徹底比較! 運用監視を自動化するオープンソースソフトウェア10製品の特徴、メリット・デメリットをひとまとめ:特集:運用自動化ツールで実現する、クラウド時代の運用スタイル(2)(7/12 ページ)
運用自動化のポイントを深掘りする本特集。今回は「個々の作業項目の自動化」に焦点を当て、「Zabbix」「JobScheduler」「Sensu」など、運用・監視系の主要OSS、10種類の特徴、使い方などを徹底解説する。
Muninのプロフィール
MuninはMuninコミュニティが開発を行っているシステム監視ソフトウェアだ。リソース使用状況をモニタリングすることに特化した製品で、本来、システム監視ソフトウェアが持つべき障害や閾値検知機能は他製品に比べてあまり充実していない。
ライセンスはGPL v2となっており、全ての機能を無償で利用可能。2004年7月にVer1.0.0が公開され、2012年5月のVer2.0.0で懸案であったリソース使用量・性能の大幅改善が行われた。現在の最新版は2014年4月22日にリリースされたVer 2.0.21となっている。
特徴
MuninはPerlで開発されており、リソース使用状況を収集してグラフ化を行う「Master」と、各サーバーのリソース使用状況を収集しMasterに送信する「node」で構成されている。tarファイルをダウンロードしてビルド・インストールを行う場合はPerl (ver5.8)以上が必須だ。
MasterはFreeBSD/Linux/Solarisで動作させることができる。RHEL/Debian系LinuxではEPELのリポジトリを追加することで、yum/aptコマンドでのインストールも可能。
nodeは前述のFreeBSD/Linuxに加えて、AIX/HP-UX/Solaris/Mac OS X/Windowsも利用可能。nodeのインストールが行えない機材の監視はSNMPを利用して行う。Masterサーバーにnodeもインストールし、そこにSNMP プラグインをインストールすることとでMaster→ローカルnode→SNMP対応機器という少し複雑な構成になる。
サーバーリソースの監視は、nodeがサーバー内部のリソース分析を行うため、標準設定でも詳細な情報を取得できる。さらに、プレインストールされたプラグインを有効化することで、各種プロダクト、サービス単体での詳細な情報を取得することができる。
プラグインはカスタマイズ、自作も可能で、プラグインのカスタマイズ方法やプレインストールにないプロダクトのプラグインの作成方法がブログなどで多数公開されている。
MasterサーバーにRDBとしてMySQLを利用することで、収集したリソース使用状況のデータを保存することが可能となる。ただし、監視対象nodeが増えるとMasterサーバーの負荷が上がりやすく、あまり多くのnodeを持っている環境には不向きだと考えられる。
国内外での個人の利用者が多く、ブログなどでの情報は充実しているが、日本国内でのベンダーによる商用サポートは2014年9月現在、まだ行われていないようだ。
優位性と劣位性
優位性
- インストールが容易でかつ、設定も非常にシンプルで構築負荷が低い
- 基本的に監視に必要な設定は標準機能で充足しており、グラフ自体も見やすい
- プラグインが充実しており、OSS/商用RDBなどの監視も標準でインストールされている
- Shell/Perl/Pythonなどでプラグインの作成・カスタマイズが行える
- 利用者が比較的多く、ブログなどで入手できる情報も多い
- 監視対象サーバーにインストールすることで、スタンドアロンでの監視も行える
劣位性
- nodeが増えると負荷が急激に高まり、十分な監視が行えなくなる
- 設定を行うには、GUIが存在しないため、設定用のテキストファイルの編集が必要となる(設定ファイル自体はシンプルではある)
- 最終的には監視設定のためにインタプリター言語でのプログラミングが必要になる
利用シチュエーション
- テスト環境に導入して本番稼働前のリソース使用状況の調査・分析
- リソース使用状況の統計が必要なサーバーにのみインストールしての分析・調査
- 負荷テスト実施時の負荷状況の分析
システム監視ソフトウェアではなく、あくまでリソース使用状況をグラフィカルに監視するユーティリティ的な製品と考えられる。情報取得の細かい設定が行えるため、問題発生時の調査情報の取得にはかなり有効な製品といえる。
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