「見えないOT資産、見えないセキュリティリスク」を解消する IT/OTの分断を解消する方法とは生産現場を止めないセキュリティ対策を提案

実態が把握できず、本社IT部門/情報セキュリティ部門が対策にも十分に介入できないことがOTセキュリティの難しいところだ。工場の稼働に影響を与えずに十分な対策をとる方法を探る。

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» 2026年09月02日 10時00分 公開
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 製造業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進や「つながる工場」の進展は、生産ラインの自動化やデータの見える化など、多くの恩恵をもたらしている。しかしその一方で、従来はインターネットから隔離されていた工場内のOT(制御技術)環境がITネットワークや外部クラウドと接続されることで、サイバーリスクが劇的に増大しているという過酷な現実がある。

 現在、多くの製造業で深刻な課題となっているのが、本社の情報システム部門やセキュリティ部門からは把握できていない「工場の見えない脆弱(ぜいじゃく)性」の問題だ。ネットワーク構成や接続されている資産、実際の通信状況が本社から見えないため、ガバナンスが効かず、万が一インシデントが発生した際にも影響範囲や対応対象を迅速に特定できないという致命的なリスクを抱えている。

本社IT部門にとっては未知の攻撃対象、攻撃手法も

 「うちは工場とインターネットを直接つないでいないから安全だ」「境界のファイアウォールでITエリアを守っているから大丈夫だ」という思い込みは、現代のサイバー脅威の前では通用しない。

 OT領域を含むサイバーセキュリティに詳しく、ホワイトハッカーとしても活躍する三菱電機デジタルイノベーション セキュリティ事業推進本部 グローバルセキュリティ統括部(以下、三菱電機デジタルイノベーション)の大久保佑氏は「OTエリアへの侵入経路は多岐にわたっており、本社IT部門によるオフィスIT環境向けのサイバー防御体制を回避し、エアギャップ(物理的隔離)を越えて侵入する手法も確立されているため、インターネットに接続していないからといって安心はできません」と警鐘を鳴らす。

大久保氏 三菱電機デジタルイノベーション セキュリティ事業推進本部 グローバルセキュリティ統括部 大久保佑氏

 特に本社情報システムの情報セキュリティ担当者が想像しにくい手法の例として大久保氏が示したのは、一般的なUSBケーブルそのものにマルウェアが仕込まれるケースだ。端末からは通常のキーボードなどの接続デバイスとして認識されるため気付きにくい。現場の従業員が「少し充電したいから」「データの受け渡しをしたいから」と良かれと思って挿入したデバイスが、一瞬にして工場全体を危機に陥らせる。

 「USBメモリ経由のマルウェア感染はよく知られていますから、外部からのUSBメモリ持ち込みは厳しくチェックされるのが普通です。しかしUSBケーブルにマルウェアを仕込む手口には対応できません。工場内で『ちょっと充電ケーブルを借りる』といった、ささいな行動をきっかけにマルウェアが拡散するといったシナリオが現実に起こるようになっています」(大久保氏)

USBケーブルのサンプル 大久保氏が手に持つのは、デモ用に用意されたマルウェア入りのUSBケーブル。見た目は通常のケーブルと全く同じだ。後ろに並ぶのは同社ラボに用意された各種装置(同社ラボ「共創空間 Serendie Street Yokohama」で撮影、以下同)

 「フロンティアAI」の出現は、この脅威を加速させている。サイバー攻撃の設計図とも言える「サイバーキルチェーン」の各段階において、攻撃者がAIを活用することで、事前の情報収集やマルウェア作成にかかるコストとハードルが大幅に下がった。これにより、従来よりも格段に巧妙で大量の攻撃がOT領域に向けて放たれる時代が到来している。

 実際に、2022年には海外で標準的な電力制御プロトコルを悪用して変電所の遮断器を直接操作し、市民生活に影響を与える大規模な停電を引き起こした事例が発生している。国内でも、飲料メーカーがIT領域からのランサムウェア攻撃を受け、安全確認のために工場の操業を約5日間にわたって停止せざるを得なくなったインシデントは記憶に新しい。大手製造業が工場を数日間停止した場合、その損失は数百億円規模に達することもあり、経営基盤をも揺るがしかねない。

三菱電機デジタルイノベーションだからこそできる「現場目線」の3ステップと可視化

 ITセキュリティが「機密性」を最優先にするのに対し、OTセキュリティは工場の稼働を絶対に止めない「可用性」を最優先とする。そのため、IT用のセキュリティ製品をそのまま工場に持ち込むと、制御システムの誤動作を引き起こしたり、生産効率を損なったりする可能性があるため、現場の猛反発を受けることも多い。

 このITとOTの深い断絶を埋められるのが、三菱電機デジタルイノベーションだ。同社は、三菱電機グループが製造業として自社工場で培ってきた長年のドメイン知識と運用実績という「現場目線でのノウハウ」を最大の強みとしている。

 三菱電機デジタルイノベーションが提唱するOTセキュリティは、以下の包括的な3ステップで構成されている。

  • ステップ1:アセスメント(現状把握)
    • 現状のネットワーク構成や資産の把握
    • ガイドラインに沿ったリスク分析と課題抽出
  • ステップ2:対策導入(可視化と防御)
    • 「Nozomi Networks」を活用した資産・通信の自動検出
    • ネットワーク分離、不正侵入防御機器の導入
  • ステップ3:監視運用(継続的ガバナンス)
    • 24時間365日体制のSOCによるセキュリティ統合監視
    • 蓄積データを活用した新たな改善提案

