国産データマネジメント基盤「Dr.Sum」は、2001年の誕生以来、現場ユーザーの声に寄り添いながら進化を続けてきた。自在なクロス集計へのニーズから生まれ、「速い」「自由」「高コスパ」という価値を守り続けてきた同製品は、最新版でさらなる進化を遂げた。なぜDr.Sumは25年もの間、現場とITエンジニアの双方から選ばれ続けているのか。その理由と、生成AIを搭載した最新バージョンの全貌に迫る。
企業のデータ利活用が進む一方で、社内のデータベースやインフラを支えるITエンジニアは、データマートの乱立、インデックス設計やチューニング、現場からの突発的なデータ抽出依頼の対応に追われがちだ。
そうしたエンジニアの運用保守負荷を減らし、業務現場のユーザー自身が集計作業や分析をする「データ自走」を、長年にわたり支えてきた国産のソフトウェアがある。ウイングアーク1st(以降、ウイングアーク)の「Dr.Sum」だ。
Dr.Sumが誕生したのは、今から25年前の2001年にさかのぼる。当時の看板製品であった帳票ソリューション「SVF」は、日本の帳票文化を強力に支えていたものの、決められたフォーマットで表現する帳票だけでは「もっと自由に変数を変えてデータ分析したい」というユーザーの要望に応えきれない限界があった。そこで、自在な「クロス集計」を手軽に実現できる国産の分析基盤として新たに開発されたのが、Dr.Sumの原点である。
Dr.Sumの「生みの親」の一人として当初から開発に携わり、現在はプロダクトオーナーとして製品全体を統括する笹原徹氏は、「帳票はどうしても固定的です。決まりきったフォーマットでデータを表現するため自由度が足りず、扱えるデータ件数やパフォーマンスにも課題がありました」と振り返る。
一方で、データ分析の専用基盤であるBIツールの多くが海外製品で占められ、「日本人には合わない」という課題感もあった。求められていたのは、より手軽に縦軸と横軸のデータを自在に組み替えられる「クロス集計」ができる、国産の分析基盤だった。
「世の中にないのなら、自分たちで作ろう」
こうして開発されたDr.Sumは、初期バージョンのリリース以降、いち早く導入した企業の間で評判を呼び、口コミとさまざまなイベントを通じてユーザーを拡大していった。
「速く」「自由」で、なおかつ「コスパがいい」――この三拍子は、ウイングアークが四半世紀にわたって守り続けてきた、Dr.Sumの価値そのものである。
同社は、中でも「速さ」に徹底してこだわってきた。
「他社製品とのパフォーマンス比較は、絶対に負けられない戦いです。バージョンアップを重ねるたびにパフォーマンスを改善し、圧倒的な速度差を実現してきました」(笹原氏)
Dr.Sumの歴史を振り返る上で、もう一つ欠かせないのは、開発に携わるメンバー自らが顧客と直接向き合う姿勢だ。現在約30人に拡大したDr.Sumの開発グループを率いる川代雄太氏はこう語る。
「Dr.Sumは、現場の皆さまに愛され、シェアを獲得してきました。新機能を開発する際には、それがユーザーにどのように役立つのか、どんな価値を届けられるのかを熟考し、議論することを大切にしています」
この言葉通り、Dr.Sumの開発チームはオンラインとオフラインのさまざまな手段を通じて、ユーザーの生の声を聞く機会を積極的に設けている。
「もちろんユーザー調査などのレポートも上がってきますが、それだけでは見えてこないことが多々あります。お客さまは何に困っているのか、どんな需要があるのか、その処理が止まると業務にどんな影響が出るのか。そうした現場の温度を肌で感じる機会を通じて、ユーザーの皆さまの顔を思い浮かべながら開発に取り組んでいます」(川代氏)
開発チームのエンジニアが顧客と直接対話する体制は、数あるパッケージベンダーの中でも、極めて珍しい。
ウイングアークの現場重視の姿勢が、実際の機能開発に直結した象徴的な例の一つとして挙げておきたいのが「インポートタスク」だ。CSVファイルを所定の場所に置くだけで、必要なデータをDr.Sumが自動で取り込むこの機能は、当初の設計にはなかったものだったという。
「最初のバージョンではまったく想定していなかった機能でしたが、『これがないと困る』というお客さまの声を受けて、すぐに追加しました。『非常に使いやすくなった』と評価いただき、今も現役です」(笹原氏)
現場を見ないと絶対に分からないことがある――25年以上にわたって揺らぐことなく守り続けてきた開発者のスピリッツこそが、今もDr.Sumが多くのユーザーから支持を集めている最大の理由と言える。
Dr.Sumに大きな転機をもたらしたのが、2017年に実装したインメモリエンジンである。
「お客さまがDr.Sumで集計・分析するデータが数億件オーダーにまで増え、ディスクベースのエンジンだけでは、立ち行かなくなりつつありました。そこでデータをメモリ上に展開し、集計処理するインメモリ方式へと舵(かじ)を切ったのです。インメモリエンジンの導入によって飛躍的な性能向上を遂げたDr.Sumは、新たなステージに突入しました」(川代氏)
