NECソリューションイノベータの公共SEとして自治体DXをけん引する松本七海氏。文系出身ながら持ち前のコミュニケーション力を武器に、入社3年目からプロジェクトの中核を担い、若くしてリーダーを任せられた若手エンジニアだ。顧客との密な対話や自発的な行動で壁を乗り越えてきた同氏に、社会に大きな影響を与える公共SIのやりがい、そして将来の目標を伺った。
地方自治体の窓口業務は住民票や税、福祉など実に多種多様な情報を扱うため、業務プロセスを円滑にするための仕組みとして情報システムが欠かせない。近年は人手不足の解消や住民サービスのさらなる向上のために、デジタル技術をより積極的に活用する「自治体DX」の取り組みも各地で加速している。
自治体情報システムの分野で、長年にわたり圧倒的な存在感を示してきたのがNECだ。同社は長らく日本全国の自治体に対して、ハードウェアやソフトウェア、SI(システムインテグレーション)などを一気通貫で提供するトータルソリューションを提供してきた。中でもSIやソフトウェアのソリューションをほぼ一手に担っているのが、NECグループの中核SI企業であるNECソリューションイノベータだ。
NECソリューションイノベータで自治体向けSIサービスを手掛ける「公共ソリューション事業部門」は総勢約1200人を抱え、全国7カ所の主要拠点を中心に数多くの自治体にソリューションを提供している。その一員として現在、関西エリアの政令指定都市や中核市向けプロジェクトの一部でリーダーを務めているのが、松本七海氏だ。
松本氏は2020年にNECソリューションイノベータに新卒入社後、一貫して公共畑を歩んできた生粋の公共SE。現在はプロジェクトリーダーとして複数のプロジェクトの進捗(しんちょく)を管理する立場にあるが、実は文系出身で、入社時は技術的な知識も経験もなかった。テスト作業を皮切りに仕事で扱うシステムや業務の理解を少しずつ深め、3年目には早くも、要件定義から設計、サーバ構築、テスト、保守運用に至る全ての工程に、中核メンバーとして携わることになった。
「文系出身で入社当初にIT知識の習得に苦労した経験があるので、お客さまにシステムを説明する際はITの知識が乏しい方にも理解しやすいよう資料を工夫したり、小まめに電話して密接にコミュニケーションを取ったりするなど、お客さま視点に立ったプロジェクト運用を心掛けてきました」(松本氏)
松本氏はその後も法改正対応、サーバ更新、運用保守など公共システムの関連プロジェクトに中心メンバーとして参画。経験と知見を積み上げていくうちに、仕事の範囲は徐々に広がっていった。キャリア形成において大きな転機となったのが、既に立ち上がっていたプロジェクトのテストフェーズに助っ人として参加したことだった。
「いざ入ってみると、スケジュールや進捗管理がされていない状態でした。状況を改善するために自身がやるべきことを考えた結果、自ら手を挙げてテストフェーズにおける進捗管理をさせてもらうことにしました」(松本氏)
プロジェクト管理の業務に初めて触れた同氏は、「この仕事は自分に合っている」と直感したという。
「メンバー一人一人の作業量や進捗率を確認して、期限に間に合うようにスケジュールを組み立てる作業は、まるでパズルを解くようでとても面白く感じました。私は人と話すのがとても好きで、初めて会う人とも打ち解けるのが早いので、メンバーとのコミュニケーションもスムーズに運んだと思います」(松本氏)
松本氏の入社当初から上司を務めてきた小川直人氏は、当時のことを次のように振り返る。
「『管理業務をやってほしい』という指示を特に与えたわけではなかったですが、いつの間にか自発的にプロジェクトを仕切ってくれて、期待以上の結果を出してくれました。もともとこのプロジェクトは全体の空気が停滞していたのですが、彼女が入って以降は一気に雰囲気が明るくなったように感じました」(小川氏)
現在約30人の部下を率いて複数のプロジェクトのマネジメントに当たっている小川氏だが、5年前に松本氏が同じ部署に配属された日のことは強く印象に残っているという。
「第一印象は『元気がいい若手が来たな!』というものでした。しかしその仕事ぶりを見ているうちに、ただ元気でコミュニケーション力が高いだけではなく、段取り力が高くて視野がとても広いことが分かりました。これらの素養を伸ばしていけば、ゆくゆくはプロジェクトリーダーやプロジェクトマネジャーとして活躍できるようになるはずだと当初から確信していました」(小川氏)
