AIプロダクトで未来を開く 「戦略的モダナイゼーション」に挑む大和総研のエンジニアたち受託開発の知見を次の価値へ

大和総研がAIを活用した自社プロダクトの開発に注力している。受託開発で培った知見を生かしながら、プロダクト開発にも取り組む同社のエンジニアに、開発の方向性や現場の業務、カルチャーについて聞いた。

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» 2026年09月09日 10時00分 公開
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 金融機関をはじめとする大規模システムを支えてきた大和総研。長年培ってきた技術知見とAIなどの先端技術を掛け合わせて、自社開発のAIプロダクトを通じた新たな価値提供に注力している。

 今回は自律検証型AIマイグレーションツール「Smartrans」(スマートランス)の開発をけん引する池田恭彬氏と、中途入社で現場の開発を担う松本有香氏、大江広司氏にインタビュー。プロダクト開発の方向性や、エンジニアの業務、カルチャーについて聞いた。

photo 左から、大和総研の松本有香氏(企業システム事業本部 プロダクトソリューション部 課長代理)、池田恭彬氏(企業システム事業本部 プロダクトソリューション部 チーフグレード)、大江広司氏(企業システム事業本部 プロダクトソリューション部 課長代理)

※以下、敬称略。

AIプロダクト開発に力を入れる背景

――大和総研と聞くと「金融機関や大企業のITシステムを支えるシンクタンク」のイメージを持つ方が多いと思います。自社プロダクトの開発に注力している背景をお聞かせください。

池田: 当社は従来、受託開発やシステムの運用・保守を通じて、お客さまの事業を支えてきました。近年は市場環境やお客さまのニーズが大きく変化する中、これまで培った知見を生かしながら、自社プロダクトによる新たな価値提供にも取り組んでいます。経営陣からも「スピード感を持って新たなプロダクト開発に取り組む」という方針が打ち出されて、受託開発とプロダクト開発の“両輪”体制にシフトしました。

 その一環で2025年4月に「プロダクトソリューション部」を新設し、AIなどの先端技術を活用したプロダクトの企画・開発を進めています。

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――そこで生まれたのが、Smartransですね。

池田: はい。Smartransは「AI技術」を用いたレガシーシステムのマイグレーションツールです。同年6月にプレビューリリースを開始しました。

 「レガシーシステム」という言葉にはネガティブな印象が一見伴いますが、本来は企業の根幹を支えてきた重要な資産です。ただ、技術の老朽化や技術者不足、保守コストの増大といった課題があるため、時代に合わせてモダンな環境にアップデートする必要があります。

 SmartransはAIエージェントがレガシー資産を自動解析して、コード変換やドキュメント生成、変換前後の“現新一致”を自動検証します。単に古いシステムを処分するのではなく、企業の資産を新しい時代に合わせて、さらなるデータ活用や分析へとつなげる「戦略的モダナイゼーション」を支援します。

 すでに公共、通信、金融など、幅広い分野のお客さまからご相談をいただいています。コードの書き換えにとどまらず、今後もOSやミドルウェアの移行、プラットフォームやETL領域などへの適用可能性を検証し、対応領域の拡大を進めていきます。

先端AIプロダクトへの挑戦

――では現場でプロダクト開発に携わる、中途入社の大江さんと松本さんにも話を伺います。前職のキャリアと、入社後の業務内容を教えてください。

大江: 新卒で独立系のSIerに入社し、アプリケーション開発を中心にインフラやクラウドまでフルスタックに関わっていました。

 大和総研に入社後は、Smartransのマイグレーション検証や機能拡張に携わった後、現在はPO(プロダクトオーナー)として改善項目の洗い出しや優先順位付け、技術調査などを担当しています。

 2026年4月からは、新規プロダクトのアーキテクトも兼任しています。法令改正が行われた際に、金融機関などの業務フローやシステムへ及ぶ影響を調査・分析するAIエージェントアプリケーションの開発に取り組んでいます。

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松本: 私は前職で、通信系のSIerでアプリケーション開発やソリューション企画に携わっていました。大和総研に入社してからは、Smartransの導入に向けたPoC(概念実証)やプロダクト開発チームにアサインされ、Smartransの機能開発や複数のプロジェクトで技術的な支援、設計検討や関係者との調整業務を担当しています。AI駆動開発を積極的に実践しており、自分のアイデアをAIのサポートを受けながら迅速に形にできる点が面白いですね。

――苦労したことについても教えてください。

大江: 苦労したことは大きく2つあります。一つは、正解のないプロダクト開発への戸惑いです。特定のお客さまを持たず、企画しながらプロトタイプ開発を繰り返すので、POとして改善項目を洗い出し、何を基準に改善対応の優先度を付けるかといった判断は、これまでの経験にはなく頭を使いました。

