データドメインは10月1日、国内における事業戦略を説明するとともに、同社のバックアップNASシリーズの最上位機種「DD690」の出荷開始を発表した。
同社は重複除外(デデュープリケーション。同社では「非重複化」と呼んでいる)の機能を実用化し、これをバックアップストレージに搭載した初めての企業。2007年の重複除外関連製品市場(同機能を備えたストレージ、仮想テープライブラリ、バックアップソフトウェアで構成)の54%のシェアを獲得したという。2001年設立の若い企業で、製品出荷開始は2003年だが、世界における売り上げは2006年度の4640万ドルから2007年度の1億2360万ドルへと急成長している。
データドメイン代表取締役の河野通明氏は、国内市場におけるシェアは54%を上回るという。重複除外はこの1〜2年の間に急速に業界内で採用が進んできた技術。2007年には主要ベンダによる重複除外製品の発表が相次いだが、「(国内での製品投入には)時間が掛かったり、あきらめたりするケースがあり、1人で走ってきたような感じ」(河野氏)。2008年に入って他社による製品投入が相次ぎ、ようやく「デデュープ元年」といえるようになってきたという。
データドメインは、特に国内市場に関しては、重複除外機能付きのバックアップ用NASに特化したビジネスを展開してきた。「データが増えすぎてバックアップが終わらない、バックアップをとれない、災害対策ではテープを遠隔拠点に搬送するものの、いざというときにリストアできるか確かめることもできていない、といった問題を解決するための製品として展開してきた。(一般ストレージベンダのように)製品ありきではない」(河野氏)。
NAS形式のバックアップアプライアンスであれば、既存のIT環境にも追加導入しやすい。バックアップソフトウェアとストレージの組み合わせで同様な機能を実現することもできるが、サービスレベル管理が難しく、誰がサポートを提供するのかという問題が生じる。
データドメインでは同社のアプライアンスを使うと、バックアップデータ量が大幅に削減できるため、他拠点に対してWAN越しにデータを複製し、災害に備えるシステムが低コストで短期間に組めることも人気の理由だとしている。
データドメインでテクニカル・ディレクターを務める首藤憲治氏は、同社の重複除外技術の他社に対する優位性として、第1に、バックアップのためのデータコピー時に同時に(インラインで)重複除外作業を行うために、事後に行う(ポストプロセスの)重複除外に比べてストレージ上の作業スペースを節約できること、そして第2に、重複を検知するためにデータを分割するブロックが可変長のため、データ削減率が高いこと、を挙げる。
新製品DD690は同社ストレージの最上位機種。拡張ストレージユニットを利用すれば、1.7Pbytes以上のデータを収容できるという。最大スループットは従来の最上位機種「DD580」の800Gbytes/時に対し、1.4Tbytes/時に向上した。
価格は最小構成時(データ実効容量12Tbytes)で標準価格6000万円。2009年1〜12月の間に100台の販売を目標としている。同社では試用で効果を確認し、購入してもらうケースが多いとし、新製品も1週間無償で貸し出すキャンペーンを実施する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.