社会インフラにおいて、ネットワークの「安定稼働」と「高度な防御」の両立は必須要件だ。2026年1月に完全統合を果たしたアラクサラとフォーティネット。国産の信頼性と世界基準のセキュリティが融合し誕生した、「高信頼セキュアネットワーク」という新たな選択肢を解き明かす。
およそ全ての経済活動においてITが中心となる今、社会の重要インフラを支えるネットワークの役割は劇的に変化している。かつては外部から遮断された「クローズドな環境」で安定性だけを求めていればよかった領域も、今や巧妙化するサイバー攻撃の脅威と無縁ではいられない。
ネットワークを止めることは許されない上、最新の脅威にも対応しなければならない――「信頼性」と「セキュリティ」の高度な両立が求められる中、フォーティネットジャパンは日本のサプライチェーン全体を支える基盤を強化するべく、ミッションクリティカル市場で高信頼ネットワークを提供してきたアラクサラネットワークス(以後、アラクサラ)との完全統合に踏み切った。
「日本のメーカーが外資の傘下に入った」と聞くと、「製品の品質に影響はないだろうか」「今まで通りのサポートは提供されるのだろうか」といった懸念を抱く人もいるだろう。だが、アラクサラの場合、それは当てはまらないという。
アラクサラはNECと日立製作所の合弁によって設立し、通信事業者や金融、公共といった重要インフラ分野を中心に高信頼・高品質の製品を提供してきた。2021年のフォーティネットグループ入りを経て、2026年1月に完全統合し、新体制での活動を開始した。
「日本でのもの作りを通して高品質・高信頼なネットワーク製品を提供してきたアラクサラがフォーティネットと統合することにより、さらに安定したネットワークとセキュリティソリューションを提供できる体制が実現できました」と、同社の能見元英氏は語る。
フォーティネットは「FortiGate」を筆頭に、ボックス型スイッチ「FortiSwitch」や管理ソリューション「FortiManager」など幅広い製品群を提供し、中堅中小企業(SMB)、エンタープライズビジネス、そしてOT(制御技術)領域で存在感を発揮している。対してアラクサラは、ミッションクリティカル市場で圧倒的な信頼を得てきた。
完全統合により、グローバルに製品を展開するフォーティネットの販売力を生かし、旧アラクサラの製品をワールドワイドで販売する体制が整ったという。同社の加賀野井晴大氏は、統合の意義をこう話す。
「日本市場向けだけでなく、世界中を対象に、これまでの何倍もの規模で販売できます。アラクサラの高品質をそのままに、コストメリットのある形で大量に販売できる点が大きいと考えています」
一方で、フォーティネットへリブランドしたスイッチ「FortiSwitch-AXシリーズ」の開発拠点は、従来通り日本国内に置かれる。「開発拠点は変わらず日本で、お客さまの非常に近くにあります。アラクサラ時代の経験豊富な開発エンジニアもそろっています」と加賀野井氏は説明する。
アラクサラが評価されてきたポイントの一つが手厚いサポートであり、これも変わらず日本国内の開発拠点から提供を続けるという。
一例が、リプレースにまつわるコスト削減に寄与する最長10年間のメーカーサポートだ。「通常のネットワーク機器ならおおよそ5年程度でサポートが切れ、リプレースを余儀なくされます。次々に登場する最新の攻撃に対処しなければならないセキュリティ機器であればやむを得ませんが、社会インフラや工場を支えるネットワークでは第一に安定性が求められます」(能見氏)
一般的にOSサポートは数年で終了し更新を余儀なくされるが、アラクサラは契約期間中であれば全バージョンの問い合わせに対応。安定稼働中のOSを使い続けられる。能見氏は「メーカー都合ではなく、顧客のタイミングに合わせた支援体制を今後も継続する」と強調した。
またミッションクリティカルな領域を支えるネットワークには、高速な経路切り替えや、障害発生時の原因究明・解析など、カタログには載り切らない技術力やサポート力が求められる。アラクサラ時代から専門的な知見を持つ開発陣が、変わらず製品の開発とサポートを続ける、と同社の村中孝行氏は強調する。
「日本の開発拠点をベースに、RAS(Reliability:信頼性、Availability:可用性、Serviceability:保守性)にこだわる哲学も継承していきます。ここはぜひご安心いただきたいし、今後もご期待いただきたいと思っています」
製品を構成するハードウェアやソフトウェアがバグなく、壊れず動くという意味でも、またもしシステムが停止したときに原因を徹底的に究明し、再発防止策を提供するという意味でも、RASにこだわって製品を開発・提供してきた。開発拠点が国内にあることで、サプライチェーンのセキュリティを担保し、経済安全保障の観点でも堅牢(けんろう)なネットワークを構築できるという。
