OpenStack国内導入企業数は既に100社超え、レッドハットがDevOpsを軸に事業を拡大:2018年度の事業戦略を説明
レッドハットは2017年4月20日、国内事業戦略説明会で、OpenStack、OpenShiftなどの好調さをアピール、企業にとっての次世代IT基盤提供に向けた取り組みを強化していくと宣言した。
レッドハットは2017年4月20日、同社の2017会計年度(レッドハットの決算期は3〜2月)業績について報告するとともに、2018会計年度における国内事業戦略およびパートナーとの協業について説明、グローバルおよび国内で、OpenStack、OpenShift、DevOps関連製品などのビジネスが好調に伸びていることをアピールした。
OpenStackの国内売上は対前年比3.5倍、OpenShiftは 4倍
まず、2017年度における「Red Hat OpenStack Platform(以下、RHOSP)」の国内売上は 対前年比3.5倍、「OpenShift Container Platform」が 4倍だったとしている。RHOSPの国内導入企業数は、サービスの顧客を含めて100社を超えたという。
新たな事例としては、フリービットがRHOSPを使ったOpenStack基盤を拡大、併せてセルフサービスポータル構築のため、管理ツールの「Red Hat CloudForms」を新たに導入した。レンタルサーバを事業のフューチャリズムワークスは、IaaSサービスの基盤としてRHOSPとストレージソフトウェアの「Red Hat Ceph Storage」を採用したという。
レッドハットは特に日本におけるOpenStackおよびOpenShiftの普及に、ホステッドプライベートクラウドが1つのカギとなるとしており、2017年度に引き続き新年度もパートナーとの協業を拡大する。20社を目標にしているという。
ホステッドプライベートクラウドのパートナーとして、説明会には日本IBM、NEC、IIJ/アクティスが登場。日本IBMは、2017年3月に米IBMが発表した米レッドハットとの提携に基づき、RHOSPとCephを用いたホステッドプライベートクラウドサービスを提供。NECは「NEC Cloud IaaS」上のOpenShiftを使ったPaaS基盤サービスを紹介した。アクティスはIIJ GIOのVMware基盤上で、OpenShiftによるプライベート/パブリックPaaSサービスを提供すると説明した。レッドハットが「Red Hat Cloud Access」と呼ぶプログラムを使えば、ユーザーは既存のサブスクリプションの一部をクラウドに移行できる。
2製品に関するトレーニングも継続して強化。OpenStackでは累計受講者2000名、認定技術者800名、OpenShiftでは累計受講者500名、認定技術者200名を目指す。
他に、OpenStackでは通信関連事業者におけるNFVやパブリッククラウド事業者のサービス展開を支援、導入企業数を200社に拡大するとしている。OpenShiftでは富士通、NEC、日立との連携を強化、国内の対応アプリケーションを30種以上に増やす。また、後述のミドルウェア製品と連携させ、CI/CD、より広くはビジネスのデジタル化支援基盤として推進する。
「今後の開発基盤」に向けた取り組みを強化
加えてレッドハットが強化しているのは、OpenStackやOpenShiftと連携して動くDevOpsおよびミドルウェア製品群だ。「JBoss Middleware」と呼ぶミドルウェア製品群は全てコンテナ対応が終了。これに基づき、OpenShiftとの統合的な推進を本格化する。Java EE開発者が、新規および既存のアプリケーションを必要に応じてクラウドネイティブ対応していける、今後の開発基盤として訴求していくという。
新たな製品としては、API管理の3scale、構成自動化のAnsible Towerがある。3scaleはOpen API対応を完了。これを基に、FinTechへの普及を図る。Ansibleについても関心は高く、ワークショップは毎回短期間で満員になるという。
レッドハットは今後、OpenShift、JBoss、3scaleを活用して企業が新たなIT基盤を構築するための支援プログラム「DevOpsディスカバリーセッション」、Ansible Towerを活用した自動化推進のための「ITオートメーションディスカバリーセッション」を拡大提供し、企業としての導入につなげていきたいとしている。
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