iSCSIを用いた仮想化環境の構築手順:続・実践! Xenで実現するサーバ統合(2)(3/3 ページ)
仮想化ソフトウェアの「Xen」を用いてサーバを統合するのはいいけれど、肝心のデータやアプリケーションを格納するストレージはどのように配置するのが最も効果的でしょうか? 続編では仮想化とストレージの効果的な活用にフォーカスを当てていきます(編集部)
クラスタとしてのXenの起動
前述の設定を基に、XenホストA・Bをクラスタとして動作させてみましょう。これから説明する内容は、クラスタのすべてのノードで実行する必要があります。
最初にLVMの設定を変更します。設定ファイルは/etc/lvm/lvm.confですが、今回は以下のコマンドを使います。
# lvmconf --enable-cluster
次にクラスタを構成するために必要なデーモンを起動します。
# service cman start # service clvmd start # service rgmanager start
各ノードでデーモンを起動したら、clustatを実行してクラスタの状態を確認してみましょう。
# clustat Member Status: Quorate Member Name ID Status ------ ---- ---- ------ 172.20.192.32 1 Online, Local 172.20.192.35 2 Online
2つのXenホストがクラスタとして稼働することができました。あとはこれらのデーモンがOS起動時に起動されるようにしておきます。
# chkconfig cman on # chkconfig clvmd on # chkconfig rgmanager on
これでクラスタ構成を構築することができました。
クラスタLVMの論理ボリュームの作成
それでは、図2のような構成でパーティションを作成し、論理ボリュームを作成するまでの手順を解説します。
まず、fdiskを使ってsda1のLinux LVMパーティションを作成します。なお、fdiskコマンドの使用方法の詳細については、ここでは割愛します。
関連記事:
Linux Tips:パーティションの状況を調べるには
http://www.atmarkit.co.jp/flinux/rensai/linuxtips/455showpstat.html
# fdisk /dev/sda
以下のような16GBの/dev/sda1パーティションを作成します。
(略) Disk /dev/sda: 59.0 GB, 59055800320 bytes 64 heads, 32 sectors/track, 56320 cylinders Units = シリンダ数 of 2048 * 512 = 1048576 bytes デバイス Boot Start End Blocks Id System /dev/sda1 1 15260 15626224 8e Linux LVM
これでLVMパーティションが作成されました。今度はこのパーティションを物理ボリュームに登録します。
# pvcreate /dev/sda1 Physical volume "/dev/sda1" successfully created
次にボリュームグループを作成します。PEサイズはデフォルトの4Mbytesを指定します。-cオプションでyを指定してVGをクラスタ化します。
# vgcreate -s 4m -c y VGdata01 /dev/sda1 Volume group "VGdata01" successfully created
ボリュームグループが作成されました。次はこのVGdata01上に8Gbytesの論理ボリューム「LV-vm01」を作成します。
# lvcreate -L 8G -n LV-vm01 VGdata01 Logical volume "LV-vm01" created
論理ボリュームが作成されました。lvdisplayで確認してみましょう。
# lvdisplay
以上の手順で、8Gbytesの論理ボリュームを無事に作成することができました。これでゲストOSをインストールするためのディスクを用意できました。
iSCSI共有ストレージへの仮想マシンのインストール
さて、論理ボリュームの準備ができましたので、この上に仮想マシン「vm01」をインストールしてみたいと思います。といっても、すでにローカルディスクと同様の扱いができる状態となっていますので、通常のローカルディスクへのインストール方法と何ら変わりはありません。
インストール方法の詳細については以前の連載で解説していますので、こちらを参照してください。
インストール時のポイントは、ディスクを指定する際にiSCSI上の論理ボリュームを指定することだけです。事前に論理ボリュームのフォーマットやマウントをする必要はありません。
例えば、virt-installのインタラクティブモードでは、次のように指定します。
What would you like to use as the disk (path)? /dev/VGdata01/LV-vm01
あとは、いつもどおり指示にしたがってインストールするだけです。
仮想マシンインストール後のvm01の設定ファイルを見ると、ディスクのパラメータは以下のようになっています。
disk = [ "phy:/dev/VGdata01/LV-vm01,xvda,w" ]
以上がiSCSI構成における仮想化環境の構築手順の解説です。次回は、NAS構成における仮想化環境の構築について解説していきたいと思います。
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