作成したWebアプリをTomcatで動かすと……
それではWebアプリケーションを動かしてみましょう。Tomcatへのプロジェクトの追加やTomcatの起動については連載第2回を参考にしてください。
DBへのデータの登録
Webブラウザに「http://localhost:8080/terasoluna-sample/inputSCR.do」を入力してください。表示されるフォームに「001」「terasoluna」と入力し、下記の画面が出力されれば成功です。
上記の操作の結果、DBへデータが登録されたかどうかをHSQL Database Managerで確認してみましょう。HSQL Database Managerの起動およびHSQLDBへの接続方法は前述したとおりです。
「select * from user_list where id = ‘001’;」と入力し、Executeを押下してください。ID列、NAME列に値「001」「terasoluna」が表示されれば成功です。
なお、ユーザーの一覧をテーブルで表示したいなど、さらに詳しいWebアプリケーションを作成したい場合は下記のチュートリアルを参考にしてください。「http://sourceforge.jp/projects/terasoluna/releases/」からterasoluna-server4jweb-doc_2.0.1.0.zipをダウンロードし、TERASOLUNA Server Framework for Java(Web版)チュートリアル.pdfがチュートリアルの資料となります。
ロールバックの確認
上記では、正常にトランザクションが完了した結果DBにデータが登録されたことを確認しました。今度は業務ロジックの途中でエラーが発生した場合に、それまでのSQL操作をロールバックされることを確認します。なお、トランザクション管理の設定については「手順【5】Spring FrameworkのBean定義ファイル(applicationContext.xml、commonContext.xml)の設定追加」を参照してください。
業務ロジッククラスを編集し、SQL操作を失敗させ、トランザクションをロールバックさせます。画面から入力されたIDのデータを登録する処理を2回書くことで、DBの一意性制約違反エラーを発生させます。
//略 public BLogicResult execute(ConcatInput input) { //業務処理(DB登録)の実行 AddUserDaoInput addUserDaoInput = new AddUserDaoInput(); addUserDaoInput.setAddUserId(input.getFirstTerm()); addUserDaoInput.setAddUserName(input.getSecondTerm()); //画面から入力されたIDのデータを登録 this.updateDAO.execute("addUser", addUserDaoInput); //再度同じデータを登録 this.updateDAO.execute("addUser", addUserDaoInput); //以下省略
Webブラウザ(Internet Explorer)に「http://localhost:8080/terasoluna-sample/inputSCR.do」を入力してください。表示されるフォームに「002」「terasoluna」と入力し、下記の画面が出力されれば成功です。
Tomcatのコンソールログを見ると、一意制約違反を示すログ(Unique constraint violation)が出力されていることが分かります。
[2008/12/04 16:34:43][DEBUG][UpdateDAOiBatisImpl] execute Start. [2008/12/04 16:34:43][DEBUG][UpdateDAOiBatisImpl] execute End. success count:1 [2008/12/04 16:34:43] [DEBUG][UpdateDAOiBatisImpl] execute Start. [2008/12/04 16:34:43][WARN][RequestProcessor] 処理できない例外がスローされました: class org.springframework.dao.DataIntegrityViolationException [2008/12/04 16:34:43][ERROR][RequestProcessorEx] sessionHash = 32A9396F15521CC50B3AAB414352FCE0F417AAFB [2008/12/04 16:34:43][ERROR][RequestProcessorEx] javax.servlet.ServletException: SqlMapClient operation; SQL []; --- The error occurred in sqlMap.xml. --- The error occurred while applying a parameter map. --- Check the addUser-InlineParameterMap. --- Check the statement (update failed). --- Cause: java.sql.SQLException: Unique constraint violation: SYS_IDX_48 in statement [ INSERT INTO user_list ( id ,name ) VALUES ( ? ,? ) ]; nested exception is com.ibatis.common.jdbc.exception.NestedSQLException: --- The error occurred in sqlMap.xml. …【以下略】…
HSQL Database Managerで確認すると、図7の状態のままであることが確認できます。2回目に発行されたSQLにて一意制約違反のエラーが発生し、トランザクションがロールバックされたため、画面から入力されたID「002」のデータが登録されませんでした。
フレームワークに“お任せ”しちゃおう!
今回は、サンプルWebアプリケーションの作成を通して、TERASOLUNAフレームワークを使ったDBアクセスについて学びました。
TERASOLUNAフレームワークのDAOを利用した業務ロジックの実装、SQL設定ファイルへのSQLの記述について紹介しました。TERASOLUNAフレームワークが提供するupdateDAOとqueryDAOを利用することで、コネクションを意識しないDBアクセスが可能になります。また、SQLを業務ロジックとは別のSQL設定ファイルに記述することで、メンテナンス性が向上します。
また、SpringのAOPを利用したトランザクション管理について紹介しました。トランザクションの設定を業務ロジックごとには記述せず、SpringのBean定義ファイル(applicationContext.xml、commonContext.xml)に記述を集約します。今回は、業務ロジックを1つのみ作成しましたが、業務ロジックの数が増えた場合に集約の効果が高まります。
次回は、長年のシステム開発のフィードバックを受けて開発された、TERASOLUNAの便利な拡張機能について説明します。
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