AI時代を生き抜くために日本マイクロソフトが示す「クラウド移行から始めるこれからのインフラ戦略」Microsoft Azureがもたらす4つのビジネス成果とは

生成AIへの投資が活発化する一方、多くの企業がデータやインフラの対応不足という課題に直面する。AI主導で進化する「エージェント型」のクラウド移行とはどのようなものか。日本マイクロソフトの小杉靖氏がインフラ刷新の未来と「Microsoft Azure」がもたらす4つのビジネス成果を語った。

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» 2026年06月30日 10時00分 公開
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AI投資のリターンと現場を苦しめる「綱引き状態」

ALT 日本マイクロソフト 小杉靖氏(Cloud & AI プラットフォーム統括本部 業務執行役員 統括本部長)

 AIへの投資対効果はビジネスの現場で、かつてないほど明確になりつつある。日本マイクロソフトのWebセミナー「イチから学ぶ!はじめてのAzure 〜 クラウド移行とインフラ整備で環境を強化する 〜」の冒頭で同社の小杉靖氏は、AIがもたらす極めて高いポテンシャルを強調した。

 「現在、AIへの投資に対するビジネス上の根拠は、これまでになく強力になっています。IDCによると、生成AIに1ドル投資するごとに、企業は3.7倍のリターンを得ています(※)。これは、AIが生産性の向上、よりスマートな意思決定、そして迅速なイノベーションを通じて、実際のビジネス価値を提供しているという明確なシグナルです」

IDCによる2024年AI活用機会に関する調査:注目すべき5つのAIトレンド(Microsoft Japan News Center)

 同時に、企業のIT部門が抱える深刻なジレンマも小杉氏は指摘した。AI利用の華々しい成果の裏で、多くの企業が理想と現実の乖離(かいり)に苦しんでいる。

 「企業の70%が自社のデータアーキテクチャはAIに対応できていないと回答し、ITリーダーの60%が現在のインフラがAIの進展を妨げていると回答しています」

 企業にはAIによるイノベーションだけでなく、喫緊の課題が山積している。小杉氏は現在のIT部門が直面している厳しい現実を「綱引き状態」と表現した。一方のロープには既に72%の組織が利用する「AIによるイノベーション」があり、もう一方のロープには以下のような現実がのしかかっているという。

  • コストと予算の最適化(しばしば組織の最優先イニシアチブとなっている)
  • サイバーセキュリティの脅威(侵害の平均コストは450万ドル以上であり、回避に全力を尽くす必要がある)
  • 限られたIT予算とリソース(90%以上の組織がITスキル不足の影響を受けている)
  • ガバナンスとコンプライアンス(数千のベンダーやツールをどう管理していくか)

 「このような優先事項が、皆さまにもあると思います。しかし、クラウドを活用すれば、どちらか一方のビジネス成果を優先する必要はありません。この綱引き状態にあった2つの事項を全て実現できます」

 クラウド化によって、セキュリティ対応は受動的から能動的へと変わり、従量課金によって無駄なリソースが削減される。常時稼働でレジリエンスを備えたシステムへと移行することで、最終的には自動化とAIを利用した業務の最適化が可能になる。

手作業の「6つの“R”」からAIが主導する「エージェント型移行」へ

 企業はどのようにして理想的なクラウド環境へと到達すべきなのか。小杉氏は「クラウド変革は一時的なプロジェクトではなく、連続的なプロセスだ」と強調する。

 「クラウドに移行、モダナイズすることで、アプリケーション開発を高速化し、自動化を促進し、コストパフォーマンスを最適化し、セキュリティとガバナンスを包括的に実現できます。まだ完全にクラウドへ移行する準備ができていない場合は、クラウドを自社環境に拡張することから始められます。残っているオンプレミスやマルチクラウド環境全体で、集中管理、可視性、セキュリティを実現できます」

