「“日本流”デジタルトランスフォーメーション」に貢献するクラウドプロバイダーの地力とは──NTTコミュニケーションズの林氏:Dell EMC Cloud Executive Summit 2017レポート
エンタープライズ向けにクラウドサービス「Enterprise Cloud」を提供するNTTコミュニケーションズ。この基盤は、企業が率先すべき「デジタルトランスフォーメーション」に極めて有効となるように設計されているとし、新たに「クラウドネイティブソリューション」の提供も開始した。同社は企業のデジタルトランスフォーメーションの取り組みをどう支援するのか。
「ITの力で、早く的確に顧客ニーズに応えられる企業が“勝つ”」。多くの企業が経営課題と目する「デジタルトランスフォーメーション」の実践には、クラウドの効果的な活用が必要不可欠である。
しかし、新しいやり方を取り入れるには多くの課題が立ちはだかるのも実情だ。変革を阻む障壁をどう乗り越えるか。アイデア創出、サービス開発、運用効率化など、変革に欠かせないプロセスをクラウドでいかに実現すればよいのか。
2017年1月31日に開催された、EMCジャパン主催「Dell EMC Cloud Executive Summit〜Disrupt yourself クラウドを武器に、挑戦のとき」で語られた、NTTコミュニケーションズが示す「あなたの会社」に向けたメッセージとは──。
「2つの異なるICT環境」をコントロールせよ
NTTコミュニケーションズのセッションでは、クラウドサービス部 クラウドエバンジェリストの林雅之氏が登壇。「日本流デジタルトランスフォーメーションの可能性」と題して、国内におけるデジタルトランスフォーメーションの課題を踏まえ、“日本企業”の実情に沿ったデジタルトランスフォーメーションのアプローチ方法をアドバイスした。
林氏はまず、国内におけるデジタルトランスフォーメーションの取り組み状況をさまざまな調査結果を基に解説。調査会社 IDCの調査によると、フォーブス・グローバル2000(米フォーブス誌による、世界の公開会社上位2000社のランキングリスト)に含まれる企業のCEOの3分の2が、「デジタルトランスフォーメーションを企業戦略の中心に据えるようになる」と回答したという。一方の国内企業も、今後3年間で最も重要と位置付ける経営課題として、約27.4%が「イノベーションの創出」を挙げた。しかしその中身に目を向けると、イノベーションをドライブするものが「デジタルである」という認識は低いという結果だった。
この調査結果の背景にあるのが、クラウドやIoT(Internet of Things)技術に対する意識の違いだと林氏は説明する。多くの日本企業の経営層は、これらの技術を「コスト削減」や「業務の効率化」「費用対効果」を実現するための手段と捉えていた。経営課題への対応や、新しいビジネス創造にまで考えが及んでいないのが現実なのだという。
その上で林氏は、「今、デジタルトランスフォーメーションで企業に求められていることとは、つまり、“ビジネスを拡大するために不可欠な要素への変革を行うこと”です。ビジネスを発展させて競争優位に立つには、他社よりも優れたサービスの開発や展開を、1日でも1秒でも早く実践することが重要になってきます」と述べる。例えば、自動車業界における自動運転やコネクテッドカー、リアルタイム車載情報システムといった取り組みは、もう夢の技術ではなく、「実用化はもう時間の問題」と思えるほどにまで開発が進んでいるのはご存じの通りだ。これは、製造の効率化やコスト削減ではなく、革新された技術と共にソフトウェア開発に注力したことで成果を上げている。ビジネス視点におけるシステム開発やサービス提供が極めて重要になったことを示す好例だ。
同様に、IT部門/情報システム部門の役割も大きく変わりつつある。林氏はこれから期待されるIT部門の役割と「やるべきこと」をこう提言する。
「全社的なクラウド活用を推進する組織になることが求められています。自社の従来事業やその延長線上にあるサービスのお守りをするのではなく、ITを活用した新しいサービスを立ち上げるミッションへシフトすることが必要です。その際には、イノベーションを起こしていく組織として、事業部門とパートナー体制を構築していくこともポイントになってきます」(林氏)
しかし、2017年2月現在の企業のIT環境は、イノベーションを起こす組織へと簡単にシフトできるほどシンプルな構造にはなっていないのが現状だろう。多くのCIOやITリーダーはこのことを踏まえ、どのようにスピードを高め、イノベーションを加速させるかに頭を悩ませている。同時に、いかに既存システムのオペレーションリスクやコストを抑えるかも変わらずに大きな課題だ。異なる2つの性質を持つIT環境を同時にコントロールしなければならないのだ。
ICT環境の最適化を通じて、デジタルトランスフォーメーション(経営改革)に貢献する
こうした企業の課題に対応するためにNTTコミュニケーションズが取り組んでいるのが、前述した異なる2つのITシステムに適したクラウド環境の提供だ。同社は現在、企業向けのクラウドサービスとして提供する「Enterprise Cloud」のサービス追加や機能強化を矢継ぎ早に行っている。例えば最近は、複数のパブリッククラウドをワンストップで効率的に運用管理できる仕組みや、ICTのガバナンス機能をサポートするクラウドマネジメント機能をリリースしている。
また、デジタルトランスフォーメーションに向けた具体的なソリューション提供も本格化させた。2016年11月、NTTコミュニケーションズ、NTTデータ、Pivotal、インテルの4社協業で、クラウドネイティブなソリューションの開発/提供に向けた共同検証や相互協力を行うことを発表した。このソリューションでは、アジャイル開発やDevOps導入を支援するコンサルティングから、サービスやアプリケーションの実装、それらのマーケットプレイス上への展開、Cloud Foundryを活用したクラウドネイティブな基盤の提供までを、4社が共同して行う。
「製造業を中心とした顧客を対象に、AI、IoT、ビッグデータを活用して新しいビジネスを創造することを支援していきます。アジャイル開発やDevOps、マイクロサービスといったクラウドに適した考え方やアプローチを取り入れることで、“スピード”と“柔軟性”を持ったビジネス展開を支援していきます」(林氏)
NTTコミュニーケーションズ自身も、グローバルクラウドビジョンを掲げて、自社と顧客の経営改革に貢献することに力を入れている。例えば、「2つのICT環境」を一元的にマネジメントする仕組みとして「SDx+M」をソリューションとして提供している。これは「SD-WAN」「SD-LAN」「SD-Exchange」といったソフトウェアデファインドネットワーキング(SDN)の技術と、マネージドセキュリティやマネージドICTサービスといった、運用管理のノウハウを組み合わせたものだ。
さらに、ビジョン実現に向けたM&Aや、グローバル規模でのデータセンターサービス、クラウドサービスの提供にも力を入れる。データセンター事業で世界シェア3位、クラウドマネージドホスティングの分野ではアジア地域でリーダーとして評価されている「絶対的な強み」を最大限に生かし、「企業のデジタルトランスフォーメーション=“経営変革”を、ICT環境の最適化を通じて貢献したい」と力強く述べ、セッションを締めくくった。
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提供:EMCジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2017年3月12日