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JasperReportsとiReportで帳票の常識を理解しよう業務アプリの常識をJavaオープンソースで身につける(2)(1/4 ページ)

Java言語を使って構築されることが多い、オープンソースの業務用ソフトウェア/アプリケーションを紹介しながら、企業で行われる業務処理の常識を身に付けていく連載

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 本稿では、「帳票」の常識を説明し、Javaで書かれたオープンソースの帳票作成ソフト、JasperReportsとiReportの使い方を紹介します。ソフトウェアを実際に使うことで、帳票というものを体感して身に付けることを目指しています。

日本人なら知っておきたい「帳票」の常識

 帳票とは、以下の記事にもあるとおり、基は会計情報を記録するための紙を意味する用語だったようです。

 しかしながら、コンピュータで出力する「帳票」は会計に限定したものではなく、発注書や納品書、請求書、そのほかさまざまな報告書、申請書などをすべて「帳票」と表現しています。

 業務アプリケーションでは、帳票の出力はほぼ必須といっていいほどになってきます。そのため、多くの会社が帳票生成のライブラリなどを販売しています。

 商用の帳票生成ツールで、有名なソフトウェアとしては、Visual Studio 2008 Professional以上に付属していた、Crystal Reportsがあります。また、日本の市場ではウイングアーク テクノロジーズが帳票ツールベンダとして有名です。ほかにもJavaでの帳票ソフトウェアとしては、グレープシティのElixir Reportがあります。富士通のInterstageも市場シェアが高いようです(参考2008年記事:中堅・中小企業の帳票アプリシェアはCrystal Reportsがトップ ノークリサーチ調査)。

コラム 「帳票ソフトはBIやERPなどほかの業務アプリと連携して使う」

業務アプリで蓄積したデータを“帳票”として出力する場合、発注書や納品書、請求書などの形式が決まった帳票だけでなく、業績のレポートなど、形式が決まっていない帳票を出力したいというニーズが出てきます。

例えば、製品ごとの月間の売上高、各営業担当者の成績、製品ごとの原価率などのレポートです。このような分析を専用のシステムを構築して行うことをBI(Business Intelligence)といいます。帳票関連のソフトウェアを提供しているベンダは、BIソリューションも提供していることが多いようです。

今回紹介するJasperReportsを作っているJasperSoftも、BIの機能を持ったソフトウェアを提供しています。ただし、すべての機能を使うには有料版を購入しなければならないコマーシャルオープンソースの形になっています。ほかのオープンソースのBIとしては、PentahoやEclipse BIRTなどがあります。Eclipse BIRTはレポート(帳票)作成・出力機能も備えています。

また、帳票ソフトはBIに限らず、ERPなどの業務アプリと連携して使わることも多いです。例えば、オープンソースでも、連載第1回で紹介した「Adempiere」とJasper Reportsを組み合わせることで、ERP+帳票という業務で使えるシステムにできます。Adempiereでは、「SourceForge.net Repository - [adempiere] Contents of /tags/adempiere360lts/JasperReports/src/org/compiere/report/ReportStarter.java」の554行目や597行目で帳票の生成や出力を行っています。


帳票生成ライブラリJasperReportsとデザイナiReport

 Javaで書かれたオープンソースの帳票生成のソフトウェアとして代表的なものとして「JasperReports」というライブラリがあります。アプリケーションに組み込んでPDF形式やXLS形式などで帳票を出力できます。

 JasperReportsは、非常に高機能で、オープンソースの帳票作成ツールの中では、すでに一般的なソフトになっていると思います。バージョンアップも頻繁に行われていて、機能や使いやすさが着実に向上しています。細かい部分では商用のツールに及ばないかもしれませんが、基本的な機能については十分な性能を持っています。実際に業務アプリで使われていることも多数あるようです。

 JasperReportsでは、帳票の画面構成(レイアウト)などが記述された、拡張子が「*.jrxml」のXMLファイルを読み込んで、帳票を出力します(*.jrxmlをコンパイルしたものが「*.jasper」という拡張子のファイルで、*.jasperを読み込むこともできます)。

 帳票のレイアウト設計には、オープンソースの「iReport」というデザインツールを使います。jrxmlファイルは、iReportのグラフィカルな画面上で、帳票のデザイン・作成と修正ができます。

iReportのインストール

 ここからは「iReport」のインストールや設定、「JasperReports」を使った帳票の作成などについて説明します。

 まずは、iReportのインストールと設定について説明します。iReportのダウンロードは、「Browse iReport-Designer for JasperReports Files on SourceForge.net」から行えます。2010年11月30日現在の最新バージョンは、3.7.6です。

iReport-3.7.6のダウンロード画面

 Windows版は、インストーラ形式になったバージョンがあるので、簡単にインストールできます。インストールが完了したら、[スタート]メニュー→[すべてのプログラム]→[Jaspersoft]→[iReport-3.7.6]→[iReport-3.7.6]からiReportを起動してください。

 インストーラ形式でないファイルでも、解凍したファイルの「iReport-3.7.6\bin」にある実行ファイル(ireport.exe)を実行すると、iReportが起動します。

iReportを起動したところ

 次に、帳票の設計と出力の説明をします。次ページでは、まずiReportの使い方について説明します。

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