米HPE、「DevOpsで“やるべきこと”は、はっきりしている」:伝統的な大企業でも、変化に対応できなければ必ず破綻する(2/2 ページ)
2013年ごろから注目を集めているものの、いまだ理解が十分に浸透しているとは言いにくい「DevOps」。だが昨今は、市場変化の激しさを受けて実践に乗り出す企業が着実に増えつつある。米HPE(ヒューレット・パッカード・エンタープライズ)で多数のコンサルティングを手掛けているカン・タン(Kan Tang)氏に、今あらためてDevOps実践の要件を聞いた。
既存のDevOps環境をパイプライン化することが大切
ただ、既にDevOpsに取り組んでいる企業の場合、さまざまなOSSや商用ツールを組み合わせて、独自にDevOps環境を構築している例が多い。例えば、継続的インテグレーションツールの「Jenkins」、構成管理ツールの「Chef」「Puppet」などだ。
だが継続的インテグレーションツール、継続的デリバリツール、構成管理ツール、テスト自動化ツールなどを、それぞれバラバラに使っている状態だと、前述した4つのバリューストリームを連携させることは難しい。加えて、開発部門、運用部門、あるいはプロジェクトチームごとに独自にツールを選定・使用していることも珍しくない。そこで同社では、既存のツールにAPI経由で連携させることで、「一連のフィードバックループを構築する上で、足りない部分を埋める」製品群を用意しているという。
例えば、その中の一つが「HP CODAR」という製品だ。HP CODARは、アプリケーション開発における各フェーズで必要となるリソースをサービスメニュー化し、リソースプールから自動で切り出して提供する製品。いわゆる“Infrastructuer as code”を実現する構成管理ツールで、Chefなどで使った構成管理のワークフローをトポロジカルに画面に表示し、ドラッグ&ドロップ操作で可能とする。これによりスピーディで確実な構成管理を実現する。
この他、アプリケーションのGUI機能部分とバックエンドサービス部分の両方に対応した自動テストを作成し、繰り返し実行できるテスト自動化ツール「HP UFT(Unified Functional Testing)」、リリース後の運用監視を担い、改善のフィードバックに役立つ情報を提供するアプリケーション監視ソフトウエア「HP Site Scope」、ビジネスプロセスからシステム要件、テスト結果、不具合、ソースコード、ビルド情報まで、開発ライフサイクル全体にわたる情報を一元管理できるアプリケーションライフサイクル管理の「HP ALM( Application Lifecycle Management)」などを用意。
つまり、部門やチームによって既存のツールが異なる中でも、その上にかぶせるようなイメージで製品を組み入れる。これにより、開発、テスト、リリース、運用、フィードバックに至る「4つのバリューストリームをエンドツーエンドで連携させる」とともに、一連のフィードバックループを迅速かつ安定的に回せる“標準化されたDevOps環境”を整備するという考え方だ。
変化に対応できない企業は、いずれ破綻する
タン氏は、「Fluid ITの領域は、Webサービス系のみならず、従来型の大企業にもあります。DevOpsによってFluid ITに対応していくことは、あらゆる業種の企業にとって欠かせない取り組みになります」と力説する。
実際、これまでも変化への対応ができずに事業継続が困難になったケースは多い。例えば米国出版業の例が挙げられる。電子書籍への対応を積極的に進めたバーンズ・アンド・ノーブルは業容を拡大させる一方、対応に消極的だったボーダーズ・グループ(Borders Group)は経営破綻に追い込まれた。伝統的な産業であっても、変化への対応を怠れば破綻する。
「著名な経営学者のマイケル・ポーターは、戦略を作る五つの力として、新規参入業者、代替品、供給業者、買い手、競争業者を挙げました。注意していただきたいのは、これらは全て外部の力であり、内部からはコントロールできないということです。変えるとすれば社内です」(タン氏)
DevOpsの取り組みは、企業を内部から変える取り組みの一つ。タン氏は、「業界、テクノロジは大きく変わっており、人々の生活も変わっています。生き残るためには変化していかなければなりません。もし変化を拒否すれば、5年後には存在していない――そうした覚悟を持って、DevOpsに取り組んでほしいと思います」と力強く訴えた。
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