人々が自分の意志で「はたらく」を選び、キャリアにオーナーシップを持てる社会の実現を目指すパーソルキャリア。取り組みの一つとして、データとAIを活用した全社的な変革を進めている。最新のレイクハウスやデータメッシュを駆使して、複雑な「生きたデータ」を「企業のOS」に昇華させる試みが始まっている。データエンジニアが直面する、AI時代の新たな価値提供の在り方に迫る。
少子高齢化の加速や市場環境の急激な変化に伴い、多くの企業が人材不足や生産性向上、競争力強化といった経営課題に直面している。これらの課題を解決するための手段として、AI(人工知能)活用の取り組みが急務になっている。一方、AI活用という言葉が独り歩きし、実際には生成AIの部分導入にとどまり、全社の課題解決につながっていないケースも目立つ。
こうした状況の中で、AI活用を全社的に推進し、「AIネイティブ企業」への変革を目指しているのが、転職サービス「doda」を運営するパーソルキャリアだ。
パーソルホールディングスは2025年7月、パーソルグループの全従業員が適切にAIを開発し、活用するための最高規範となる「パーソルグループAI基本方針」を策定。その基盤として、全社横断のデータAI活用基盤「次世代データAIプラットフォーム」の構築を進めている。
このプロジェクトの旗振り役を担っているのが、データ・AIソリューション本部の渡邉裕樹氏だ。
渡邉氏は、SI(システムインテグレーション)、事業会社での技術職を経て、2022年にパーソルキャリアに中途入社。当初は人事領域(HR)のデータ環境整備を担当し、DMBOK(データマネジメント知識体系)に基づいたデータマネジメント方針の策定や内製での環境構築をリードしてきた。
現在は、その知見を全社規模に広げ、「AIネイティブ企業」への変革を推進するデータ・AIインフラ統括部のデータアーキテクトおよびプロジェクトマネジャーとして、AI時代の新たなデータ活用基盤となる次世代データAIプラットフォームの実現に挑んでいる。
パーソルキャリア入社までの経験を渡邉氏は、こう振り返る。
「新卒でシステム開発会社に入り約10年、要件定義から開発、運用、保守まで一気通貫で幅広く経験してきました。その中で受託開発ではなく、システムの構想段階から企画・開発、活用促進にまで携わりたいと思うようになり、小売業の社内SEに転職しました。前職ではデータ活用基盤を刷新するプロジェクトのリーダーを務め、データマネジメントへの関心が高まっていきました。そこで、もっとデータ活用に注力している事業会社を求め、業界問わず探していたところ、パーソルキャリアの知人から誘いを受けて入社を決めました」
小売業界から人材業界へ。未知なる業界への転職となったが、人事領域のデータに触れると、小売業界とは全く性質が違うことに気付いたという。
「小売業では、データは『モノの動き(物流・店舗)』にひも付くため、比較的構造化されていました。しかし、無形商材を扱う人材サービスのデータは『人の意思や行動、営業活動』そのものの写像です。つまり、人材業界のデータは“生きている”ということです。これらは非常に流動的で複雑ですが、だからこそ『データモデルの抜本的な明示化』に挑むことは、データエンジニアとして最大の難関であり、最大のやりがいといえます。難問を解き明かした先に、事業の進化があると考えています」
人材業界におけるデータエンジニアの役割は、社会貢献性も高いと渡邉氏は自負している。「人材データを活用して求職者と企業の最適なマッチングを実現すれば、日本全体における労働生産性の向上にも貢献できます。この社会的意義の大きさと、その成否を握るデータエンジニアの存在意義に引かれたことが、入社の決め手になりました」
渡邉氏が現在、データ・AIインフラ統括部で取り組んでいる主なミッションは、全社のデータ・AI戦略を技術的なロードマップに落とし込み、責任を持って実行することである。経営層が描くビジョンと、現場のエンジニアやデータサイエンティスト、事業部のデータ利用者が直面する技術的課題の間に立ち、アーキテクチャの意思決定を行う「扇の要」のような役割と言える。
事業部が自律的にデータ活用を進められるよう、技術的なガードレールやイネーブルメント(支援)の仕組みを整えることも重要だ。最大かつ最難関のミッションは、「AIネイティブ企業」への変革に向けた次世代データAIプラットフォームの構築である。この実現のために渡邉氏は構想を練り、一からプロジェクトを立ち上げた。
