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エンタープライズアジャイルが難しい理由と、実践の「現実解」もはやウォーターフォールだけでは通用しない

市場変化が速い現在、インフラを柔軟・迅速に整備できる仮想化・クラウドは企業にとって大きな武器となった。特にOpenStackのテクノロジはより効率的なシステム展開を狙う上で注目を集めている。だが、それだけでは十分とはいえない。アプリケーション開発にもアジリティを担保できなければ、インフラの俊敏性・柔軟性を収益に直結させることは難しい。「HP Helion」でOpenStackベースのインフラ整備を包括的に支援する日本HPは、ウォーターフォール開発中心の日本において、この課題にどう応えるのだろうか?

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エンタープライズアジャイルが必要な理由と、難しい理由

 昨今、企業へのクラウド導入が急速に進んでいる。適用範囲も、従来までの情報系システムから基幹系システムへと拡大しつつある他、プライベート/パブリックを含めたハイブリッドクラウド環境を構築することで、いかに効率的にビジネス競争力を高めていくかが喫緊の課題なっている。こうした中、企業のハイブリッドクラウド活用を支援するためのビジョンを明確に打ち出しているのが日本ヒューレット・パッカード(以下、日本HP)だ。同社は、2014年5月、クラウド製品・サービスの新たなポートフォリオとして「HP Helion」を発表した。

 これは既存のHPクラウド製品やサービス群、OpenStackテクノロジをベースとした製品や、企業導入・運用を支援するプロフェッショナルサービス/サポートサービスを、ニーズに応じて包括的に提供するというものだ。これにより、プライベートクラウドから、パブリック/プライベートのハイブリッドクラウドまで、要件に最適な環境を柔軟・迅速に構築。さらに、OpenStackベースのテクノロジを生かすことで、プライベートクラウドからパブリッククラウド、あるいはその逆など、クラウド間のアプリケーションのポータビリティや、ハイブリッド環境を透過的に一元管理できる仕組みを提供。これにより、ビジネスの状況に応じたインフラを柔軟・迅速に整備できる環境を整える。

 ただ、こうしたインフラが整っても、これをビジネスに生かす上では、その上で動かすアプリケーションの開発にもスピード・柔軟性が求められることは言うまでもない。事実、クラウド導入の加速に伴い、従来のウォーターフォール型から、システムオーナーと共に開発成果物を確認し合い、手戻りなくスピーディに開発・改善するアジャイル開発を取り入れる企業が増えつつある。

 というのも、市場環境変化が激しい現在、入念に設計してから時間をかけて開発するスタイルでは、もはや市場の動きに対応することは難しくなっている。競争優位性を獲得する上では、「HP Helion」が実現するオープンかつ柔軟なクラウド環境を生かし切るとともに、こうした俊敏・柔軟なアジャイル開発を取り入れることも大きな鍵を握っているのだ。

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日本HP HPソフトウェア事業統括 プリセールス統括本部 ALMプリセールス部 藤井智弘氏

 しかし、日本HP HPソフトウェア事業統括 プリセールス統括本部 ALMプリセールス部の藤井智弘氏は、「日本におけるエンタープライズ環境でのアジャイル開発は、さまざまな課題を抱えているのが実状だ」と指摘する。

 「例えば企業のクラウド導入では、新たな環境に合わせてゼロから新規に開発するシステムはほとんどなく、既存システムをクラウドプラットフォームに移行するケースが大半を占める。この場合、全てをアジャイル型で開発するのは難しく、特に基幹業務システムのクラウド移行では、ウォーターフォール型との混在が不可欠になる」

 この背景には、「日本企業の場合、社内の開発チームと社外SIerとの間で開発プロセスが分断されているなど開発体制が複雑であり、意思決定も合議制で行われる傾向が強いため、アジャイル開発のスピードに組織が追い付かない」という問題もあるという。「さらに、開発プロジェクトがサイロ化している、プロジェクト単位で投資を行っている、同じ企業内でもプロジェクトごとにテストツールが異なっている、別のオープンソースの障害管理ツールを使っているなど、各プロジェクトを統合管理できないのも課題だ」。

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図1 エンタープライズアジャイルが難しい理由

 つまり、市場環境はアジャイル開発を求めており、企業側もそれを認識していながら、以上のような課題が立ちはだかり、なかなか実践できない状況にあるわけだ。

既存開発ツールから情報を収集。サイロ化したアジャイルプロジェクトを一元管理

 ではどうすればアジャイル開発を取り入れられるのだろうか? この問題に対し、藤井氏は、「エンタープライズアジャイルを行うための、基礎的な環境作りから取り組む必要がある」と指摘する。そのために日本HPが用意しているのが、エンタープライズアジャイルの実現を支援する複数の開発支援ツール群だ。

