5分で絶対に分かるSIP:5分で絶対に分かる(2/5 ページ)
SIP(Session Initiation Protocol)という言葉を聞いて、IP電話やVoIPといったものを思い浮かべる読者も多いのではないでしょうか? 確かにSIPは「IP電話のプロトコルである」といえますが、クライアントとサーバ間の通信が中心のインターネット上で、「クライアント同士の直接通信を実現」するという大きな機能と可能性を持つ技術なのです。VoIP/IP電話といったアプリケーションを基に、このSIP技術をひもといてみましょう。
シグナリングプロトコル、SIP
SIP以外にもシグナリングプロトコルには、ITU-T(国際電気通信連合の電気通信標準化部門)で規定されたH.323などいくつかの種類がありました。しかしながら、電話のISDNの技術を基本に考えられたH.323は、プロトコルが複雑であり拡張性が乏しかったのが現状でした。このような状況を踏まえ、IETF(Internet Engineering Task Force)でインターネット技術を基本に考えたのがSIPです。
1996年の初案から検討を重ね、1999年にRFC 2543として正式に規格化、その後2002年にRFC 3261として改版され、今日に至っています。現在SIP対応として販売されている機器のほとんどはこのRFC 3261に準拠したものです。10年以上前から考えられてきた技術なのですが、世の中で使われるようになってからはまだ数年しかたっていないといえます。
SIPの基本的な目的は、UA(User Agent)と呼ばれる端末同士が直接通信できるようにするものです。システムはUAとSIPサーバから構成され、次のようなステップでUA同士の直接通信を実現しています。
- (1)UAが起動すると、自分自身の電話番号などの識別情報やIPアドレスを含んだ登録メッセージを、SIPサーバへ送る
- (2)SIPサーバは、UAの登録情報をデータベースに記録する
- (3)ほかのUAは、相手の電話番号などの識別情報を指定した発信メッセージを、SIPサーバへ送る
- (4)SIPサーバは、データベースの情報を検索して、指定された識別情報に対応するIPアドレスへ発信メッセージを転送する
- (5)着信したUAは応答メッセージをSIPサーバへ返し、SIPサーバはそれを発信元UAへ転送する
- (6)一連の流れによって、互いのUAはメッセージ中に含まれていた相手のIPアドレスを知り、SIPサーバを介さずに音声のメディアストリーミングを直接送り合う
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