持ち前のコミュニケーション力や段取り力を武器に、数多くのプロジェクトで活躍してきた松本氏だが、その過程で壁に突き当たることもあった。特に配属当初は勝手が分からないことが多く、自身が進んでいる方向が間違っていないかどうか悩む場面も多かった。「上司との密接なコミュニケーションを通じて悩みを解消して、前に進むことができました」と当時を振り返る。
「入社2年目ぐらいまでは分からないことだらけだったのですが、毎月上司と1対1で話す『1on1』の場でいろいろ相談に乗ってもらったことで、悩みをかなり解消できました。私はもともと周りを見るのが得意な方だと思うのですが、逆に周りから自分がどう見られているかが分からず不安になってしまうことがあったので、1on1で上司に『もっとこうした方がいいことはありますか?』とフィードバックを求めたことを覚えています」(松本氏)
その後、現場で経験を積むうちに、これまでばらばらの“点”でしか捉えられなかった知識が徐々に線でつながり始めて、自身の中で知識体系として整理されていった。以降はたとえ未知の課題に遭遇しても、独力で突破できる場面が増えた。
入社6年目の現在は、複数のプロジェクトでリーダーとしての役目を果たすようになった松本氏。その成長を上司として陰で支えてきた小川氏も、成長スピードの速さに目を見張る。
「他の若手従業員より早い年次からリーダー的なポジションに積極的に取り組んでくれて、とても速いスピードで成長しています。今後はマネジメントの醍醐味(だいごみ)をさらに味わえるポジションにステップアップしてほしいですね。私も29歳のときに初めて大きな裁量を任されるリーダー職に任命されて、自身でコントロールできる幅が増えたことで仕事のやりがいを一段と感じて、それこそ時間を忘れて働いていたことを覚えています」(小川氏)
この言葉を受け、松本氏も今後上司がかつてたどった成長の軌跡を追いながら、さらに上を目指していきたいと抱負を語る。
「当面は手掛けている仕事でしっかり結果を出して、まずは主任のポジションに早く上がることを目標にしています。さらに10年後には、上司が今いるポジションには上がっていたいと考えています。やはり裁量がないとやりたいこともなかなかできませんから、『早く偉くなりたい!』と感じる場面は多いですね。とにかく一定の役割やポジションで満足することなく、自分がいけるところまでとことんチャレンジしたいと考えています」(松本氏)
ちなみに小川氏は新卒入社して以来、約20年にわたって公共分野のSIに携わってきたベテラン公共SEだ。現在はディレクターとして兵庫、大阪、京都エリアの事業を束ねるほか、スマートシティや新規事業開拓などの事業にも携わっている。
そんな同氏が語る公共SIビジネスの最大の魅力は、「身近な人々の役に立っている」ことだ。
「引っ越したときに役所で手続きをしたり、おじいちゃん、おばあちゃんが自治体の福祉サービスのお世話になったりと、役所の仕事はあらゆる人にとって身近でイメージが湧きやすいですよね。私はそうした点に魅力を感じて公共の世界に身を投じたのですが、この思いは今でも変わっていません」(小川氏)
同氏は自身の部下に対しても、自分たちの仕事が身近な人々の役に立っていることを、事あるごとに伝えているという。
「毎日朝から晩までPCやサーバの前に座っていると、自分たちの仕事が何の役に立っているか分からなくなってしまうことがあります。チームメンバーには、自分たちの仕事が社会にどのように役立っているかについて、常に実感してもらえるようなコミュニケーションや情報発信に努めています」(小川氏)
公共SIのビジネスは今後大きな成長が見込まれる分野であり、そこに携わる技術者にとっても大きなチャンスが広がっている。現在は国が音頭を取り、これまで自治体ごとにばらばらに構築、運用されてきたシステムを全国的に標準化して、システムインフラをクラウドへ移行する事業が進められている。その先には、システム内に蓄積されたデータを活用して政策決定や住民サービス向上に生かす施策も次々と立ち上がる予定だ。
このような社会全体に大きな影響を与える一大事業に携われることは、NECソリューションイノベータの公共SI事業ならではの醍醐味だと小川氏は力説する。
「官公庁のSI事業の大多数を、NECソリューションイノベータが中核SI企業として手掛けてきました。そのため、弊社の公共SEが携わる仕事は、社会に極めて大きなインパクトを与えていると言えます。そうしたスケールの大きな仕事にチャレンジしてみたいと考える方は、弊社の門をたたいてほしいですね」(小川氏)
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