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Windows as a Serviceを正しく理解しませんか――Windows 10とOffice 2016のブランチ更新概論その知識、ホントに正しい? Windowsにまつわる都市伝説(42)(1/4 ページ)

「Windows 10はWindowsの最後のバージョン」となり、「Windows as a Service」で継続的にセキュリティ更新と新機能が提供されるといわれています。Windows 10から導入されたWindows as a Serviceの考え方、まだきちんと認知されていないようなので、筆者なりにまとめてみました。

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連載目次

アップデートとアップグレード、混同しちゃうと誤解する!

 「Windows 10はWindowsの最後のバージョン」とは、今後、後継バージョンが開発、提供されないということではありません。これまでのように、数年ごとにリリースされてきた「製品としてのWindowsバージョン」が提供されなくなるということです。

 Windows 10以降は「Windows as a Service(WaaS:サービスとしてのWindows)」という新しいコンセプトに基づいて、継続的に最新のWindowsが提供されます。現在のWindows 10(ビルド10240)はその始まりです。Windows 7 Service Pack(SP)1やWindows 8.1からの無料アップグレード、または新規購入のWindows 10 PCを手に入れたら、そのPCが壊れて使えなくなるまで最新のWindows(の同一エディション)を無料で使い続けることができる、ということです。

 Windows 10はまだ誕生したばかりであり、Windows as a Serviceという新しいコンセプトはまだまだ認知されていないようです。Windows as a Serviceには「Current Branch(CB)」「Current Branch for Business(CBB)」「Long Term Servicing Branch(LTSB)」の三つの「Branch(分岐)モデル」が用意されていますが、これらをWindows Updateのタイミングの違いと認識しているのなら誤解があります。

 例えば、CBとCBBの違いは、“CBは完全に自動更新”“CBBはアップデートのタイミングを調整できる”というのは完全に間違いです。

 各Branchモデルの違いを簡単にまとめると次の表1ようになります。

Branchモデル 内容
Current Branch(CB、最適化モデル) コンシューマー向けのモデル。セキュリティ更新とバグフィックスは都度提供。新機能はリリースと同時に提供。LTSBを除く全てのエディションの既定
Current Branch for Business(CBB、企業向け最適化モデル) ビジネスユーザー向けのモデル。CBのおおむね4カ月後にBranchが始まり、セキュリティ更新とバグフィックス(不具合の修正プログラム)は次の次のBranchが始まるまでのおおむね8カ月間、都度提供。HomeおよびLTSBを除く全てのエディションで選択可能
Long Term Servicing Branch(LTSB、固定化モデル) 基幹業務システムなどミッションクリティカルなシステム向けのモデル。セキュリティ更新とバグフィックス(不具合の修正プログラム)は10年間のサポート期間中、都度提供。Enterprise LTSBのみ対象
表1 Windows 10(Windows as a Service)で用意されている三つのBranch更新モデルの違い

 三つのBranchモデルの他、今後追加予定の開発中の新機能をプレビュービルド(Windows 10 Insider Preview)で評価し、マイクロソフトにフィードバックできる「Windows Insider」プログラムがあります(画面1)。このプログラムは2014年10月に始まり、Windows 10の品質向上に寄与してきましたが、Windows 10正式リリース後も継続されています。Windows 10のリリース時のビルド番号は「10240」ですが、本稿執筆時点(2015年10月2日)でWindows 10 Insider Previewの最新ビルドは「10547」です。

画面1
画面1 Windows InsiderプログラムはWindows 10の「オプションの切り替え」で無料で開始し、Windows 10の品質向上や開発に参加できる。ただし、バグを多く含む開発中のビルドであるため、PCに詳しくないユーザーは参加するべきではないし、運用環境のPCに導入するべきでもない

 Windows 10のBranchモデルの詳細は、以下のマイクロソフトのドキュメントが最も詳しいと思います。ただし、英語の情報であることを別にしても、分かりにくい説明です。そこで、筆者の解釈に基づいて解説します。もしかしたら筆者が誤解している部分があるかもしれませんが、その点はご了承ください。

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