AWSが音声/ビデオ通話サービスAmazon Chimeを提供開始、何が新しいか:低料金をアピール?
米Amazon Web Services(AWS)は2017年2月13日(米国時間)、音声/ビデオ通話サービス「Amazon Chime」を全世界で提供開始した。このサービスで最も新しい点は、その提供アプローチにあるのかもしれない。
米Amazon Web Services(AWS)は2017年2月13日(米国時間)、音声/ビデオ通話サービス「Amazon Chime」を全世界で提供開始した。このサービスで最も新しい点は、その提供アプローチにあるのかもしれない。
Amazon Chimeは音声およびビデオによる通話、会議、チャットができるサービス。ミーティングはスケジュールして実施、あるいはその場で開始できる。Windows、Mac OS X、iOS、Android用にアプリが用意されているが、Webブラウザでも基本的な機能は利用できる。
無料で1対1の音声通話あるいはビデオ通話、チャットが行える。有料プランは1ユーザー当たり月2.5ドル、15ドルの2種類があり、15ドルのプランでは音声会議を最大100人。ビデオ会議はWindowsアプリでは最大16人(iOSでは最大8人)が参加できる。現時点ではAndroidデバイスからのビデオ通話ができない。また、画面共有、録音機能や、安価でダイヤルイン(日本の場合1分0.008ドル)できる機能が用意されている。
短時間使ってみたところ、WindowsやAndroidアプリのユーザーインタフェースはシンプルで、操作もしやすい。試してはいないが、ビデオストリーミングサービスで見られるような、通話を終了せずに他のデバイスへ移れる機能もある。だが、Skype/Skype for BusinessやCisco WebEx、Googleハングアウトなどと比べると、特にユニークな機能は見当たらない。
Chimeの紹介ビデオには、「従来のソリューションに比べると3分の1のコスト」という表現が見られる(何と比べているかは不明)。低料金を最大のセールスポイントにしようとしているのかもしれない。
新サービスで最も興味深いのは、Amazon WorkDocs(ドキュメント共有)、Amazon WorkMail(電子メール)といったAWSの既存のオフィスユーザー向けサービスとのアプローチの違いだ。
Chimeでは、WebExなどと非常に似た、専用のWebサイトがある。そして、AWSを利用していない個人も、このサイトからアプリケーションのダウンロードや、サービスの利用ができるようになっている(有料サービスの申し込みもできるが、最終的にAWSアカウントが必要)。これもSkypeやWebExのユーザーにとっては当たり前だが、WorkDocsやWorkMailはAWS Management Consoleから管理者がユーザーを作成し、利用を設定できるだけだった。
もう1つの大きな違いは、Amazon.com(Amazon.co.jp)のアカウントをそのまま使える点だ。実際、筆者自身のAmazon.co.jpアカウントを利用して、簡単なユーザー認証の後、即座に利用を開始できた。ただし、AWSではスケジュール管理などの都合から、個人用のAmazonアカウントとは別のアカウントを作成することを推奨していて、Chimeのログイン画面からクレジットカード情報などの入力なしで作成できるようにしている。逆に、Amazonのオンラインショッピングサイトにこれを使ってログインしようとしても、「ユーザーが存在しない」といわれる。
これが意味することは何なのだろうか。グーグルがやってきたように、オフィスユーザー向けサービスを個人あるいは草の根から広げるルートを作りたいと考えているのは確実だろう。とすれば、WorkDocsやWorkMailについても、同様に個人が気軽にサインアップできるようになる可能性があることになる。
また、将来Amazon会員が個人として使えるコミュニケーションサービスとして、このAmazon Chimeを推進することになる可能性もゼロではない。
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