パブリッククラウドのコスト高騰や運用課題を背景に、IT部門責任者の約7割がプライベートクラウドへの回帰を検討しているという。プライベートクラウド基盤のVCF 9.0はこの課題をどう解決できるのか。多数のVMwareエキスパートを擁するSB C&Sの支援を紹介する。
多くの企業でITインフラのスタンダードとなったパブリッククラウドだが、長期利用に伴うコスト高騰や予期せぬ従量課金の発生、ガバナンスの課題に悩んでいる企業もある。
こうした課題を解決するのが、VMwareが2025年6月に提供を開始した、モダンプライベートクラウドを実現する統合プラットフォーム「VMware Cloud Foundation(VCF) 9.0」だ。本稿は、国内企業の成功事例に加え、VMwareコミュニティー全体に大きく貢献した個人を表彰する「vExpert」を多数擁するSB C&Sの支援体制についても紹介する。
ヴイエムウェアの大平伸一氏は、国内のパブリッククラウドユーザーが直面している課題として、コストの高騰と高い運用負荷を挙げる。特に、リソースの利用実態が把握しにくいことによる、予期せぬ従量課金の増大が深刻化しているという。
「開発環境などで仮想マシンを停止し忘れた結果、使っていないリソースへの課金が継続されるケースが後を絶ちません。リソースの無駄遣いや利用ルールに対するガバナンスの欠如も常態化しています」
こうした背景から、企業のクラウド戦略は転換期を迎えている。Broadcomが米国、欧州、アジアの11カ国、1800人のIT部門責任者を対象に実施した調査レポート「プライベートクラウドの展望 2025:クラウドのリセット」によると、IT部門責任者の約7割がパブリッククラウドからプライベートクラウドへのワークロード移行(回帰)を計画している。
プライベートクラウド回帰を加速させている要因は、コスト(Cost)、複雑性(Complexity)、コンプライアンス(Compliance)の「3つのC」だ。また、セキュリティの観点では、IT部門責任者の92%が「プライベートクラウドのセキュリティを信頼している」と回答しており、自社の管理下にハードウェアを置くことによる優位性が認識されている。
実際に「セキュリティ要件の厳しいシステム」「大量データを扱うシステム」「既存システムとの連携が必要なシステム」「顧客向けシステム」の4領域でオンプレミス回帰が加速しているという。
一方で、オンプレミスへの回帰を検討する企業でも、従来の個別最適化されたオンプレミス環境が抱える「マルチベンダー環境による複雑性」という課題が残る。インテグレーションや障害時の対応コスト、運用負担の増大などから、マルチベンダー環境を避け、信頼できる単一ベンダーのプラットフォームで統合したいというニーズは高い。
こうした声に応えるのが、VMwareが提供を開始したVCF 9.0だ。VCF 9.0は、vSphere(コンピュート)、NSX(ネットワーク)、vSAN(ストレージ)といった主要コンポーネントをフルスタックで統合する。構成要素が独立していたことによるインフラのサイロ化を解消し、効率的な一元管理を実現する。
VCF 9.0の特徴は、オンプレミスでありながら、パブリッククラウドと遜色のない迅速性と優れた使い勝手(クラウドエクスペリエンス)を提供する点にある。
「ネットワークの専門家でなくとも仮想ネットワークを簡単に構築できるなど、インフラ構築、運用の簡素化につながるセルフサービス機能を備えています。VCF 9.0は、オンプレミスの安心感と、クラウドネイティブによるスピード感、柔軟性を両立させます」(大平氏)
VCFの導入障壁として指摘されがちなライセンスコストについて、大平氏は「vSphere単体と比較すれば高く見えるのは事実」と認める。しかし、NSXなどを含めたフルスタックで見ると評価は一変するという。
「『VCFトータルで見ればむしろ安い』という日本のお客さまの声を多くいただいています。vSphere単体ではなく、NSXやvSANも含めたフルスタックの価値にメリットを見いだしているお客さまにとって、コスト効果は非常に高いようです」(大平氏)
実際に多くの日本企業がVCFで「3つのC」を解決している。例えば、日本気象協会は新システムのパブリッククラウド移行を検討していたが、試算の結果、コストが予算を大幅に超過することが判明した。そこでVCFによるオンプレミスでの構築を決断。1000VM(仮想マシン)規模の環境を統合し、CPUコア課金によるコストの固定とサーバ集約率の向上を図ることで、パブリッククラウド試算額の2分の1という低コストを実現した。
また、ある大手製造業は、自社でサービス仕様を定義できるクラウドを求め、ビジネスへの貢献に向けた俊敏性と柔軟性の向上、TCO(総所有コスト)削減、安心・安全の全てを目指すプライベートクラウドとしてVCFを選択した。パブリッククラウドも併用しつつ、事業のコアになるシステムはコンプライアンスの観点からプライベートクラウドで管理するという守りの選択だ。
運用の効率化でも効果を上げている。ある会計ソフトウェアメーカーは、同社が提供するSaaSの基盤をわずか9人で運用し、24時間365日の安定稼働を実現した。また、あるデジタルコンテンツプロバイダーは、5000VMもの大規模環境をわずか7人で管理。VCFの統合管理画面でインフラ全体を把握することで、データ転送量に応じたアウトバウンド課金を回避し、コストの最適化を実現した。
