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【 sed 】コマンド(応用編)――正規表現を使って文字を置き換えるLinux基本コマンドTips(57)

本連載は、Linuxのコマンドについて、基本書式からオプション、具体的な実行例までを紹介していきます。今回は、「sed」コマンドの応用編です。

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 本連載では、Linuxの基本的なコマンドについて、基本的な書式からオプション、具体的な実行例までを分かりやすく紹介していきます。今回は「sed」コマンドの応用編を解説します。

sedコマンドとは?

 「sed」は「Stream EDitor」の略で、「sed スクリプトコマンド ファイル名」で、指定したファイルをコマンドに従って処理し、標準出力へ出力します。ファイル名を省略した場合は、標準入力からのデータを処理します。sedコマンドでは、パイプとリダイレクトを活用するのが一般的です。


sedコマンドの書式

sed [オプション]

sed [オプション] スクリプトコマンド 入力ファイル

※[ ]は省略可能な引数を示しています




sedコマンドの主なオプション

 sedコマンドの主なオプションは次の通りです。

短いオプション 長いオプション 意味
-r --regexp-extended スクリプトで拡張正規表現を使用する
-e スクリプト --expression=スクリプト スクリプト(コマンド)を追加する
-f スクリプトファイル --file=スクリプトファイル 実行するコマンドとしてスクリプトファイルの内容を追加する
-i --in-place ファイルを直接編集する
-i拡張子 --in-place=拡張子 ファイルを直接編集し、指定した拡張子でバックアップする(※「-i」と「拡張子」の間には空白を入れない)
--follow-symlinks -iで処理する際にシンボリックリンクをたどる
-n --quiet,--silent 出力コマンド以外の出力を行わない(デフォルトでは処理しなかった行はそのまま出力される)
-l 文字数 --line-length=文字数 lコマンドの出力行を折り返す長さを指定する(※「-l」と「文字数」の間には空白を入れる)
-s --separate 複数の入力ファイルを一続きのストリームとして扱わずに個別のファイルとして扱う
-u --unbuffered 入力ファイルからデータをごく少量ずつ取り込み、頻繁に出力バッファーをはき出す
-z --null-data NUL文字で行を分割する(通常は改行で分割)
--posix 全てのGNU拡張を無効にする

sedのスクリプトコマンド

 sedでは、「アドレス」と「コマンド」の組み合わせで処理を指定します。

 アドレスには行番号や正規表現による指定が可能で、省略した場合は全ての行が処理の対象となります。


●sedの主なスクリプトコマンド
コマンド 意味
= 現在の行番号を出力する
a テキスト テキストの追加。指定した位置の後ろに[テキスト]を挿入する(挿入するテキストに改行を含める場合は、改行の前にバックスラッシュを置く)
i テキスト テキストの挿入。指定した位置の後ろに[テキスト]を挿入する(挿入するテキストに改行を含める場合は、改行の前にバックスラッシュを置く)
c テキスト 選択した行を[テキスト]で置換する(挿入するテキストに改行を含める場合は、改行の前にバックスラッシュを置く)
q これ以上入力を処理せずに終了する(未出力分があれば、出力してから終了する)
Q これ以上入力も出力もせずに終了する
d 指定した行を削除する
p 処理した内容を出力する(「-n」オプション指定時は「p」コマンドがないと何も出力されなくなる)
s/置換前/置換後/ [置換前]で指定した文字列にマッチした部分を[置換後]に置き換える。複数マッチした場合は先頭のみ置換、全てを置換したい場合は、「s/置換前/置換後/g」のように「g」オプションを指定する
y/元の文字列/対象文字列/ [元の文字列]にあるものを、対象文字列の同じ位置にある文字に置換する(「tr」コマンドのように使用できる)
# コメント(スクリプト中、「#」以降がコメントとなる)



正規表現を使って文字を置き換える

 文字列の置き換えは、「s/置換前/置換後/」で行います。例えば、「s/jpg/jpeg/」で「jpg」を「jpeg」に置き換えることができます。

 置き換え対象の文字列には、正規表現を使用することができます。例えば、ファイル名の拡張子部分の「jpg」を置換対象にするのであれば、「行末にある.jpgを.jpeg」と考えて、「s/\.jpg$/.jpeg/」とします。

 「$」は「行末」を示す正規表現です。また、「.」は正規表現で「任意の1文字」という意味なので、「\」で意味を打ち消し「\.」で“「.」という文字そのもの”としています。

 なお、「\」記号はシェルでも特殊文字の意味を打ち消す(エスケープ)の意味があるため、引用符が必要です。

コマンド実行例

ls | sed s/jpg/jpeg/

(「jpg」を「jpeg」に置き換える)

ls | sed "s/\.jpg$/.jpeg/"

(行末の「.jpg」(拡張子.jpg)を「.jpeg」に置き換える(引用符が必要))(画面1


画面1
画面1 行末の「.jpg」が「jpeg」に置き換えた

※「ls」コマンドは、画面出力時は複数行(マルチカラム)で出力、パイプやリダイレクトでは1件1行で出力されますが、本稿に掲載した画面は結果を見やすくするために「-1」オプションで常に1件1行出力するように指定しています。





文字列の一部を取り出す

 「(〜)」を使うと、文字列の一部を取り出すことができます。

 置換前の指定で取り出したい部分を「(〜)」で囲み、置換後の指定で「\1〜\9」を使って取り出します。「\1」は1つ目「()」部分、「\2」は2つ目の「()」部分に対応します。また、対象となった行全体は「&」で参照できます。

 なお、「()」は拡張正規表現なので、「\(」「\)」のように「\」を付けるか、「-r」オプション付きで実行する必要があります。

コマンド実行例

ls | sed -r "s/(.*)\.jpg$/& \1.jpeg/"

(元の文字列と、行末の「.jpg」(拡張子.jpg)を「.jpeg」に置換したものを並べる)(画面2


画面2
画面2 元の文字列と、行末の「.jpg」(拡張子.jpg)を「.jpeg」に置換したものを並べた


sedの結果を使ってコマンドを実行する

 置換後の文字列がコマンド列となるように加工し、パイプで「bash」に渡すことで、コマンドを実行することができます。

 先ほどの置換を「mv image1.jpg image1.jpeg」のようになるように変更して、「-n」オプションと「s」コマンドの「p」オプションで置換処理を行った行だけを出力すると、次のようになります。

コマンド実行例

ls | sed -rn "s/(.*)\.jpg$/mv & \1.jpeg/p"

(「mv ファイル名 新ファイル名」となるように置換する)(画面3


画面3
画面3 拡張子「.jpg」を「.jpeg」に変更する、というコマンド列ができた

 この結果をパイプでbashに渡すことで、「mv」コマンドが実行されます。

コマンド実行例

ls | sed -rn "s/(.*)\.jpg$/mv & \1.jpeg/p" | bash

(置換した結果をbashに渡す)(画面4


画面4
画面4 置換した結果がbashに渡され、「mv」コマンドが実行された


筆者紹介

西村 めぐみ(にしむら めぐみ)

PC-9801N/PC-386MからのDOSユーザー。1992年より生産管理のパッケージソフトウェアの開発およびサポート業務を担当。のち退社し、専業ライターとして活動を開始。著書に『図解でわかるLinux』『らぶらぶLinuxシリーズ』『はじめてでもわかるSQLとデータ設計』『シェルの基本テクニック』など。2011年より、地方自治体の在宅就業支援事業にてPC基礎およびMicrosoft Office関連の教材作成およびeラーニング指導を担当。


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