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無停止環境を実現するVMware FTとはVMware vSphere 4徹底解剖(5)(2/6 ページ)

主要サーバ仮想化ソフトウェアであるVMware Infrastructure 3の後継バージョン、「VMware vSphere 4」が登場した。「クラウドOS」をうたい、基本機能を大幅に強化するとともに、重要な機能追加を行った。本連載では、このvSphere 4の主要機能を解剖する

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2.物理ホストはVMware FTの互換性認証を取得している機種であること

 VMware FTが正しく動作するかどうかを確認するための認証試験というものが準備されている。VMware FTに関するサポートサービスを受けるためには、利用しているサーバの機種がVMware FTの認証を取得済みであることが条件となる。VMwareコンパチビリティガイド(http://www.vmware.com/go/hcl)より確認することができる。

図2 コンパチビリティガイドでは、機種ごとにVMware FTの認証取得状況を確認できる
図2 コンパチビリティガイドでは、機種ごとにVMware FTの認証取得状況を確認できる

 図2は、ある機種をVMwareコンパチビリティガイドで詳細表示させた際の出力例である。この例のように、利用しているBIOSのバージョンによってVMware FTの認証取得状況が異なる機種もあるため、注意が必要である。

 なお、VMwareコンパチビリティガイドでは、VMware FTの認証取得機種のみを絞り込み検索するための検索メニューも用意されている。

図3 コンパチビリティガイドで、VMware FTの認証取得済み機種を絞り込み検索することもできる
図3 コンパチビリティガイドで、VMware FTの認証取得済み機種を絞り込み検索することもできる

3.VMware ESXはESX 4.0もしくはESXi 4.0以降であり、Advancedエディション、Enterpriseエディション、Enterprise Plusエディションのいずれかであること。各ESX/ESXiのバージョン、パッチレベルが同一であること

 VMware FTはvSphere 4の新機能であるため、当然のことながらESX/ESXi 4.0以降を利用していることが必須となる。また本機能が利用可能なのはAdvancedエディション、Enterpriseエディション、Enterprise Plusエディションであるため、各ESXホストは適合するライセンスを保有している必要がある。

 また、FT化された仮想マシンのプライマリ仮想マシン、セカンダリ仮想マシンは、同一バージョン、同一パッチレベルのESXホスト上で動作する。このため、VMware FTの利用を想定するESXホスト群のパッチレベルを統一しておく必要がある。

4.各ESXはvCenter Server 4.0以降にて管理されていること。また、vCenter Serverはホスト証明書のチェック機能が有効化されていること

 VMware FTの利用にはvCenter Serverの利用が必須である。また、vCenter Serverの設定にて、管理するESXホストのSSL証明書をチェックする機能を有効化しておく必要がある。

図4 vCenter ServerはESXのSSL証明書をチェックする動作モードにしておく必要がある
図4 vCenter ServerはESXのSSL証明書をチェックする動作モードにしておく必要がある

5.VMware HAが有効化されていること。またVMware HAクラスタ内にCPUカテゴリが同一の物理マシンが2台以上存在していること

 VMware FTを利用するには、事前にVMware HAが構成済みであることが必須条件となっている。このためvCenter Server配下にクラスタを作成し、VMware HAの構成をあらかじめ完了しておく必要がある。

 CPUカテゴリとは、(1)で紹介しているCPUカテゴリのことである。VMware FTは同一カテゴリのCPUを搭載するホスト間でのみ実行することができる。こちらも最新情報は http://kb.vmware.com/kb/1008027 より確認していただきたい。

6.各ESX/ESXiにはVMotionインターフェイス、FT Loggingインターフェイスが構成されていること

 VMware FTでは、バックエンドで一部VMotionテクノロジーも活用しているため、各ESX/ESXiはVMotionが利用可能となるよう構成されている必要がある。VMotionトラフィック用にVMkernelインターフェイスを構成し、1Gbps以上の速度の物理NICにこれを割り当てる。

 また、VMotionインターフェイスとは別に、FT Loggingインターフェイスと呼ばれるVMkernelインターフェイスも構成しておく必要がある。FT LoggingインターフェイスはRecord/Replayログ(後述)と呼ばれるデータの転送に利用される。こちらも1Gbps以上の速度の物理NICを割り当てる。

図5 FT Logging用のインターフェイスを別途作成する
図5 FT Logging用のインターフェイスを別途作成する

 VMotionインターフェイス、FT LoggingインターフェイスはともにVMkernelインターフェイスである。それぞれについて個別にIPアドレスを割り当て、ESX同士の通信が可能な状態に物理ネットワーク、仮想ネットワークを構成しておく。

 VMotionインターフェイス、FT LoggingインターフェイスはNIC Teaming機能で冗長化しておくことが望ましいが、それぞれを別々に冗長化すると合計4ポートの物理NICを使用してしまう。サーバの機種によってはNICの物理ポート数に制約があるため、より少ないポート数で構成しなければならない場合もあるだろう。そのような場合は、単一仮想スイッチにVMotionインターフェイスとFT Loggingインターフェイスを構成し、2個の物理NICを接続して冗長化することもできる。それぞれに対して優先的に利用する物理アダプタ、スタンバイ用として利用する物理アダプタを明示的に設定しておき、通常は別々の物理ポートが利用されるよう構成しておく。

図6 VMotionインターフェイスとFT Loggingインターフェイスを、合計2個の物理ポートで冗長化構成する例
図6 VMotionインターフェイスとFT Loggingインターフェイスを、合計2個の物理ポートで冗長化構成する例

 なお、VMotionならびにFT Loggingインターフェイスで利用する物理NICを、ほかの用途(サービスコンソールや仮想マシンのネットワーク)で併用する構成はサポートされない。従って、最低でもESXホストは物理ネットワークポートを3ポート以上保有していて、そのうちの2ポートは1Gbps以上の速度のものである必要がある。

7.各ESX/ESXiは共通のデータストア、ネットワークにアクセス可能であること

 VMware FTの利用には共有ストレージ装置が必須である。共有ストレージ装置との接続方式として、ファイバチャネル、iSCSI、NFSがサポートされている。FT化する仮想マシンは共有ディスク上に配置されていて、各ESX/ESXiからアクセス可能な状態になっている必要がある。

 仮想マシンのネットワークに関しても、各ESX/ESXi上で共通の構成がされている必要がある。仮想スイッチは、従来型仮想スイッチ、分散仮想スイッチどちらでも構わないが、共通の物理ネットワークに到達可能で、同一のネットワークラベル名にて構成されている必要がある。

 これはVMotion利用時の要件と同じ考え方であるため、VMotionの構成経験がある方にとっては理解しやすい内容だろう。

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