R2の活用はフラッシュメモリとご一緒に:憧れのフラッシュストレージをWindows Serverで実現
利用エリアが広がる分散ストレージ。アプライアンス製品が多数登場しているこの分野に、実はWindows Server 2012 R2がしっかり使える。IBMが注目するR2の新機能は、ファイルと記憶域サービスだ。
Windows Server 2012 R2の一番の使い道は「ストレージ」だ!
ここ数年“ビッグデータ”が注目を集め、企業内に急増する“大量データをもっとビジネスに役立てたい”や“分析してマーケティングや製品開発に生かしたい”といったニーズは年々高まっている。一方で、大量のデータを高速に処理するためには、専用ストレージアプライアンスやDWH、高速DBなどが必要なため、“ハイエンド/先端分野向けの高根の花”とも言える状況だった。
しかし、昨今ではHadoopを代表としたソフトウェアによる分散分析処理技術や、サーバ・ストレージ機能の向上によって、従来高価だった分散ストレージアプライアンスは、安価なIAサーバで構成できるようになってきている。使用用途も、クラウド基盤で使われるオブジェクトストレージから、スケーラブルNASまで幅広い活用方法が登場してきており、大量のデータを高速に処理する「分散ストレージシステム」への期待は中堅中小企業にまで広がっている。
こういった分散ストレージ活用の広がりを加速させているのが、10月に新たに登場した「Windows Server 2012 R2」の新機能だ。Windows Server 2012 R2では、ファイルと記憶域サービスの新機能として、「記憶域プールでのSSD階層化・キャッシュのサポート」や「スケールアウトファイルサーバ(SOFS)の動的負荷分散」「SMB 3.0のパフォーマンスアップ」などを追加している。
例えばSOFS機能によって、多くのファイルサーバを論理的に統合し、1台の高性能/高信頼性のファイルサーバとしての運用が可能となる。
また、Windows Server 2012 R2では記憶域プールでのSSDとHDDによる階層化、およびキャッシュのサポートが追加された。これにより、SSDとHDD間における自動ティアリングや、キャッシュ領域としてのSSD活用が可能となった。これは従来、専用のハイエンドストレージでしか実現できなかった機能だ。いまや、SSDにもさまざまな選択肢があるので、豊富な製品群から顧客に必要な性能を選んで提供できるのは、性能面だけでなくコスト面でも大きなメリットと言える。
また、Windows Server 2012 R2では、「SMB 3.0のパフォーマンス向上」という機能改善も行われている。これらの機能がWindows Server 2012 R2に搭載されたことで、まさに「分散ストレージシステムやフラッシュメモリを、Windows環境でも実現できる時代」が到来したのだ。
フラッシュメモリとWindows Server 2012 R2の「おいしい関係」
こういったWindows Serverの機能拡張によって実現した「高性能、高信頼性のIAサーバの上で、Windows Server 2012 R2による分散ストレージシステムを稼働させる時代の到来」にいち早く対応したのが、日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、IBM)だ。
同社ではこのようなユーザーニーズに応えるべく、Windows Server 2012 R2の新機能と高速なフラッシュメモリの特性を組み合わせたネットワークストレージシステムを実現するIAサーバ「IBM System x NAS Flash構成」を提供開始する。標準的なミッドレンジラック型サーバ「System x3650 M4」をはじめ、大容量ストレージを搭載可能なラック型「System x3650 M4 HD」などラック型、タワー型の3ラインナップを年内に順次展開予定だ。
日本アイ・ビー・エム株式会社 システム製品事業 システムx事業部 ビジネス開発 システム&テクノロジー・エバンジェリスト 早川哲郎氏は、「Windows Server 2012 R2の新機能は、ストレージの常識を覆しかねないものだ。従来専用機で担っていた機能をOS側で吸収したことでハードルが大きく下がり、多くの中堅・中小企業でも活用が可能になった。当社では、このメリットをより多くのお客さまへ提供するべく、『Windows Server 2012 R2をNASとして活用すること』をファーストステップと考えている」と同社の戦略を説明する。
「IBM System x NAS Flash構成」では、安価なIAサーバに高速なSSDを組み合わせることによって、高速なファイルサーバやiSCSIストレージとしても活用できる。また、1台のサーバにつき10テラバイトから40テラバイトものストレージが搭載可能なので、こういった大容量ストレージをすぐに活用できるのは大きなアドバンテージだ。
IBMではさらに、SQL Serverの高速化にもフラッシュメモリを活用。「SQL Server 2012 高速データベース折紙付構成(SQL Server SSD Appliance)」に採用している。SQL Server SSD Applianceでは、I/O能力を引き上げるために、HDDではなくフラッシュメモリを搭載した。また、「読み取り中心」や「用途を問わない高速DBサーバ」など、使用目的に応じてさまざまなフラッシュメモリを用意している。
「部門毎にファイルサーバがあるため、社内に数十台〜数百台のファイルサーバが存在し、統合できていない企業は多い。IBM System x NAS Flash構成では、Windows Server 2012 R2とフラッシュストレージを組み合わせることで、性能が良いファイルサーバを実現した。安価で高速なファイルサーバの登場で多くの企業におけるファイルサーバ問題を解決できるだろう」(早川氏)
いますぐ手に入る、高性能で安価なファイルサーバとして
IBMは、Windows Server 2012 R2を活用したソリューション提案や提供をすぐにでもできる状況だ。とかくファイルサーバは気が付くと数が増えてしまい、メンテナンスができないという場合が多い。統合するにしても、いままでと同じ性能が発揮できないと、エンドユーザーからの反発も大きくなるだろう。
その点、IBM System x NAS Flash構成のようにSSDを組み合わせた、高速かつ安価なファイルサーバは魅力だ。同社では、さらにクラウド連携も進めている。ファイルを常時IBMのクラウドに保管し、スナップショットをとって世代管理するようなバックアップを実現する「IBM SmarterCloud Virtualized Server Recovery」も提供しており、データの保護にも対応が可能だ。
「速い」を担保できるIBM System x NASとWindows Server 2012 R2ならば、レスポンスに注目する多くのユーザーにとって、検討に値するソリューションになるだろう。
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