いまさら聞けない「Webサービス」の常識:企業システムの常識をJBossで身につける(6)(4/4 ページ)
企業向けアプリケーションのさまざまな“常識”をJavaのオープンソース・フレームワーク群である「JBoss」から学んでいきましょう。企業システムを構築するうえでの基礎となる知識をリファレンス感覚で説明していきます。初心者から中堅、ベテランまで大歓迎!
どのようなメッセージがやりとりされているかもEclipseなら分かる
Eclipseには、Webサービスの動作を確認するための[Webサービス・エクスプローラー]というものがありますので、こちらを使ってメッセージを確認できます。
[Java EE]パースペクティブの画面右上にある、図13の赤枠で囲まれたアイコンをクリックすると、[Web サービス・エクスプローラー]が開きます。初期表示では、UDDIページが表示されています。
[Web サービス・エクスプローラー]の画面右上の以下のアイコンをクリックして、WSDLページを開きます。[WSDLメイン]をクリックし、右ペインの[WSDL URL]に、以下を入力し[OK]ボタンをクリックしてください。
右ペインに操作(メソッド)が表示されるので、該当の操作をクリックしてください。ここでは、「add」をクリックしました。
引数を入力する画面が表示されるので入力し、[Go]をクリックしてください。ここでは、引数「a」に123000、引数「b」に456を入力しました。
右ペイン下段にWebサービスで処理が実行され結果が表示されます。ここで、右上の[ソース]をクリックしてください。
Webサービス利用者の要求SOAPメッセージ([SOAP 要求エンベロープ])とWebサービスの応答SOAPメッセージ([SOAP 応答エンベロープ])が表示され、内容が確認できます。
SOAPメッセージの中身を確認
以下が、Webサービス利用者がWebサービスに対して送信したSOAPメッセージです。メソッドの引数が設定されているのが分かると思います。
<soapenv:Envelope xmlns:soapenv="http://schemas.xmlsoap.org/soap/envelope/" xmlns:q0="http://test.service.web" xmlns:xsd="http://www.w3.org/2001/XMLSchema" xmlns:xsi="http://www.w3.org/2001/XMLSchema-instance"> <soapenv:Body> <q0:add> <q0:a>123000</q0:a> <q0:b>456</q0:b> </q0:add> </soapenv:Body> </soapenv:Envelope>
次に、以下がWebサービスからWebサービス利用者に返されるSOAPメッセージです。メソッドの実行結果が設定されていることが分かると思います。
<soapenv:Envelope xmlns:soapenv="http://schemas.xmlsoap.org/soap/envelope/" xmlns:xsd="http://www.w3.org/2001/XMLSchema" xmlns:xsi="http://www.w3.org/2001/XMLSchema-instance"> <soapenv:Body> <addResponse xmlns="http://test.service.web"> <addReturn>123456</addReturn> </addResponse> </soapenv:Body> </soapenv:Envelope>
以上が、Webサービスの利用者とWebサービス提供者の間でやりとりされたメッセージの内容です。Webサービス利用者の要求SOAPメッセージには引数で与えた値、Webサービスの応答SOAPメッセージには実行結果が記述されているのが確認できます。
次回は、クラウドで注目の「分散コンピューティング」
今回は、Webサービスについて説明しましたが、いかがでしたでしょうか。今後、読者の皆さんがWebサービスの構築に携わることになったら、ここでの知識を少しでも生かしていただければと思います。
次回は、昨今注目されているクラウドコンピューティングにも関係する「分散コンピューティングの常識」について解説し、分散コンピューティングに関するJavaやJBossの実装に焦点を当てたいと思います。
筆者紹介
株式会社ビーブレイクシステムズ技術担当取締役。
上川 伸彦(かみかわ のぶひこ)
RDB製品の開発、各種業界団体におけるXML/EDI標準の策定やSOA基盤の設計などに従事。最近は、ITコンサル業よりも、業務システムの構築に携わることが多く、お客さまからの無理難題と向き合う日々を送っている。
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