じて利用することもできる。構築から運用まで、ハードウェアからソフトウェアまで、HPEがトータルで支援し、ユーザー企業が抱えているバージョンアップやメンテナンス、コストなどの課題に対処するアプローチだ。

 こうしたクラウド型の機能やサービスを拡充しているHPEは、当然のことながらハードウェアベンダーとしての強みも持ち合わせている。特に日本はインフラチームだけで約800人のエンジニアをそろえる。これは世界に展開するHPE拠点の中でも極めて充実した体制だという。ハードウェアからクラウドサービスまでを一気通貫で提供できるベンダーとしての強みを最大限に発揮できる。

 「OpenShift Virtualizationを採用いただくことで、既存の仮想マシンの環境を生かしながら、モダンなアーキテクチャ、アプリケーションに移行する取り組みを進められます。今後も、インフラの在り方やインフラ担当者の役割は自然に変わっていきます。“OSをインストールして使う”という長年続いてきたスタイルは、クラウドへ移行しても変わりませんでした。しかし、コンテナは違います。考え方や運用スタイルを大きく変える必要があります。開発と運用の役割分担が明確になり、アプリケーションとインフラそれぞれが自らの責任で仕事を全うできるようになります」(小西氏)

 そうした新しいインフラの姿は、プラットフォームエンジニアリングにもつながるものだ。

 「自動化やIaC(Infrastructure as Code)の取り組みを進め、少ない人数で大規模なインフラを運用できるようになります。Red Hatは、向こう数年間でどのようにインフラを進化させるべきかのロードマップを示しながら、お客さまの取り組みを支援します」(宇都宮氏)

 HPEとRed Hatは、ユーザーが安心できるタッグになるよう連携を日々強化している。vSphere基盤からコンテナへの移行は、ぜひOpenShift Virtualizationを検討してほしい。

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提供:日本ヒューレット・パッカード合同会社、レッドハット株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2025年6月8日