 もう一つは、レガシー技術との向き合い方です。「先端技術を使って開発するが、扱う対象はレガシー」というギャップがありました。そこで、社内に蓄積された検証用のレガシー資産を活用し、AIも活用しながら実際のコードを確認して自分の言葉で説明できる状態になるまで理解を重ねる。その繰り返しでキャッチアップしました。

松本: 既存のSmartransの仕様理解には苦労しました。入社当時は機能拡充を迅速に進めている段階で、仕様も継続的に更新されていました。そのため、設計資料だけでなく実際のコードやログも確認しながら、最新の仕様を把握する必要がありました。どんな情報を与えれば正常に動くのかを、実際に触りながら把握していく必要がありました。

 この経験があったからこそ、「後から参画する人には、どんな情報がどんな形で残っていれば伝わるのか」を具体的に考えられるようになりました。今はSmartransのドキュメンテーション機能の開発にも携わっていますが、まさに自分が苦労した部分をAIで解消していく仕事です。当時の経験がそのまま設計に生きていますね。

――お二人のやりがいについても教えてもらえますか。

大江: 前職で幅広い技術に触れてきた経験が、Smartransに全て集約されている感覚があります。さまざまな言語・システムを変換対象とするため、JavaだけでなくC#もCOBOLも、レガシーとモダンの両方の知識が必要です。生成したプログラムを実際に動かすので環境構築やインフラ、クラウドの知識も求められます。本当にフルスタックなプロダクトで、難易度が高いからこそ学びが多いんです。

 「フルスタックに経験を積んで、世にないものを送り出していきたい」という思いがあったので、Smartransの経験はもちろん、現在取り組んでいる新規プロダクトのように前例のないものに挑戦できるというところが、やりたかったことにマッチしていますね。

松本: 私も大江さんと同じで、いろんな技術に触れられるというのはやりがいに感じています。COBOLのようなレガシー技術にも初めて触れましたが、昔のエンジニアが手書きした設計書を目にしたときには「ここから今のシステムまで来たんだ」と感動しました。会社としても注力しているAIプロダクト開発に最前線で携われることも、大きなやりがいです。

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――先進的なプロダクト開発を後押しするための、社内のサポート制度や環境はいかがでしょうか。

松本: 組織を横断した勉強会や、常時視聴できる動画の研修コンテンツが充実しています。資格取得を後押しする支援制度もあり、キャッチアップの意欲をバックアップしてくれる環境が整っています。

大江: チーム内にも気付きや知見を共有する文化があります。困りごとがあれば、メンバーから「その課題ならこの技術で解決できるのでは」と自然にアドバイスが飛び交います。

 現場発のアイデアを正当に評価する仕組みもあります。社員が自らアイデアを提案できる社内コンテストがあり、優れたものは事業化まで会社としてサポートします。私が携わっている新規プロダクトも、もともとは同じ部内の社員がコンテストで入賞して始まったものです。

プロダクトで切り開く未来と、求めるエンジニア像

――松本さんと大江さんに質問です。今後の目標やエンジニアとしての展望をお聞かせください。

松本: 技術の知見を広げることはもちろん、ビジネス視点も持ったエンジニアに成長したいですね。特定の業界に縛られず広い領域で経験を積み、社内外から「松本に相談すれば大丈夫」と言われるような、個人の名前で信頼される存在を目指しています。

大江: プロダクト開発を通じて、先端技術をお客さまの具体的な価値や感動につなげることが直近の目標です。長期的には「大江が携わったプロダクトなら信頼できる」と言っていただけるような、技術と実績を備えたエンジニアになりたいですね。

――池田さんに質問です。企業のAI活用が本格化する中で、大和総研としてどのような組織・体制をつくろうとしていますか。また、どのようなマインドのメンバーと一緒に働きたいと考えていますか。

池田: お客さまが本格的なAI活用に踏み出す時代で、私たちはその取り組みを支援する存在になろうとしています。お客さまに伴走しながら新たな価値を生み出すこと、その価値提供を支える仕組みを具現化することが重要な軸です。全てのエンジニアが同じ役割を担う必要はありません。プロダクト開発、伴走支援、技術特化、ビジネス志向など一人一人の得意分野を最大限に生かせる適材適所の体制を目指しています。

 大和総研は、大和証券グループの事業を支える中で培った知見を生かしながら、グループ外のお客さまにもAIプロダクトを展開できる事業基盤を有しています。

 挑戦を後押しする環境は整っていますので、激しい技術の変化をポジティブに楽しみ、チームで協力しながら課題解決へ主体的に動けるエンジニアの方に参画していただきたいですね。

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