 この対策の基盤となるアセスメントと可視化において同社が推奨するのが「Nozomi Networks」による現状把握とリスクの可視化だ。工場内のネットワークスイッチにミラーポートを設定し、通信データをコピーして解析するため、稼働中の操業システムに一切の影響(遅延や誤動作)を与えることなく導入できる。

Nozomi_Networks Nozomi Networksの筐体(きょうたい)。ネットワーク環境次第だが、1台で工場全体の可視化も可能だ

 Nozomi Networksを接続すると、わずか数分で複雑なネットワーク構成が自動で作図され、詳細な資産台帳が生成される。実際にこれを導入した現場では、「廃棄されたはずの古い端末が接続されたままだった」「台帳に未記載の出入り業者の保守用機器が放置されていた」「ITとOTは分離されているはずなのに、実は裏で通信がつながっていた」といった、隠れたリスクが次々とあぶり出される。

 工場内のPCにはWindows XPなどの古いレガシーOSがアップデートされずに残っているケースが多く、制御装置(PLC)自体にも多数の脆弱性が存在している。資産管理のリストに含まれない装置が残っているような、誰も把握していない機器であっても通信状況や機器のOSバージョンやセキュリティリスクを把握できるため、抜け漏れのない対策が可能だ。たとえメーカーサポート切れの機器であっても、存在を把握できれば、Trend MicroやTXOneなどの産業用IPSを配置するなどの対策を考えられる。

 「OT機器は、CC-Link IE、EtherNet/IPなど、ITとは全く異なる専用プロトコルを使用します。IT向けセキュリティ製品ではOTプロトコルを解析・監視できませんし、機器にクライアントを入れるような方法では機器の動作に影響を与える可能性があります。ポートミラーリング型のNozomi Networksであれば工場の稼働を邪魔せずに対策が可能です」(大久保氏)

Nozomi_Networks Nozomi Networksによる可視化のデモ。機器の状態やOSバージョン、セキュリティパッチの適用状況、リスクの重大度なども一覧で確認できる《クリックで拡大》

ITとOTの組織分断を解消する体験としての「OTセキュリティラボ」

 OTセキュリティを推進する上で、最大の障壁となるのは「IT部門と工場現場のコミュニケーション不足」だ。IT部門は工場の独自プロトコルや動作特性を知らず、現場はセキュリティの重要性を肌感覚で理解できないため、対策の議論が進まないのだ。

 この組織分断を解消するための「共創の場」として機能しているのが、同社の「OTセキュリティラボ」だ。2023年にオープンした横浜ラボ(共創空間 Serendie Street Yokohama)では、すでに約400人(180回)の来訪実績があり、多くの企業で対策の起爆剤となっている。さらに、西日本エリアの旺盛なニーズに応えるため、2026年7月15日には大阪ラボ(関西支社内)を新たに開設し、支援体制を大幅に強化した。

 ラボには、実際の制御機器やPLC、SCADAなどを備えた模擬工場設備が設置されており、ホワイトハッカーの知見を詰め込んだリアルなサイバー攻撃デモが実演される。

 「実際の制御機器を備えた模擬工場でどのようにサイバー攻撃が発生するかをデモしています。汚染されたUSBメモリやPC、リモートでのサイバー攻撃などによって、制御システムが感染し、ピッキングや搬送、加工、仕分けがどのように異常停止するかを実演します。2025年には180回、約400人に来場いただきました。そこで皆さんが驚かれるのが(冒頭で触れたような)1本のUSBケーブルで機器に異常が発生するリスクです。実際に攻撃を体験することで、リスクを実感でき、ITとOTを一体的に取り組む体制をつくりやすくなります」(大久保氏)

ラボに置かれた各種装置の例。同社機器以外の装置もカバーしており、実際にどう見えるのか、どう対応すればよいのかを体験できる。本社セキュリティ担当者と工場の担当者がこの場でディスカッションすることも多いという

ホワイトハッカーの知見を集約し、日本のものづくりを守り抜く

 どれほど強固な壁を作っても、100%完璧な防御が不可能な時代だからこそ、攻撃を受けることを前提とした「早期検知」と「即時対応」の仕組みが不可欠だ。しかし、製造業が自社単独で24時間365日の高度なセキュリティ監視体制を構築し、維持し続けるのはコストや人材の面から極めて難しい。

 三菱電機デジタルイノベーションは、工場やインフラの特性を熟知した専門のSOC(Security Operation Center)を自社で保有し、24時間体制で顧客のネットワークを遠隔監視している。有事の際には、同社に在籍する高度な技術を持ったホワイトハッカーやエンジニアの知見がダイレクトに生かされ、現場の緊急対応手順の運用まで一気通貫でサポートする。

 自動車、半導体、化学、インフラ産業に至るまで、マルチベンダーが当たり前の複雑な製造現場において、実装から24時間の運用監視までをワンストップで伴走できるパートナーは数少ない。三菱電機デジタルイノベーションは、現場発の確かな技術力と情熱で、製造業のサイバーレジリエンスを支え続けていく。

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提供:三菱電機デジタルイノベーション株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2026年11月1日