 その軸となるのが、SaaSベースのアジャイル管理ソリューションの新バージョン「HP Agile Manager 2.0」だ。同製品は、複数のアジャイルプロジェクトを編成、計画、実行するための統合管理ソリューション。オープンソースのツールも含め、すでに利用されている開発ツールや、構築されている各種のリポジトリに接続・連携することで、既存資産(ツール、データ、スキル)をそのまま活用しながら、サイロ化し、個別に投資されていた各開発プロジェクトを一元管理できる環境を整える。

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図2 HP Agile Manager 2.0が既存の各種ツールと連携して複数プロジェクトの一元管理を実現

 また、各ツールの管理情報を収集し、開発作業のトレーサビリティを担保するとともに、それを元にした各種レポーティングも提供。タブで管理情報の項目を切り替える、ドラッグ&ドロップで操作できるなど、扱いやすいUIを備えており、マネージャー層が複数のプロジェクトの状況を効率的に把握できる仕組みとしている。

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図3 HP Agile Manager 2.0のレポート画面

 また、HP Agile Manager 2.0で見逃せないのが、「Scaled Agile Framework(SAFe)」を正式にサポートした点だ。「Scaled Agile Framework(SAFe)」とは、海外で推進されている大規模アジャイル開発のフレームワークであり、企業に無理なくアジャイル開発を適用するための方法論を整理したもの。HP Agile Manager 2.0では、このScaled Agile Frameworkが提唱するタスク管理の考え方やメトリクスの取り方を、機能として採用。藤井氏は、「日本では、これからアジャイル開発に取り組む企業が多く、いきなりScaled Agile Frameworkによるポートフォリオ全体の管理を行うのは難しいが、将来的に本格的なエンタープライズアジャイルを実現する上では、このサポートが不可欠となる」と解説する。

時間・コスト・スケジュール面でのテスト制約を解消。アジャイルを支援

 さらに今回、アジャイル開発の統合管理を担うHP Agile Manager 2.0のリリースに合わせて、アジャイル開発とウォーターフォール開発を連携させるアプリケーションライフサイクル管理製品群もバージョンアップした。

 具体的には、機能テスト自動化ツール「HP Unified Functional Testing 12」、負荷テストツール「HP LoadRunner 12」、サービス仮想化ツール「HP Service Virtualization 3.6」、アプリケーションライフサイクルを統合的に管理する「HP Application Lifecycle Management 12」の4製品だ。それぞれエンタープライズアジャイルの実現をサポートする機能を強化している。

 機能テスト自動化ツールの「HP Unified Functional Testing 12」は、従来までのGUIのテストに加えて、APIのテストにも対応。これにより、同じワークフローの中で、GUIとAPIの機能テストを統合してプランニングすることが可能となった。GUIができる前にAPIのリグレッションテストが行えるため、テストの早い段階から高い品質を担保できるという。

 また、導入が進んでいるモバイルへのテストもサポートしている。モバイルテストツール「HP UFT Mobile」は、複数のプラットフォーム/デバイスが存在するため、膨大なテスト工数が求められるモバイルアプリケーションのテストに対応したツールだ。HP UFT Mobileは HP Unified Functional Testing 12と連携することでスクリプトの管理から実行、テストログ、不具合の収集をHP Unified Functional Testing 12のAPIテストやGUIテストと同様に管理することができる。つまり、1つのテストを複数のプラットフォームで設計、実行、スケジュールすることができるのだ。

 具体的には、HP UFT Mobileとモバイルデバイスの実機を同期させ、画面上で行ったマニュアル操作が、そのままSaaS上の実機に伝達され、アプリケーションの挙動を動画で記録。複数のテスト担当者間で共有することができる。これによりモバイルアプリケーションの品質をより早い段階から効率的に担保することを支援する仕組みだ。

 画面デザインが固定していない開発の初期段階であれば、自動化は難しいのが現実だが、そのようなマニュアルテストでは、「HP Sprinter 12」が利用できる。SaaS上の実機をそのまま利用して、マニュアルテストの結果記録作業を効率化できるのだ。

 日本国内でもユーザーが多く、認知度が非常に高い負荷テストツールの最新版「HP LoadRunner 12」では、新たにAWSのクラウド環境を利用した負荷テストを可能とした。従来までは、負荷テストを行うために何十台もの物理マシンを用意し、テスト環境を構築した上で、大量の同時アクセス負荷を掛ける必要があった。そのため、1回の負荷テストの準備に多大な工数とコスト、時間がかかってしまう問題があった。これに対して新バージョンでは、あらかじめエージェントを組み込んだ仮想マシンのイメージをAWSのクラウド環境に用意しており、画面上から起動するだけで、短時間で負荷テストを行うための環境が整う。これにより、負荷テストを頻繁に、繰り返し行うアジャイル開発にも効率的に対応可能とした。またトラブル対応でよく見られる、「短時間で大規模負荷テストをかけなければならない場合」にも、物理マシンでは実現不可能な短時間で対応できるようになった。

