vCloud Air、気になるポイントをゲルシンガー氏と宮内氏に聞いた:SBテレコムはクラウドをvCloud Airに集約
ヴイエムウェアが11月5日に発表したvCloud Airにつき、気になるポイントを米ヴイエムウェアCEOのパット・ゲルシンガー氏とソフトバンク代表取締役副社長の宮内謙氏に聞いた。
ヴイエムウェアは2014年11月5日、クラウドサービス「VMware vCloud Air」の国内展開を発表した。発表内容については別記事でお伝えしたが、同日、米ヴイエムウェアCEOのパット・ゲルシンガー(Pat Gelsinger)氏とソフトバンク代表取締役副社長の宮内謙氏が、これに関して報道関係者の質問に答えた。筆者はVMware vSphereを採用したクラウドサービスを展開するパートナーとの関係、ソフトバンクグループはvCloud Airの日本展開への協力によってどのように自社のビジネスを伸ばそうとしているのか、vCloud Airは新しい、クラウドネイティブなアプリケーション構築ニーズに、どう対応していくのか、についてたずねた。
ソフトバンクグループはvCloud Airでどう儲けるつもりか
まず、ソフトバンクグループは、ソフトバンクテレコムがデータセンター施設の運営を行う。vCloud Airの国内運用のために設立された新会社を通じ、こうした役務の果実を得ることになる。また、ソフトバンクテレコムとソフトバンク コマース&サービスは、vCloud Airのサービスを再販することで利益を獲得する。では、そのほかにソフトバンクグループは、今回のvCloud Air関連の取り組みで、どのようなビジネスを伸ばそうとしているのか。
宮内氏は、vCloud Airをきっかけとして、ソフトバンクテレコムの統合VPNサービス「SmartVPN」を「一気に普及させたい」と答えた。「vCloud Airそのものでもいくぶんかは利益を得ることができるかもしれないが、それよりもネットワークを含めたトータルでのビジネスを大きくできる」(宮内氏)。
では、ソフトバンクテレコムによるvSphereベースの既存クラウドサービスはどうするのか。「僕は(vCloud Airに)集約したいと思っている」(宮内氏)。この発言について後で確認したところ、既存顧客へのサービスは継続していくが、新規顧客については、vCloud Airを使ってもらうことになるという。
パートナーに対する技術提供が重要な差別化要因
vCloud Airと他のvSphereベースのクラウドサービスパートナーとの関係について、ゲルシンガー氏は次のように答えた。
「既存の複数のクラウドサービスパートナープログラムは、vCloud Air Networkプログラムに吸収した。vCloud Airで提供する全ての機能は、パートナーが自社のサービスで使えるように提供していく。これは他のクラウドサービスとの大きな違いといえる。現在約4000のパートナーという層の厚さがあり、ヴイエムウェアの技術をこれらパートナーに継続的に提供していけるということは、Amazon Web Services(AWS)、グーグル、マイクロソフトに対する非常に大きな差別化になると考える」。
ゲルシンガー氏は連携の例として、すでに複数のパートナークラウドが、vCloud Airの災害復旧サービスの再販を始めている、また、あるパートナーが自社のクラウド上で提供している自社開発のアプリケーションを、vCloud Airや他のクラウドパートナーが再販することも期待できると話した。
また、「AT&Tは同社のVPN/MPLSサービスに対してプログラマティックにアクセスできる機能をvCloud Airに統合しており、同社はvCloud Air Network(パートナー)にもこの機能を提供している」(ゲルシンガー氏)という。
vCloud Airで最も使われているのはCloud Foundry
ゲルシンガー氏に、「クラウドネイティブアプリケーションを今構築している顧客から、『vCloud Airは必要なツールの提供が遅すぎるし、少ない』と批判されたらどう答えるか」と聞いてみた。答えは次の通り。
「vCloud Airの当初のターゲットは一般企業だ。セキュリティ、ネットワーク分離、既存および直近のアプリケーション、運用管理といった点が、これらの企業にとってクラウドネイティブアプリケーションよりも重要だ。しかし、今後積極的にこうしたアプリケーションをサポートしていく」。
例として、ゲルシンガー氏はCloud Foundryのサービスとしての提供を挙げた。「現在のvCloud Airで最も使われているサービスはCloud Foundryだ。従って、当社はPaaSによって(新たなタイプのアプリケーション構築)ニーズの一部をつかんでいると思う。今後もオブジェクトストレージ、Continuous Integration、Kubernetesの成果などを提供していく」。
「しかし当社は、企業アプリケーションを補完するものとして提供していくつもりだ。なぜなら、新しい開発モデルを実践したい企業は、ハイブリッド的に(クラウドにも、社内にも)デプロイできるようにするはずからだ。これが当社のユニークな優位性だ。クラウド・アプリケーションであっても、企業のデータにアクセスする。従って、多くのクラウド・アプリケーションは社内にデプロイされなければならない」。
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