レッドハットはOpenStackのマネージドプライベートクラウドを推進、Red Hat on Azureではマイクロソフトと共同パートナープログラム:国内事業の状況を説明
レッドハット日本法人は、次年度の重点活動について、OpenStackのマネージドプライベートクラウドの推進、Red Hat on Azureにおけるマイクロソフトと共同パートナープログラム展開などを説明した。
米レッドハットは2016年12月21日(米国時間)に59四半期連続の売上成長を達成したと発表している。同社日本法人代表取締役の望月弘一氏は、アジアが25%成長したといい、日本の数字は発表していないものの、「ほぼ同等の伸び」だったと話した。
日本法人が過去1年間、力を入れてきたのはクラウド基盤のOpenStack、IT構成自動化のAnsible、コンテナ環境のOpenShift、そしてパブリッククラウド上での製品提供。全てに成果があったという。
OpenStack製品は対前年比3倍と、市場の伸びを上回る売上増を達成したという。フリービット、ドワンゴ、NHNテコラスなど、特に通信サービス業、ネットサービス業における導入が進んだという。OpenStackをベースとしたNFVについては、国内大手キャリアが本格導入を始めようとしている。また、NECやNTTデータなどの大手SI企業が、レッドハットのOpenStack製品の展開にコミットしているという。
12月21日にはOpenStackディストリビューションの最新版、Red Hat OpenStack Platform 10を発表。サポート期間は従来の3年から、最大5年に延長している。
コンテナ基盤については、「DevOpsディスカバリセッション」という活動を通じ、20社を超える企業に対してDevOpsの社内推進に関するコンサルティングを実施してきた。導入実績は、過去数カ月で、SIerやサービスプロバイダだけでなく、一般企業に広がってきたという。
一方、OpenShift上で稼働するコンテナベースソフトウェアの認定制度、「OpenShift Primedパートナー」では、日立製作所のJustwareに続き、富士通のInterstage Application Serverを認定した。OpenShift Container Platformのサポート期間も、5年から7年に延長した。
クラウドサービス事業者と提携してレッドハット製品を提供する「認定クラウドパートナー」は2倍の成長。日本マイクロソフトとの提携では、Microsoft Azure上で、Linuxに加えOpenShiftなど、幅広い製品を提供できるようになったと望月氏は話した。
同社の中核事業であるLinuxでは、市場全体の伸びが7〜8%であるなかで、Red Hat Enterprise Linuxは「10%を大幅に超える2桁成長」(望月氏)を記録、JBossについては 数十%の伸びだったという。
OpenStackのマネージドプライベートクラウドを推進、Red Hat on Azureではマイクロソフトと共同パートナープログラム
望月氏は、過去1年間の実績を踏まえ、今後1年間はプライベートクラウドの導入およびハイブリッドクラウド活用の促進、IoT、モバイル、API関連の提案強化、DevOps/コンテナプラットフォームの導入促進、の3つに力を入れていくと話した。
具体的には、特に一般企業におけるOpenStack、OpenShift活用という観点で、マネージドプライベートクラウドを推進する。データセンター事業者/クラウドサービス事業者を対象としてパートナープログラムを拡大。技術者トレーニング、検証環境や参照アーキテクチャの提供といった活動を通じ、事業者が自社データセンター上に、各顧客専用のクラウドを構築し、運用を代行するサービスの普及を目指すという。
クラウド関連では他に、OpenStackにOpenShift、Ansibleを組み合わせ、パブリッククラウドと同等の効率性と利便性を実現できるプライベートクラウドを提案。また、Cloud Formsで、ハイブリッドクラウドの運用を支援していきたいという。
加えてレッドハットは12月22日、日本独自の取り組みとして、日本マイクロソフトと共同で統合パートナープログラム「Red Hat on Azure Partner Network」を発表した。これは1年間限定で、Microsoft Azure上でのレッドハットソフトウェアの提供を支援するもの。セミナーやイベントの開催、統合的な技術サポート、特別価格でのサブスクリプション提供などを行っていくという。
IoT/モバイル/API関連では、米レッドハットが買収した3Scaleの国内における本格展開を開始。また、企業におけるモバイル活用で「成功している例は一握り」(望月氏)であることから、Red Hat Mobile Application Platformを通じ、効率を高め。基幹システムとの連携を容易にする支援をしていくと話した。
DevOps/コンテナ関連では、上述のDevOpsディスカバリセッションを、年間200社のパースで実施したいという。また、OpenStackとOpenShiftを組み合わせたソリューションの普及を促進していきたいと、望月氏は話した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.