「アラクサラとフォーティネットは、国内と海外、品質とスケール、ミッションクリティカルと一般市場という具合に対比的に捉えられがちですが、いかにその両者を組み合わせ、より良いセキュアネットワークを提供するかが一番面白いところだと考えています」(村中氏)
統合による新たなシナジーについて、同社の矢野大機氏はこう語る。
「これまでアラクサラの主な顧客は大規模システム基盤を持つ企業やミッションクリティカルな事業領域の企業で、ネットワーク製品を中心に提供していました。フォーティネットのセキュリティ製品と連携することで提案の幅が広がり、運用効率も高められます」
従来アラクサラと接点のなかった顧客にも、フォーティネットというブランドで提供するものの選択肢が増えることで、より大規模なネットワークを支援できるようになる。
強化の柱は3つある。スイッチ製品拡充による「強靱(きょうじん)化」、管理ツール「FortiSwitchNMS」による「運用簡素化・自動化」、そして「FortiLink」実装による「セキュアネットワーキング領域の拡大」だ。
まず、FortiSwitch-AXシリーズの製品ラインアップを拡大することで、主にSMB領域で強みを発揮してきたFortiSwitch製品を補完し、高信頼性が求められる大規模ネットワークやマルチベンダーで構成されるネットワークへの提案を充実させる。
そんな取り組みを象徴する製品が、2025年11月にフォーティネットのブランドで初めてリリースされたシャシー型スイッチ「FortiSwitch-AX9000Gシリーズ」だ。4スロットの筐体で、最大25.6Tbpsのスイッチング容量を備え、FortiGateをはじめとするフォーティネットのセキュリティソリューションとの連携によりセキュアネットワーク基盤を実現する。
「スーパーバイザーエンジンをはじめ各ユニットの冗長化や転送エンジンのアクティブ‐アクティブ運用、ラインカード交換による拡張性など、アラクサラ時代のメリットを継承します。トラブル解析用のログ機能やトレースの仕組みも健在です」(村中氏)。
ネットワーク運用の簡素化・自動化に関しては、FortiSwitchNMSをFortiGateやFortiAP、FortiSwitchといったフォーティネットの各製品と連携させる。大規模データセンターやコアネットワークをFortiSwitch-AXシリーズで、エッジや拠点側をFortiSwitchで構築し、全体を一元管理することで、運用負荷を削減する。フォーティネットの製品のみで構成したネットワークだけでなく、マルチベンダーで構成したネットワークの管理も可能だ。
「大きなサイバー脅威となっているランサムウェアは、ネットワークに入られた後にラテラルムーブメント(水平移動)をしてきます。多層防御でいかに防ぐかを考える際、FortiSwitchNMSとFortiGateやFortiAnalyzerが連携し、感染源の通信を根元から絶つことで、いっそうのセキュリティ強化が可能になります」(能見氏)
そして、FortiGate側からFortiLink(フォーティネット製品を連携するプロトコル)を介して、FortiSwitch-AXシリーズを管理・連携できるようにする。将来的には、すでにフォーティネットの製品に実装されているAI運用支援機能とFortiSwitch-AXシリーズを連携させ、ネットワーク運用やセキュリティ運用の自動化も視野に入れている。
アラクサラにはただ機器を販売して終わるのではなく、運用を通じて浮上した課題に向き合い、改善したものを提供することで、何世代にも渡って継続して使い続けられてきた実績がある。「この姿勢はそのままに、フォーティネットとともになることで、セキュリティの味も付けられるようになり、選択肢が大きく増えました」(村中氏)
重要インフラ領域でも人材不足の課題は例外ではない。だが、ネットワークに求められる品質や信頼性の要件はますます高まり、巧妙化する脅威に備えたセキュリティ対策が求められる。要件が高度化する一方で人手が足りない。両社はこうした領域で、強みを掛け合わせ、障害やインシデント発生から対応まで自動化できる世界を実現したい、と村中氏は意気込む。
「フォーティネットジャパンは、アラクサラの高信頼ネットワーク技術とフォーティネットのセキュリティを統合することで、サプライチェーン全体のセキュリティを底上げし、中小企業から大企業までを支える高信頼セキュアネットワーク基盤を提供していきます」(村中氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
提供:フォーティネットジャパン合同会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2026年4月30日