 一方、サービス仮想化ツール「HP Service Virtualization 3.6」は、仮想サービスによって、開発チームの依存関係をなくすことで、アプリケーションの開発とテストを迅速化する。通常、テスト環境を構築する際、並行開発やアプリケーションの依存関係の影響を受けて、「テストAが終わるまでテストBはできない」「連携先システムが完成していないため、結合テストに待ち時間が生じる」など、テストが制限されるケースがある。こうした課題を見据えて、HP Service Virtualization 3.6は、この連携先システムのサービスを仮想サービスで代替することで、外部の影響に左右されることなく、テストを実施可能とする。

 「つまり、HP Agile Manager 2.0で複数の開発プロジェクトを一元管理するとともに、HP LoadRunner 12、HP Unified Functional Testing 12、HP Service Virtualization 3.6でテストにまつわるさまざまな時間的・コスト的制約を解消する。これにより、確実に品質を担保しながらスケジュールを前倒しにする“Shift Left”を実現する仕組みだ」(藤井氏)

Jenkins、Subversion、他社ツール……既存資産をそのまま使いながら、エンタープライズアジャイル環境を整備

 ただ、多くの企業において、ウォーターフォール型とアジャイル型の併用が求められることは前述の通りだ。この課題に応えるのが、アプリケーションライフサイクル管理ツールの最新版「HP Application Lifecycle Management 12」と、HP Agile Manager 2.0の連携だ。

 「アジャイルを統合管理する『HP Agile Manager 2.0』と、『HP Application Lifecycle Management 12』を中心としたアプリケーションライフサイクル管理製品を連携して活用することで、アジャイル型とウォーターフォール型の混在環境において、統合的なプロジェクト管理を実現できる」と、藤井氏は力を込める。

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図4 アジャイルとウォーターフォールの混在環境を一元管理。クラウドインフラの俊敏性・柔軟性を生かし切る現実的なエンタープライズ開発環境を整える

 HP Application Lifecycle Management 12は、アプリケーション開発ライフサイクル全体の管理とレポートのための総合プラットフォームで、ビジネスプロセスからシステム要件、テスト結果、不具合、ソースコード、ビルド情報まで、開発にかかわる全情報を一元的に管理することができる。

 ポイントは、前述したHP Unified Functional Testing 12、HP LoadRunner 12、HP Service Virtualization 3.6という一連のテストツールだけでなく、他社製品や、ソースコード管理「Subversion」や「Git」、継続的インテグレーションツール「Jenkins」など、オープンソースソフトウェアとの連携も可能である点だ。これにより、現在までの投資やツール活用スキルを無駄にすることなく、既存資産を有効活用しながら、短期間・低コストでアプリケーションライフサイクル管理基盤を構築することが可能となるのである。

 「また、これからアジャイル開発に取り組む企業にとっては、テストを継続的に繰り返し行う環境を整備することができる。アジャイル型でも、ウォーターフォール型でも、最終的にサービスインした後は、品質の高さが問われることになる。そのためにも、まずは開発の早い段階から品質を担保できるテスト環境を確立し、品質管理を徹底することから始めることが肝要だ」(藤井氏)

 なお、日本HPでは、これらの開発支援ツールを単に販売するだけでなく、コンサルティングサービスや導入支援サービスも併せて提供し、エンタープライズアジャイルの実現をトータルに支援するという。

 藤井氏は、「エンタープライズアジャイルの実現を強力に支援するソリューションラインアップがそろった。これらを有効に役立てられるよう、社内にテスト専門のコンサルティングチームを設置しており、顧客企業のスキルレベルに応じて、テストの方法論など基礎知識からのサポートにも対応している。また、外部のコンサルティング企業とのパートナーシップも拡大しており、高度な案件については共同で顧客企業を支援する体制をとっている」(藤井氏)としている。

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図5 エンタープライズアジャイルを実現するソリューションを包括的に用意。HP Helionと組み合わせることで、企業の競争優位獲得を強力に後押しする《クリックで拡大》

 冒頭で述べたように、経営環境変化が激しい現在は、ウォーターフォール型開発だけで継続的にビジネスを発展させていくことは難しい。“エンタープライズアジャイル”をいかに取り入れていくか、実現していくかが、収益向上の鍵を握っているといっていもいいだろう。今、アジャイル開発に課題を抱えている企業、あるいはアジャイル開発に取り組もうとしている企業は、日本HPの開発支援ソリューションを検討してみてはいかがだろう。

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提供:日本ヒューレット・パッカード株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2014年8月13日

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