 だが、全ての企業がすぐに完全なクラウド移行を成し遂げられるわけではない。その点についてもMicrosoftは柔軟なアプローチを用意している。

 「Microsoftは、ワークロードをリホストからリビルドまでガイドすることで、クラウド投資の最適化を支援しています。クラウドへの移行とモダナイゼーションは一つの連続体であり、さまざまなルートとメリットがあります」

 小杉氏はクラウド移行の手法そのものに大きなパラダイムシフトが起きていることも指摘する。過去10年間、クラウド移行は「6つの“R”」(Rehost:リホスト、Replatform:リプラットフォーム、Refactoring:リファクタリング、Repurchase:再購入、Retain:リテイン、Retire:リタイア)という枠組みで語られてきた。

 「しかし、これらの“R”は手動作業の時代に構築されたもので、ITチームがワークロードを一つずつ分類し、移行パスにマッピングする必要がありました。今日のAI主導の世界において、このモデルは『エージェント型の移行とモダナイゼーション』に発展しています。今までの静的な“R”の枠組みを超えて、動的で適応性のあるフローへと移行しています」

ALT エージェント型の移行とモダナイゼーション(提供:日本マイクロソフト)《クリックで拡大》

 小杉氏が提示した次世代のモデルは、AIエージェントが全環境のサーバやアプリケーション、データベースを発見し、依存関係を自動的にマッピングするというものだ。どのワークロードがIaaSやPaaSに移行可能かをAIが可視化し、AI支援によるコード変更まで提案する。

 「これらの中で共通する要素は、連携されたインテリジェンスです。エージェントが反復可能なパターンで検出、評価、実行するため、技術的負債が蓄積されません。むしろ、モダナイゼーションがビジネスリズムの一部となり、イノベーションのためのリソースを解放します」

 その効果は極めて高い。「Azure Copilot」や「GitHub Copilot」を活用することで、.NETやJavaアプリケーションのモダナイゼーションにおいて、数週間で50万行のコードを書き換えたという。さらに、エージェント型ツールを使用することで従来比4倍の移行速度を実現した。仮想化基盤からの移行では停止時間が最大で80%削減され、ITとセキュリティ運用でも46%の生産性向上を達成した。

ALT Microsoft Azureへ移行した顧客の成果(提供:日本マイクロソフト)《クリックで拡大》

Microsoft Azureを選ぶべき「4つのビジネス成果」

 こうしたエージェント型のモダナイゼーションを支える基盤として、なぜ「Microsoft Azure」を選ぶべきなのか。小杉氏は顧客からの声を基に特定した「4つのビジネス成果」を挙げ、解説した。

ALT Microsoft Azureを選ぶべき4つのビジネス成果(提供:日本マイクロソフト)《クリックで拡大》

 第1の成果は「業務の俊敏性を最大化」だ。硬直したモノリシックなアプリケーションから俊敏なプラットフォームへ移行することで、ビジネス変更への対応時間が78%短縮され、新機能の開発・展開時間も43%短縮されたという。イノベーションに注力できる時間は69%増加した。

 第2の成果は「AIを統合データで最大限活用」することだ。「75%の技術リーダーがMicrosoft Azureへの移行が大規模なAI導入の障壁を低減することに同意しています」と小杉氏は述べた。技術リーダーの90%が単一プラットフォームでのデータ統合がAIにとって極めて重要と回答しており、72%がデータの問題がAI目標達成を阻害する最大の要因だと認識している。Microsoft Azureの統合プラットフォームで分散したデータサイロから脱却し、ベクトル検索、RAGパターン、GitHubやMicrosoft 365 Copilotとの連携など、開発者が次世代インテリジェントアプリケーションを構築・提供するために必要な包括的なネイティブ機能が容易に利用できる。

 第3の成果は「コードからクラウドまでのセキュリティ」だ。Microsoftは毎日84兆を超えるセキュリティシグナルを処理しており、進化する脅威に対する洞察力を得ている。