「次世代データAIプラットフォームの根幹には、データメッシュという思想があります。従来のようにIT部門がデータを管理するのではなく、データを生み出した事業部門こそが“最高の専門家”で品質の責任者であるという考え方です。各事業部門が責任を持ってデータを磨き上げ、それをAIが直接理解できるカタログ付きのデータ製品として公開する、この自律分散的な仕組みで初めてAIがリアルタイムに、かつ安全にデータを学習・推論できる環境が実現します。人事データのような機密性の高い情報からWebの行動ログのようなビッグデータまで一元的に、かつ事業部ごとにセキュアに扱える環境を提供することで、データ利用者が『データ品質』や『セキュリティ』を過度に意識せずに、AI開発やサービス開発に専念できる世界を目指します」
渡邉氏はこのプラットフォームを、データ活用基盤にとどまらず、将来的に「企業のOS」を担うものと位置付けている。
「単にプラットフォームにデータを集約する箱を作るのではなく、AIが認識できるセマンティックレイヤーを人間が磨き上げ、AIがデータの意味やポリシー、品質を把握できるようにします。これによりAIが自律的にデータを探索して、安全な範囲で仮説検証や施策実行を行い、人間はAIを監視・承認して、より創造的な判断に集中できます。この循環こそが、われわれの目指す『企業のOS』でありAIネイティブ企業の姿です」
いま、渡邉氏が求めているのが、次世代データAIプラットフォームのプロジェクトを一緒に推進する仲間だ。
同プラットフォームは2026年度中にローンチ予定であり、これから入社するデータエンジニアは新たなプラットフォームの立ち上げからプロジェクトに参画できるチャンスがある。システムを作って終わりではなく、「AIネイティブ企業」の実現に向けて、プラットフォームの進化も計画しており、ローンチ後に参画するデータエンジニアにも活躍の場が用意されている。
では、渡邉氏が一緒にはたらきたいと考えるデータエンジニアは、どのような人材なのだろうか。それは「『技術という手段』だけに固執せず、『ビジネス課題の解決という目的』を考えられる人」だ。
この背景には、いまのデータエンジニアの多くが職務経歴書にスペックを列挙するような“スキルコレクター”になっているという実情がある。確かに、最新の技術をいち早く身に付けて数多くのツールを使いこなすスキルは、データエンジニアにとって重要な能力だ。しかし、それだけではこれからのAI時代を生き残っていけないと渡邉氏は警鐘を鳴らす。
「AI時代、データエンジニアも例外なく仕事が代替されるリスクがあり、個々の技術習得のみを自分の価値と捉えたままでは生き残れません。技術はあくまで課題解決のための手段で、大切なのは最新の技術を使うだけではなく、それをビジネス課題にどうつなげるかです。特にわれわれの事業の本質である『顧客のマッチング』は唯一無二の正解がなく、一人一人のお客さまにとっての最適解を導き出すには、技術を駆使してどこまで深く向き合えるかが問われます。「なぜやるのか」と「何をどのように解決するのか」を深く思考できることこそが、価値提供の源泉になるでしょう。こうした考えに共感できるエンジニアと一緒にはたらきたいですね」
渡邉氏が推進している次世代データAIプラットフォームも、一見、最先端の技術が求められるように思えるが、実は一つ一つの技術は決して革新的なものではないという。
「プラットフォームで使われるさまざまな技術は、あくまでツールの一つであり『点』に過ぎません。技術の『点』をつなぐと『線』になります。さらに『線』をつないでいくと『面』になり、ここで課題解決につながるソリューションが生まれます。つまり、いかに『面』を作るかを意識することが重要です。こうした技術的な考え方こそが革新につながりますし、当社にとっても大きなチャレンジになると思っています」
加えて、プロジェクトに加わるデータエンジニアに求める要素として「技術の伝道師(エバンジェリスト)」と「制約の中でベストを尽くせるプロフェッショナル」というキーワードを挙げる。
「最新のプラットフォームを作っても、使ってもらえなければ意味がありません。『技術の伝道師』として、現場の担当者の横で伴走し、課題を解決することに喜びを感じられる人と一緒に変革を成し遂げたいですね。事業会社だからといって『何でも自由にできる』というわけではありません。実際にはコスト、リソース、既存システムの技術的負債などの制約があります。時には理想を追うだけでなく、ビジネススピードを優先した『暫定対応』という苦渋の決断が必要な場面もあります。こうした現実的な制約に鑑みた上で、ベストな解を粘り強く見つけ出せる、泥臭くもタフなデータエンジニアとなら最高の仕事ができると信じています」
AI時代の現在、データエンジニアとして新たなステージを目指そうとしている人は、パーソルキャリアが挑む「AIネイティブ企業」への変革に参画してみてはどうだろうか。
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アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2026年4月29日