メールってどうやって受信してるの?〜これで入門書が読める!超初心者のためのインターネットの仕組み〜:インターネットのモヤモヤを解消する(12)(1/2 ページ)
メールの送信のことにかなり詳しくなった芽衣子さん。今日はメール受信について学びます。POP3とIMAP4との違いは?
今回学ぶこと
あっという間に夏が過ぎたと思ったら、すぐに連休がやって来たりして、合間の本業も忙しくなってきているのでなかなか引き継ぎの機会がありません。芽衣子さんも秋の新商品リリースに合わせて大忙しですが、仕事のちょっとしたすき間を監視していたかのように、食欲の秋に大忙しのあの男がやって来ます。正男さんです。
メールの送信と受信は別の仕組みが使われている
正男 「さて、先月は芽衣子さんもいろいろやられたと思いますのでメールの送信のことにはかなり詳しくなったと思いますが、今日はメール受信の話をしたいと思います」
芽衣子 「任しといて。たくさんメールを出したからWebより詳しくなった気がするわ」
正男 「やはり実践すると覚えも違いますね」
芽衣子 「インターネットで身を隠すのも大変だということも分かったしね……」
芽衣子さんはIPアドレスのことについても詳しくなったようです。
正男 「以前お話ししたと思いますが(参照記事:第9回 メールってどうやって読み書きできるの?)、メールの送信にはSMTPを使いますが、メールの受信には違う仕組みが使われているという話をしたの覚えてますか?」
芽衣子 「そんな昔のこと覚えてるわけないじゃない」
正男 「……まあ、そうですよね」
一度言われたから覚えているような優秀な人は、そんなにいるものではありません。
正男 「では、あらためて、メールの受信ですが、芽衣子さんはメールの受信に何を使ってますか?」
芽衣子 「これよ、Macに付いてるヤツよ」
正男 「そのメールソフトですが、送信と受信できますよね」
芽衣子 「当たり前じゃない。私が詳しくないと思ってバカにしてんの?」
芽衣子さんもそれくらいは分かります。
正男 「以前にメール送信にはSMTPという仕組みを使うってお話はしましたよね」
芽衣子 「25って番号よ。覚えたわ」
正男 「これは送信しかできないんですよ」
そうです。たくさんメールを送ったけど、返事は受け取っていません。
芽衣子 「確かに送信しかしてないわね。受信のやり方は聞いてないわ」
正男 「受信には別の番号を使う別の仕組みが使われているというわけです。じゃーん」
芽衣子 「……そんなに大げさにいわれても。そういえばそんなことをいってたような記憶がちょっと残ってるわ」
POP3とIMAP4
正男 「受信なのですが、実は2種類のやり方があります。POP3とIMAP4です」
芽衣子 「?? どうして? 1つでいいんじゃない?」
正男 「OSだってMacやWindowsやLinuxがあって1つじゃないように、それぞれにいいところがあるんですよ」
芽衣子 「そういわれると、2つあってもいい気がしてきたわ。メールの送信にちょっと詳しくなったところだし、受信にも詳しくなってあげる」
メール送信の手順を覚えたからか、いつになく芽衣子さんは上から目線です。
POP3とIMAP4の違いって?
正男 「まず、POP3とIMAP4の違いを説明したいと思いますが、大きくPOP3はメールをローカル、IMAP4ではリモートで管理するという違いがあります」
芽衣子 「ローカル? リモート?」
成沢 「手元のメーラーで管理するか、サーバに置いて管理するかってことだな」
芽衣子 「全然意味分かんないんだけど?」
正男さん
芽衣子さんの小狡さに少しずつ気付いてきたのでその先を読んで仕掛けをしてみました。案の定引っかかってくれて先生はうれしいです。
芽衣子さん
ショルダーハッキングの技術を駆使してメールを覗き見してみたわけですが、案の定読まれていました。人生思い通りにはいかないものです。
成沢さん
昔IMAP4のサーバをテスト運用したときには、ディスクの値段が高すぎてあきらめざるを得なかったのですが、それに比べると最近は安くなったのでIMAP4を運用してもいいのかなあとか、ひそかに思っています。
成沢さんがフォローしますが、いきなり芽衣子さんには理解不能です。
しょうがないので正男さんは図を書いて説明します。
正男 「POP3では、芽衣子さんのメーラーがメールを自分の手元に取ってきて、取ってきたメールサーバのメールを消すことになります」
成沢 「読んだメールは自分のパソコンに置かれるってことだな」
芽衣子 「メールがどこにあるかなんか考えたことないけど、パソコンを変えるとメールは消えてしまってた気がするわ」
芽衣子さんはPOP3ばかり使っているようです。
正男 「わが社でも基本的にPOP3を使ってもらってますからね。受信したメールは自己責任でよろしくお願いします」
芽衣子 「はーい。で、もう一つの方はどうなのよ」
正男 「もう一つのIMAP4ですが、受信したメールをメールサーバに置きっ放しにして、直接このサーバに置かれたメールを操作することができる仕組みです」
成沢 「IMAP4だと、1回見たメールを別の場所からもう一回見られるんだな」
正男 「しかもサーバに置いてあるメールを直接フォルダ分けしたり検索したりすることもできます」
芽衣子 「その、IMAP4ってのを使ったらいったん見たメールをほかの場所で見直すことができるわけね」
正男 「会社で見てるメールを携帯や家でもまったく同じように見て操作することができるというわけです」
成沢 「家でも仕事できるってわけだな」
芽衣子 「……それはちょっとイヤね」
プライベートと仕事は切り離したい芽衣子さんです。
芽衣子 「でも、IMAPって使ったことないけど、なんかいいことばかりに思えるんだけど」
正男 「その分サーバのディスク容量を食ったり、サーバの負荷が掛かったりするから、管理している方としては手間が掛かるんですよ」
成沢 「ユーザーのミスでサーバのメールが消えて、復活できないからってこっちのせいにされちゃたまったもんじゃないからな。お前らで管理しろよってな」
なんでも管理者のせいにされるので、成沢さんも不満がたまっているようです。
芽衣子「サーバにメール置きっ放しだから消えないんじゃないの?」
成沢 「さすがに要らないメールとかSPAMとかは消したいだろ?」
芽衣子 「ああ、そういうこと」
成沢 「間違って消したメールのことなんか知るかよ」
昔のイヤな経験を思い出したのか、成沢さんは不機嫌になってしまいます。
正男 「ちなみに以前お話しした気もしますがPOP3は110、IMAP4は143番ポートをそれぞれ使うことになっています」
芽衣子 「25にはちっとも関係ないのね」
正男 「まあ、そうなっちゃいますね……」
芽衣子 「あとさっきから気になってたんだけど、3とか4って何?」
成沢 「あ、それはバージョンだ。気にするな」
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