VCFは公共性の高い事業の大規模インフラにも採用されている。日本中央競馬会(JRA)は、週末のレース開催を支えるWebサイト、職員用のVDI(仮想デスクトップ基盤)、給与システムに至るまで、事業を支えるさまざまな基幹システムを、130台の物理サーバで動く8000VMで稼働させている。JRAがVCFを高く評価するのはハードウェア更新の容易さだ。
「ハードウェア刷新には多大な労力が伴いますが、VCFなら稼働中のシステムには手を加えず、ほぼダウンタイムなしで新ハードウェアへ移行できます。オンプレミスでありながらインフラ刷新の負担を最小限に抑えられる点は、大きな評価ポイントです」
VCFの真価を引き出すには、適切な設計と運用が不可欠だ。そこで、国内でいち早くVCF 9.0の実機検証を進めてきたのがSB C&Sだ。同社の技術本部は、運用効率化に直結する機能VCF Operationsと、自動化機能VCF Automationを中心に、VCF 9.0を徹底的に検証した。
SB C&S 技術本部の大塚亜人夢氏は、VCF Operationsによるライフサイクル管理機能の利便性を強調する。
「従来はvCenter、ESXi、NSXなどを個別に管理し、互換性を確認してからアップデートをする必要がありました。VCF Operationsでは全コンポーネントを一元管理し、アップデート計画から実行までのプロセスを自動化できます。依存関係も考慮されるため、運用負荷を劇的に軽減できます」
VCF Operationsには証明書の更新期限やパスワード管理の機能も集約され、セキュリティリスクを低減させられる。また、ダウンタイムを極小化するLive Patchも強力だ。
「これはホストを再起動せずにパッチを適用できる機能です。従来必要だった仮想マシンの退避調整などが不要となり、条件にもよりますが、4台のホストへの適用が数十分程度で完了しました。運用担当者を深夜作業や再起動待ちから解放する画期的な機能です」
もう一つの柱であるVCF Automationについて、SB C&S 技術本部の千代田寛氏は「インフラ運用の標準化とセルフサービスの民主化をもたらす」と語る。
「最大の特徴は、統合されたセルフサービス基盤です。開発者はパブリッククラウドと同様に、カタログからVMやネットワークを簡単に構築できます。AIワークロードの展開やAIサービスの提供も同じ画面から可能です」
属人化したスクリプト運用から脱却し、全社標準のカタログ機能でインフラ提供を自動化する。これにより、ガバナンスとスピードの両立が可能になる。特に重要なのが「ポリシー駆動型のガバナンス」だ。
「リソース払い出し時の承認フローや上限設定の他、払い出したリソースの自動回収も可能です。期限を定めてリソースの主権をインフラ管理者に戻すことで、全体最適な効率性を追求できます」
VCF 9.0は高機能である一方、運用には専門知識が求められる。そこで頼りになるのが、SB C&Sの支援体制だ。
SB C&S 技術本部の山田和良氏は、VMwareコミュニティーへの貢献が認められたエキスパートであるvExpertを、SB C&Sが、2025年12月時点で国内最多の9人も擁していることを強調する。vExpert受賞者を含むVMwareエンジニアチームは「製品プロモーション」「パートナーイネーブルメント」「案件支援」の3軸でサポートしている。
「製品プロモーション」では、技術ブログ「Engineer Voice」などで最新情報を発信している。「パートナーイネーブルメント」では、セミナーやハンズオントレーニングを通じて技術者の育成を支援する。そして「案件支援」では、vExpertのメンバーが提案活動をサポートする。「VCF 9.0特有のサイジングやハードウェア選定などもお手伝いします」と山田氏は述べる。既存環境から次期仮想基盤への移行には「アセスメントサービス」を提供し、リソース最適化も提案する。
特筆すべきは、国内でも希少な、実機による「VCF 9.0デモンストレーション」の実施だ。
「弊社のVCF 9.0 環境で構築から運用までのデモが可能です。デモを通して機能を体感してもらうことで、そこで得た知見を提案に活用できます」
これから本格化するVCF 9.0の導入において、SB C&Sの手厚い支援体制は、パートナー企業にとって強力な武器となるだろう。
バージョン9.0で大きく進化したVCFだが、モダンなプライベートクラウドとして機能強化は続く。次世代VCFの開発方針として、大平氏は「使いやすさの追求」「プライベートAIへの対応」「サイバーレジリエンス」の3つを挙げる。
「特にプライベートAIでは、知的財産情報や個人情報などの機密データを社外に出さず、オンプレミスで生成AIに学習、推論させる基盤を提供します。パブリッククラウドにデータを置けないお客さまのためのAIインフラとして進化させていきます」
このように次世代VCFの展望を述べ、大平氏は今後のクラウド戦略のあるべき姿を提示した。
「もはやパブリックかプライベートかの二者択一ではありません。ワークロードを最適な環境に配置することこそが最優先です。プライベートクラウド基盤の近代化と運用サイロ化の解消、そしてサイバーレジリエンスへの対応を達成することで、パブリッククラウドの俊敏性とプライベートクラウドの制御性を手に入れられるのです」
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提供:SB C&S株式会社、ヴイエムウェア株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2026年2月5日