ジュニパー、「自律運転ネットワーク」へのビジョンと国内ラボを発表:「SDN」を超えた完全な自動化を指向
ジュニパーネットワークスは2016年12月15日、ネットワークを自動車の自律運転になぞらえた「self-driving networks」のビジョンを説明し、国内に「OpenLabイノベーションセンター」を設置したことを発表した。
ジュニパーネットワークスは2016年12月15日、ネットワークを自動車の自律運転になぞらえた「self-driving networks」のビジョンを説明し、国内に「OpenLabイノベーションセンター」を設置したことを発表した。
米ジュニパーの開発・イノベーション担当最高技術責任者であるキリーティ・コンペラ(Kireeti Kompella)氏は、「SDN(Software Defined Networking)をself-driving networksと再定義したい」と話した。
「SDN」という言葉自体、人によって想起する意味は異なるが、狭い意味でしかとらえられていないのであれば不十分であり、目的とすべきはネットワークの構築・運用における完全な自動化だというのがこのビジョンの趣旨。コンペラ氏は自律運転車になぞらえ、ネットワークにおいても「自己検出」「自己設定」「自己監視」「自己修復」「顧客の自動検出」「自動プロビジョニング」「自己解析」「自己最適化」「自己報告」の達成をゴールとして考えるべきだと話した。
こうしたゴールを実現するために必要な技術は、「テレメトリ」「自動化」「目的の宣言」「意思決定」「ローカルおよびグローバルのビュー」だという。このうち最初の3つについては、改善の余地こそあるものの、ジュニパーの製品では既に実現しているという。
「テレメトリ」については、「JVision Sensor」という機能を搭載。ネットワークフロー情報だけでなく、CPU使用率やラインカードのキューの情報などをほぼリアルタイムで取得できるようになっているとする。「自動化」に関しては、NETCONFをはじめ、REST API、Ruby/Pythonのライブラリ、Puppet、Chef、Ansibleなど、多様な選択肢が利用できる。「目的の宣言」については、WANのためのSDNコントローラであるNorthstar、データセンターネットワークのSDNコントローラであるContrailを通じて実現している。だが、「何をやりたいか」をより抽象的にネットワークに伝えることで、ネットワーク側がこれを理解し、反映できるようにしていくべきだとする。
これからの分野である「意思決定」ではルールベースと機械学習の良いところを組み合わせた仕組みが求められ、「ローカルおよびグローバルのビュー」では、グローバルの情報を理解して、ローカルの判断を自動的にするような仕組みを開発していかなければならないという。例えばセキュリティの脅威への対応では、他のネットワークへの攻撃が見られると即座にその情報が把握され、自組織における防御が迅速に行えるようになることが求められるとする。
コンペラ氏は、self-driving networkの最終的な目的について、「多くのネットワーク事業者は、(事業が将来)持続不可能になると話している。私たちはネットワークの経済が機能するようにしなければならない。そのためには、段階的な改善では不十分で、大々的な変革が必要だ」と説明した。ただし、ゴールにたどり着くまでには、自動運転車と同様、長い年月が必要になるとも話している。
「OpenLabイノベーションセンター」ではハッカソンも開催
ジュニパーは合わせて、「OpenLabイノベーションセンター」を日本で設立したと発表した。これは現時点で活用できるジュニパーの自動化技術を体験し、理解してもらうための、ソフトウェアに焦点を当てた施設。米ニュージャージー州のラボにリモートアクセスして、同社の提供している自動化の仕組みを試したり、実証をしたりしてもらいたいという。同施設では教育やハッカソンの開催も考えているという。さらに、ソフトハウス、スタートアップ企業へのソリューション開発支援でも、この施設を活用していく。
ジュニパーネットワークス日本法人の技術統轄本部本部長である加藤浩明氏は、「ネットワークの世界における自動化を中心とした変革が、脅威になるのか判断が付かないので飛び込めない、あるいは新しい技術についていけないという危惧を持っている人は多い。こうした人たちの不安を解消するとともに、ソフトウェア開発者との関わりを深めていくのが、この施設の目的だと説明している。
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