ティントリは、やはり「仮想化専用」ストレージだった:3Uサイズ1台で1000の仮想デスクトップを稼働
ストレージ製品「VMstore」を展開しているティントリジャパンは2月6日、2013年の事業戦略を説明した。管理自動化を実現した「仮想化専用」ストレージの認知度向上を図るとともに、顧客に対するサポートを充実させていくという。
ティントリジャパンは2月6日、2013年の事業戦略を説明した。説明会後の取材で、ティントリのストレージ製品である「VMstore」の技術的なポイントを、より明確に理解できたので、まずこれをお伝えしたい。
ティントリは、VMstoreを「仮想化専用」ストレージだと形容してきた。より正確に表現すれば、これはVMware専用ストレージだ(もっともティントリは、ほかのハイパーバイザにも将来対応するとしている)。それは、具体的には次のような理由による。
VMstoreは、ストレージアクセスプロトコルとしてはNFSのみに対応した、NAS製品の一種だ。記憶媒体としては、SDDとSATAドライブを固定構成で搭載する。ドライブ用のスロットは最初から全部埋まっているので、後でドライブを追加することはできない。だが、例えば仮想デスクトップなら、1台で約1000デスクトップをまかなえるという。1台に収容しきれない場合の拡張は、単純にVMstoreを複数並べることで行う(複数台のVMstoreをあたかも1台のように構成することはできない)。また、VMstoreは、1台当たり1ボリュームの構成で使う。複数のLUN/ボリュームを作成することはない。
3Uのストレージ1台で1000の仮想デスクトップを動かせるという。SSDの活用で、パフォーマンス確保のために多数のハードディスクドライブを並べる必要がなくなるため、こうした省スペース化も実現できるとする
こうした、記憶媒体は固定構成、データ領域は1つという「決め打ち」方式は、ストレージレベルでの事前設計・構成作業がほとんど不要になるというメリットがある。iSCSIストレージのEqualLogicに似た発想だといえる。
ストレージとしての設定や運用をシンプルにしながら、その上で動く仮想マシン/仮想ディスク単位でのパフォーマンス管理をほとんど自動的にできるというのがティントリの最大の特徴だ。
この1つのボリューム上に、異なるI/O特性を持つ各種の仮想サーバ/仮想デスクトップを同居させられる。そのうえで、各仮想マシン/仮想ディスクの特性に合わせて、QoSを自動的に設定し、パフォーマンスを最適化できるという。通常、パフォーマンス制御のために行われるのは、複数のLUNを設定して、それぞれに適切なRAIDレベルを設定し、各仮想マシンの要求するサービスレベルに応じてこれらのLUNに割り振ることだ。しかし、VMstoreでは、各仮想マシン/仮想ディスクのI/O特性をモニターし、VMstoreのコントローラのCPU,メモリ、キュー割り当てなどを自動的に調整することで、「レスポンスは何秒以内」というサービスレベル設定を維持するという。LUNやRAIDグループ、ボリュームレベルでの設定は不要だ。
VMstoreでは、このように個々の仮想マシン/仮想ディスクに対してパフォーマンス管理を行う。言い換えれば仮想マシン/仮想ディスクでないとパフォーマンス管理ができない。だから「仮想化専用」なのだという。
ティントリジャパンの首藤憲治氏は、こうした管理自動化の仕組みがあるため、ティントリには他社に見られるプロフェッショナルサービスがないし、必要がないと話している。
プロフェッショナルサービスは必要なくとも、日本市場ではアフターセールスのサポートが決め手となる。これが2012年6月の日本法人設立の理由だったと、ティントリジャパン 職務執行者社長の河野通明氏は改めて説明した。
ティントリジャパンは、日本法人設立以前からティントリを国内展開しているノックスに加え、丸紅情報システムズを付加価値リセラーとしている。また、サポート面ではユニアデックスと東芝ITサービスがパートナーとなった。2013年は、パートナーを選択的に拡大するとともに、知名度の向上を図っていきたいという。
ティントリジャパンは同時に、VMstore間での遠隔複製(リモートレプリケーション)機能の追加を発表した。これにより、遠隔複製を仮想マシン単位で、ハードウェアアシストによって高速に実行できるようになった。従来型のストレージではボリューム単位での複製であるのに比べ、災害対策(DR)における柔軟性を高めることができると、同社では話している。
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