この連載について
この連載では、100人くらいのユーザーのいる小規模ネットワークに起こるさまざまなトラブルを、ネットワークツールを用いて解決していきます。主人公は、社内の管理者兼プログラマーの律子さん。前回のトラブル・シューティングの模様は第1回「LANから外に出られない」をご参照ください。
どうして俺だけプリントできない?
律子さんの会社ではいままでの白黒プリンタとおさらばして、新しくネットワークカラープリンタを導入することにしました。ネットワークの担当者となってから、新しいマシンがLANに導入されるのは初めてなので、律子さんはうれしくなって少々舞い上がり気味です。
プリンタが設置され、次にネットワークの設定に取り掛かります。いまのプリンタは自分のマシンから専用のアプリを使ってIPアドレスなどの設定もできるのでとても簡単です。
律子さんの管理するLANはIPアドレスを固定値で設定することになっているので、
プリンタのIPアドレスを設定
192.168.0.200
と192.168.0.100までの範囲にあるクライアントマシンとは少し離したところに設定してみることにしてみました。
そして、自分のクライアントの設定も済ませ、テスト印刷してみたところ、ばっちりプリントできました。テスト印刷ということで、いつもはコソコソと印刷している居酒屋のクーポンも堂々と印刷することができます。
印刷できたので、得意になってフロア中に新プリンタを告知し、社内のWebサーバーにドライバとインストール方法を書いたドキュメントを置いて、各自、インストールしてもらうことにしました。
少したつと、何度もプリンタからテスト印刷の音がします。あ、これで滞りなく終わったと思い、ほっとしていると、課長から呼び出しです。プリントできないそうです。
「明日のプレゼンの資料を印刷しなきゃならんのだ。何とかならんのかね」
ドライバのインストールもできないなんてしょうがない人だなあ、まあ、少しは管理者としての威厳を見せ付けておくか、と思った律子さんは、ちょっと威張って設定しに行くのですが、意外なことにドライバのインストールはうまくいっているようです。
とはいえテスト印刷には失敗してしまいます。
たぶん、何かのネットワークトラブルに違いない。そう思った律子さんは取りあえずいつものようにコマンドプロンプトを立ち上げて、プリンタに向けてpingを打ってみることにします。
プリンタに向けてpingコマンドを実行
C:\>ping 192.168.0.200 Pinging 192.168.0.200 with 32 bytes of data: Request timed out. Request timed out. Request timed out. Request timed out. Ping statistics for 192.168.0.200: Packets: Sent = 4, Received = 0, Lost = 4 (100% loss),
pingが通らない。
もしかするとネットワークアダプタの故障かもしれない、と律子さんは思ったのですが、普通にインターネットにはアクセスできますし、律子さんのマシンからドライバのコピーだってできています。
ハブの故障かもしれないと思いましたが、同じハブにつながっている律子さんのマシンからは正常に印刷できます。試しに律子さんのハブのソケットを交換して接続してみましたが変わりはありません。
これでは物理的な障害とは考えられません。ああ、どうすればいいのでしょうか。自分が体験したことがない状況に直面して律子さんはあたふたしてしまいます。
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