式と演算
Javaでは計算の基本単位は式になります。式の例としては、3+4や2×3といったものがあります。式は「+」や「×」といった演算子(オペレータ)と「3」や「4」といった被演算子(オペランド)から構成されます。被演算子としては、リテラルだけでなく変数も使えます。実は変数だけでも式になります。式は基本的に実行時に評価されて値となります。リスト2でiへ1が代入されていましたが、それを実行するときにはリスト5のように式である変数iの評価がされた結果1となり、それが出力されたのです。
System.out.println(i); → System.out.println(1);
3+4や2×3といった数値計算をするためには算術演算子があります。加減乗除(+、−、*、/)の演算子が使えますが、掛け算が「×」ではなくて「*」だという点には注意しましょう。また、式は評価されるとオペランドの組み合わせに応じて、ある型の値となります。整数と整数で除算をすると整数となりますが、実数と実数で除算をすると実数になります。式の評価結果はどんな型になるかを常に意識する必要があります。
論理演算子も用意されています。「かつ」という論理積を表す演算子は「&&」となります。xとyの値が両方ともtrueのときだけ「xかつy」の値はtrueとなります。xの値がtrueで、yの値がfalseのときは、「xかつy」の値はfalseとなります。論理積の一覧を表2に示します。
x | y | x && y 評価結果 | |
---|---|---|---|
true | true | true | |
true | false | false | |
false | true | false | |
false | false | false | |
表2 論理積 |
「または」という論理和を表す演算子は「||」となります。xの値かyの値のどちらかがtrueのとき、「xまたはy」の値はtrueとなります。xの値がfalseで、yの値がfalseのときは、「xまたはy」の値はfalseとなります。論理和の一覧を表3に示します。
x | y | x || y 評価結果 | |
---|---|---|---|
true | true | true | |
true | false | true | |
false | true | true | |
false | false | false | |
表3 論理和 |
それでは、式を使ったプログラムを作成してみましょう。これもリスト6のようにPrintクラスへ処理を追加します。水色の部分が追加した分です。加減乗除の四則演算と一通りの論理演算を実行するようにしました。
プログラムを入力し終わったら、[ファイル]→[保管]でファイルを保存してから、[実行]→[次を実行]→[Javaアプリケーション]を指定して実行してみましょう。画面3のように出力されれば成功です。1+2の計算結果「3」などが出力されているはずです。また、12/5の計算結果が「2」となっているのに対し、12.0/5.0の計算結果が「2.4」となっていることが確認できるはずです。論理演算が初めての読者は表2・3とリスト6や画面3をよく見比べて結果の確認をしてみてください。
今回は、変数と型について解説をしました。操作の途中で計算している値が変わるようなプログラムを作成するには変数を使えばよいということ、型とはメモリをどのように利用するかを指定するためのものであることを理解できたでしょうか。型については基本中の基本しか解説しませんでしたが、論理値、整数値、実数値を扱えるようになったはずです。また、式と演算についても解説しました。これらの事項を理解していれば、簡単な数値計算をコンピュータへ処理させることができるはずです。
次回はプログラム処理の制御をする方法の1つである条件分岐処理について解説する予定です。
筆者プロフィール
小山博史(こやま ひろし)
情報家電、コンピュータと教育の研究に従事する傍ら、オープンソースソフトウェア、Java技術の普及のための活動を行っている。Ja-Jakartaプロジェクト(http://www.jajakarta.org/)へ参加し、PMCの一員として活動を支えている。また、長野県の地域コミュニティである、SSS(G)(http://www.sssg.org/)やbugs(J)(http://www.bugs.jp/)の活動へも参加している。
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