 「最終的にはプラットフォーム内で実行されるワークロードの保護が肝心です。Microsoft Azureは物理データセンター、インフラストラクチャ、運用にわたる多層的な保護を提供して、サイバーセキュリティの専門家による継続的な監視でビジネスを保護します」

 ワークロードの保護には「Microsoft Defender for Cloud」が活躍する。これはコンピューティングから、ストレージ、データベース、アプリケーション、AI、サービス層に至るまでのあらゆるワークロードを保護する包括的な「コードからクラウドまで」のソリューションであり、Microsoft Azureにネイティブに組み込まれている。

 第4の成果は「業界最高水準のコストとパフォーマンス」だ。技術スタック全体での高い評価に加え、「Windows Server」や「SQL Server」といった自社ワークロードの統合、インサイトの獲得、ERPなどのエンタープライズシステムとの連携、高度なモデルへのアクセスを提供する。サードパーティーソリューションとの戦略的パートナーシップによって、高いコスト効率と管理性を実現している。

グローバル企業に見るインフラ刷新の成功例

 こうしたMicrosoft Azureの成果は、グローバル企業の成功事例によっても証明されている。

 米国の大手食品メーカーは高い保守コストや拡張性の欠如、セキュリティの課題があったが、Microsoftの移行支援ツールを利用して、わずか3カ月でクラウドへ移行した。

 「その成果として、57%のコストを削減して、40%のパフォーマンスを改善し、50%のセキュリティリスクを低減しました」

 グローバルな光学機器メーカーは、基幹システムであるERPアプリケーションをオンプレミスで運用していたが、柔軟性の欠如からIT部門のプロセスが長期化・遅延し、自動化が事実上不可能に思われていた。そこで、約80ものオンプレミスシステムをクラウドへ移行するという大きな決断を下した。

 「その光学機器メーカーは現在、アプリケーションの開発と利用において無制限のスケーラビリティ、柔軟性、自動化、高速性を享受しています。インフラをオンデマンドで拡張し、アイドル状態のリソースを停止することで大幅にコストを削減しました。新規環境のセットアップ時間も数週間から数時間に短縮して、価値創出までの時間を加速しました」

 スポーツの最前線でも変革は進んでいる。欧州のプロスポーツリーグは、クラウドとオンプレミスを併用しながら「Azure Machine Learning」とAIを利用して、物理的・戦術的データポイントをリアルタイムで収集・分析している。北米のプロスポーツリーグは、グローバルなファンエンゲージメントや高度なAI機能を支えるため、オンデマンドでスケール可能かつ安全でアジャイルな統合プラットフォームとしてMicrosoft Azureを選択。ピークトラフィックやリアルタイムのデジタル体験を支え、よりパーソナライズされたコンテンツの提供を実現している。

自律型AIと共に歩む、これからのインフラ戦略

 旧態依然としたレガシーシステムからの脱却は、もはやためらうべき課題ではなく、ビジネスの成長に不可欠なステップになっている。

 「さまざまなクラウド移行例を基に、皆さまの移行とモダナイゼーションを加速できると私たちは信じております。Microsoft Azureは、皆さまの戦略的なパートナーとして変革を支えていきます」

 小杉氏のこの言葉の通り、日本マイクロソフトはクラウドの構想から導入まで、クラウドジャーニーの全段階で包括的なサポートを提供する。スペシャリストやパートナー企業を通じて、確実なスキルアップとフレームワークが提供される点も、導入企業にとっては心強い。

 静的な手作業から自律型AIへのシフト――エージェントがけん引するモダナイゼーションこそが、企業が既存の課題を解決し、飛躍的な成長を遂げるための最適解といえる。AIファーストの世界で迅速に、安全に、そして確信を持ってイノベーションを推進するために、今こそ自社のインフラ戦略を再定義し、モダナイゼーションへの第一歩を踏み出すべきだろう。

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アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2026年7月31日