グーグル、OpenSSLの新たなforkとして「BoringSSL」発表
グーグルがOpenSSLのforkを発表、独自の実装にOpenSSL側の変更をマージする体制を採る。OSSでの展開はしない方針だという。
米グーグルが、オープンソースのSSL/TLS実装「OpenSSL」から新プロジェクトの「BoringSSL」を派生させた。同社の研究者アダム・ラングリー氏が2014年6月20日、自身のブログ「ImperialViolet」で明らかにした。
ラングリー氏によると、グーグルでは「Heartbleed」と呼ばれる重大な脆弱性が発覚する以前からOpenSSLのコードを検証し、何年にもわたって多数のパッチを使用してきた。この中にはOpenSSLのメインレポジトリに採用されたものもある一方で、OpenSSLが保証するAPIやABIの安定性とかみ合わないものや、やや実験的過ぎるものも多かったという。
しかし、AndroidやChromeなどの製品でそうしたパッチのサブセットが必要になる中で、パッチの数は70を超え、複数のコードで横断的に管理する作業は手に負えなくなってきたという。
そこでモデルを切り替えて、OpenSSLの上に変更を積み重ねるのではなく、OpenSSLから変更を取り込む「BoringSSL」をスタートさせることにした。BoringSSLはまずChromiumで着手し、いずれAndroidやグーグル社内のプロジェクトにも採用したい意向だという。
BoringSSLのコードではAPIやABIの安定性は保証せず、OpenSSLの代替となるオープンソースプロジェクトを目指すつもりもないとラングリー氏は説明する。今後もOpenSSLの変更は取り入れ、バグを見つければ報告する方針。
OpenSSLの派生プロジェクトとしては、OpenBSD Foundationも4月に「LibreSSL」を発表しているが、BoringSSLではLibreSSLからの変更も取り入れやすくなるといい、LibreSSLがグーグルの変更を取り入れることも歓迎するとした。
OpenSSLなどのオープンソース技術を資金面で援助する「Core Infrastructure Initiative」や、OpenBSD Foundationへの資金提供は今後も続けると表明した。
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