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VMware Cloud on AWSについて、現時点で分かっていることVMworld 2017で提供開始を発表(1/2 ページ)

VMwareは2017年8月28日(米国時間)、同社イベントVMworld 2017で、「VMware Cloud on AWS(以下、VMC on AWS)」を提供開始したと発表した。サービス提供開始の経緯、VMware on AWSのユースケース、これまでVMwareとAmazon Web Services(AWS)が進めてきた作業、現時点での機能制限、今後の可能性など、2社の幹部たちが話したことをまとめた。

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 VMwareは2017年8月28日(米国時間)、同社イベントVMworld 2017で、VMware Cloud on AWS(以下、VMC on AWS)を提供開始したと発表した。サービス提供開始の経緯、VMware on AWSのユースケース、これまでVMwareとAmazon Web Services(AWS)が進めてきた作業、現時点での機能制限、今後の可能性など、2社の幹部たちが話したことをまとめた。


VMwareのパット・ゲルシンガーCEO(左)と、AWSのアンディ・シャシーCEO(右)

VMC on AWSとは、基本的にどのようなサービスか

 VMC on AWSはVMwareが販売し、サポートするクラウドサービス。VMwareはAWSデータセンターの一角とサーバを借りて、VMware vSphere、VMware vSAN、VMware NSXを統合したVMware Cloud Foundationをユーザーのリクエストに基づきAWSから借りたサーバに自動インストール。vSphere環境を構築・運用する。

参照記事:
「VMware Cloud on AWS」の、AWS、ヴイエムウェア、ユーザー企業にとっての意味は
画面で見るVMware Cloud on AWS。AWSで手軽に専有vSphere環境を構築

 VMC on AWSはクラウドサービスではあるが、単一物理マシンの上に複数テナント(複数ユーザー)の仮想マシンが共存するわけではない。各物理マシンを単一ユーザーが専有する。ユーザーはポータル上で、専有したい物理マシンの台数を指定して自社専有クラスタを構築する。そして、オンプレミスのvSphereと同じ管理ツールで運用できる。最小構成は4物理マシン。最大構成は、初期段階では16物理マシン。この間で、物理マシンを必要に応じて増やしたり減らしたりできる。

 VMwareとAWSの関係に関しては、VMwareが余剰キャパシティーを含めて、事前にサーバをAWSから調達し、プールしておくわけではないようだ。

 VMwareクラウドプラットフォーム事業部門の製品担当バイスプレジデント、マーク・ローマイヤー氏は、「顧客がサーバを借りた時点で、(このサーバの利用料を)支払う。使わなくなったら支払いはない」と話している。

 VMC on AWSは、VMwareによる直販と、VMwareパートナーによる再販で提供する。「リセラープログラムは、2018年の早い時期に立ち上げる」とゲルシンガー氏は話している。

VMC on AWSが誕生した経緯

 AWSのCEOであるアンディ・シャシー氏は、VMworld 2017で、VMware on AWS誕生のきっかけとして、大企業顧客からの強い要望があったと話した。

 「(大企業顧客は、)クラウドへの道のりにおいて比較的初期の段階にいる。私たちは長期的なクラウド戦略を策定している企業への働き掛けを進めてきたが、企業からは『なぜAWSはVMwareと協力しないのか。私たちは大きなエネルギーとリソースを費やしてツールを構築し、(VMware vSphere環境を)運用している。だが、AWSでは全く異なるツールを使わなければならない。AWSがもっと私たちにとって使いやすくならないのなら、従来のものを使い続けるだけだ』といわれてきた」(ジャシー氏)

 一方、VMwareのプロダクト&クラウドサービス担当COO、ラグー・ラグラム氏は、vCloud Airとの関係で経緯を説明した。

 ラグラム氏によると、同一の運用手法でプライベートクラウドとパブリッククラウドが利用できるという意味でのハイブリッドクラウドを実現するためにvCloud Airを始めた。だが自社で継続していくには、コストがかかりすぎた。ハイブリッドクラウドの考え方はいいが、サスティナブルな事業に育てていくにはパートナーが必要だった。

 AWSとは2008年ころからコミュニケーションをとり続けてきたが、こうした場で出た議論から、VMC on AWSが生まれた。2社のパートナーシップが決定したことを受けて、vCloud AirをOVHに売却した。

 ラグラム氏も、VMwareが顧客から、「パブリッククラウドはAWS、プライベートクラウドはVMwareを使っているので、両社が協力してほしい」という要望を受けていたと補足している。

「一般提供開始」は正確な表現でないのかもしれない

 速報記事のタイトルでは「一般提供開始」と表現した。だがVMwareは「イニシャルアベイラビリティ(Initial Availability)」だと説明している。

 では「イニシャルアベイラビリティ」とは何なのか。まずβテストに参加した50の企業・組織(日本企業ではリコー、野村総合研究所が参加)のうち、今後も利用したい組織から提供開始、その後利用を申し込んだ組織に順次対応していくということのようだ。VMware Clooud on AWSの紹介ページは「Contact Sales(営業担当者にご相談ください)」と記している

 不特定多数に提供できるようになっていることは確かだが、誰でも即座に利用できるわけではないので、「コントロールドアベイラビリティ」という表現が正しいのだろう。

なぜ、当初は単一リージョン、単一AZでしか提供されないのか

 当初、VMC on AWSは、AWSの米国西部(オレゴン)リージョンのデータセンターのみで提供開始される。また、単一のアベイラビリティゾーン(AZ)のみで提供される。

 一方、VMware CEOのパット・ゲルシンガー氏は、多数の顧客がこれまで、VMC on AWSに強い関心を示してきたと話している。同氏はβ版の利用を希望した約1000社から、50社に絞って検証を進めてきたとしている。

 そこで、「それほど顧客の関心が高いならば、なぜ当初単一リージョン、単一AZのみのサポートなのか」と質問してみた。

 ゲルシンガー氏は「エンジニアリングの問題だ」と答えた。

「エンジニアリングの世界には、『1、2、無限』という言葉がある。第1段階では対象を1つに絞って確実に成功させ、第2段階で拡張を進める。そして第3段階として無限にもつながる大拡張につなげる。顧客は第1段階が確実に遂行されることに確信が持てれば、自社の今後の計画に組み込んでくれる」(ゲルシンガー氏)。

 ただし、当初想定していたよりも、構築作業に手間が掛かっていることが影響しているようだ。実際、VMC on AWSは、VMworld 2017より前に提供開始されるといわれていたが、結局VMworld 2017までずれ込み、さらに実質的には「コントロールドアベイラビリティ」での提供開始となった。その理由については後述する。

現時点での機能制限には何があるか

 「機能制限」と表現すべきかどうかは別として、利用シナリオに影響を与えそうな課題が、今のVMC on AWSにはある。なお、ローマイヤー氏は数カ月単位、あるいは四半期単位でVMC on AWSの機能を強化していくと話しているので、東京リージョンにおける提供開始時までに解決される可能性がある。

単一リージョン、単一AZのみのサポート

 リージョンについては前述の通り単一リージョンのみ。VMwareは2018年にかけて世界中のリージョンに展開していくと発表している。ゲルシンガー氏は「2018年末までに、世界中の全AZをカバーしたい」と話した。また、単一リージョンだけであっても、複数のAZ(に属するデータセンター)でVMC on AWSが使えるならば喜ぶ顧客はいるだろうが、当初は単一AZのみだ。

 東京リージョンでの展開時期について聞いたところ、ローマイヤー氏は明言を避けたが、日本の顧客からの関心が高いことは認識しているという。

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