日立ソフトウェアエンジニアリング(日立ソフト)は8月28日、同社が提供している仮想化環境提供サービス「SecureOnline」を活用し、同社の保守サポートサイト「@Service24」のシステムを仮想化環境に移行させた事例を発表した。
SecureOnlineは、日立ソフトのデータセンター内に置かれたサーバ上に仮想マシンを構築し、必要に応じて提供するサービス。VPNを介して、各社専用の仮想マシンにアクセスし、ファイルやサーバなどを共有できる。
日立ソフトではシステムのリプレースを機に、これまで10台のPCサーバ上で運用してきた保守サポートサイト、@Service24のサーバ群をSecureOnline上に移行した。移行に要した期間は約2カ月半。中でも事前の設計に2カ月ほどかけ、特にデータベースに格納されているデータの移行などについて検証を重ねた。この結果、当初ボトルネックになると予想されたI/Oには意外と余裕があり、むしろCPU側にリソースが必要なことなどが判明したという。
新システムではVMware ESX Serverを用い、2台のブレードサーバ上で10台の仮想マシンを稼働させている。サーバ統合により、6分の1の省スペース化、5割強の総消費電力量の削減を実現し、設備購入費や運用コストについても2割削減できた。さらに、ストレージをはじめとするハードウェアリソースを効率的に利用できるようになったという。
SecureOnlineはこれまで主に、プロジェクトに応じてさまざまな環境を構築する必要のある開発環境向けに提供されてきた。だが@Service24の場合は、本番システム環境を仮想化環境上に移行させている。そこで移行に際し、これまで仮想サーバではあまり実現されることのなかった新しいソリューションをいくつか組み合わせた。
具体的には、負荷分散機能を提供するため、F5ネットワークスジャパンの「BIG-IP」を採用した。また、データベースも含めたクラスタリング環境構築のため、サイオステクノロジーの「LifeKeeper」を用いてミラーリングを実現している。この結果、アプリケーションサーバとデータベースサーバをそれぞれ二重化し、本番システムに耐え得る信頼性を実現した。障害時はもちろん、サーバ増設などの際にもサービスを停止する必要がなくなる。
日立ソフトではこの経験を踏まえ、SecureOnlineを、開発環境だけでなく本番システム向けにも提供していく計画という。
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