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ボランティアWi-Fiネットワーク構築集団「CONBU」の正体に迫るものになるモノ、ならないモノ(70)(1/4 ページ)

本業の合間を縫ってカンファレンスなどの「Wi-Fiネットワーク環境」を構築しているボランティア集団「CONBU」の活動実態に迫った。

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連載目次

「Wi-Fiネットワーク構築」のプロフェッショナル集団

 筆者を取り囲む6人の男性陣。ネットワークエンジニアのプロフェッショナル集団「CONBU(コンブ)」のコアメンバー6人だ。CONBUは主にネット系の大規模なカンファレンスや勉強会などのイベント会場において、会場ネットワークを構築し、インターネット接続を提供している。

 「プロフェッショナル集団」と言い切ってしまうと誤解を招くかもしれない。正確にはCONBUは、「Wi-Fiネットワーク構築のボランティア集団」だ。ただし、ボランティアとはいえ、その活動内容や現場での様子は、そこに報酬が発生しないというだけで、プロの仕事師以外の何者でもない。それゆえ冒頭で「プロフェッショナル集団」という言い方をさせてもらった。

 また、ボランティア集団と言っても、コアメンバーはネットインフラ系を中心とした名だたる企業から集まった10年選手のネットワークエンジニアたちだ。彼らはアフター5や有給休暇などを利用して、本業の合間に、各自が所属する組織とは切り離された形でCONBUの活動に参加している。いうなれば、“社外部活動”のようなものだろうか。


「CONBU」のコアメンバー。写真左から大本貴氏(ブロードバンドタワー)、田島弘隆氏(GenieNetworks)、東松裕道氏(DMM.comラボ)、岡田雅之氏(日本ネットワークインフォメーションセンター)、高橋祐也氏(所属は非公開)、熊谷暁氏(所属は非公開)

カンファレンス会場でのWi-Fiの必要性が高まる

 そもそも、なぜこのような集団が存在するのだろうか。田島氏によれば、一昔前は「カンファレンスでのネット接続は参加者個人でなんとかする」のが普通だったが、モバイル端末の普及に伴い、主催者側でWi-Fiを準備する例が増えてきたため、最近では「会場にネットワークがある前提で」カンファレンスに参加する人も多いのだそうだ。

 カンファレンス会場でのWi-Fi設置における最大のターニングポイントは、「TwitterやFacebookなどソーシャルメディアの普及だった」(東松氏)そうで、会場から「◯◯なう」とツイートしたり、写真をFacebookに投稿したりする“ネットのリアルタイム性”への注目と活用が契機になったということだ。

 また、登壇者のプレゼン資料をPDF形式で配布したり、セッションの模様をストリーミング配信したりするイベントが増加したことも背景にある。「後ろの方の席でスクリーンが見えづらい場合などに、現地にいながらストリーミング配信を見ている人も多い」(東松氏)のだという。

 ここで疑問に思うのは、カンファレンス会場でのWi-Fiネットワークの必要性が増しているのであれば、「主催者側で用意すればよいのではないか」あるいは「既に専門業者が存在するのではないか」という点だ。CONBUのようなボランティア団体が活躍しているのはなぜなのだろうか? これについて熊谷氏は、「大人数の接続に耐えるネットワークを構築するには、業務用機器の導入、設定など専門の知識が必要。専門業者もいるが、それなりのコストが掛かる」と説明する。

 最近では大規模ながら、無料、あるいは最小限の参加費のみで運営されるカンファレンスや勉強会も多い。こうしたカンファレンスでは、少しでもコストを抑えることが求められるのだろう。実際、2016年2月5日に筆者が参加した「エンジニアサポートCROSS2016」などは、充実した内容に加え、昼食まで準備されていたにも関わらず、参加費は無料だった。そしてそこでも、CONBUがネットワーク構築に一役買っていたのだ。


2016年2月5日に横浜の大さん橋ホールで開催された「CROSS2016」の会場でも、CONBUがWi-Fiネットワークを構築した

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