もちろん、単に速さを追求すればいいわけではなかった。Dr.Sumは既に数千社の顧客に使われていたため、実験的な製品をリリースするわけにはいかない。
「大幅な速度向上を実現させ、既存のエンジンでできたことは当然継承し、安定した品質を維持しなければなりません。これを両立させることが最大の課題でした」(川代氏)
特筆すべきは、インメモリエンジンの実装方式だ。一般的なインメモリデータベースがデータベース全体を変更するのに対し、Dr.Sumはテーブル単位でインメモリ化のオン/オフを切り替えられる設計を採用した。しかも、既存のテーブル名を変えずに済む「ハイブリッド方式」により、「MotionBoard」や「Datalizer」といった可視化ツール側の設定変更をほぼ不要としたのである。
「要するに、既存のレポートを何も修正することなく利用を継続できます。運用変更の手間やコストをほとんどかけることなく、性能向上のメリットを得られます」(川代氏)
システムを劇的に高速化させながらも、現場の既存運用を一切壊さない――この「徹底した現場・運用第一主義」の設計思想こそが、時代が変わってもDr.Sumが企業から選ばれ続けている最大の理由だ。
ウイングアークは、「Dr.Sum」新バージョンのリリースを予定しており、前バージョンのリリースから約2年半の期間を経て、3つの特徴を柱とする改善を打ち出した。
「10倍高速化」という目標の下、インメモリエンジンを利用しないユーザーにも恩恵をもたらすよう、通常環境での高速化が進められた。
象徴的なのが、検索条件に関する事前処理の高速化だ。例えば「北海道札幌市」のような文字列を都道府県と市区町村に分割して条件指定する際に、従来はデータ件数分の処理を繰り返し実行しなければならなかった。新バージョンではこの仕組みを抜本的に見直し、同じ値なら一度だけ評価すれば済むように変更したのである。
「1億回繰り返していた処理が1回で完了するようになったケースもあり、大幅な高速化につながっています」(笹原氏)
加えて、前述した分散処理の活用やディスクアクセスの削減、さらにはWindows上で動作するモジュール(DLL)の読み込み順序まで見直すといった細部にわたるチューニングを積み重ね、過去最高速のパフォーマンスを達成したのである。
これまで本格的なデータベースの構築や管理にはWindowsベースのアプリケーションのインストールが必須で、運用担当者の負担となっていた。新バージョンでは、データ収集からジョブ管理まで全ての管理業務をWeb Consoleに集約して完結するようにした。これにより、運用担当者の管理負荷を軽減し、新しく利用する方にも使いやすくなった。
「データベースの構築・運用工数を大幅に削減します。また、データベースの作成手順やデータフローの設定手順などもガイドとしてWeb Consoleに組み込んでおり、初めて触れる担当者でも迷わず作業を進められます」(笹原氏)
新バージョンには生成AI機能も搭載した。これまではSQLの書き方を調べながら対応していたIT担当者や非エンジニアである業務部門のユーザーが、Dr.Sumと自然言語で「対話」をしながら、データ活用ができるようになった。
「Dr.Sumに投入するデータの変換処理を定義する新機能『データフローデザイナー』に生成AI機能を搭載しました。『都道府県ごとにデータを分割してほしい』といった要望を自然言語で伝えるだけで、必要な処理を組み立てられるようになりました」(川代氏)
それだけではない。「Datalizer for Excel」や「Datalizer for Web」を通じたレポート作成の場面でも、生成AI機能を活用できる。
「昨対比、達成率など、従来は複数の関数を組み合わせて作り込む必要があった計算項目を、自然言語で生成できるようにしました。ユーザーは、『売り上げを分析して』『昨対比を表示して』『x月をカテゴリー別に表示して』といった指示を出すだけで、目的のレポートを作成できます」(笹原氏)
こうした生成AIとの連携によって、Dr.Sumを使いこなせるようになるハードルが大きく下がるのは間違いない。業務部門のユーザーが自身で分析できるようになるので、「データの民主化」が飛躍的に前進することになるだろう。
「速い」「自由」「高コスパ」という原点を守りながら、25年という長い年月をかけてDr.Sumが磨き続けてきたのは、「現場が自走し、IT部門の手も煩わせない」という現場に徹底的に寄り添う価値そのものである。だからこそ、今なお多くの企業から選ばれ続けているのだ。
ただ速いだけじゃない――この言葉が意味するDr.Sumの進化を、より多くの企業の業務現場で体験し、収益力や競争力の強化につなげていただきたい。
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アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2026年10月31日