日本で発売の「Google Home」と未発売の「Amazon Echo」、スマートスピーカーの今:「スマートスピーカー」の今と近未来(1)(1/2 ページ)
Google Homeが日本に上陸した。グーグルは2017年10月5日、スマートスピーカー「Google Home」の日本発売を発表した。だが、スマートスピーカーの世界は、順風満帆というわけではない。3回に分けてスマートスピーカーの現在を探る連載の第1回として、主に米国におけるスマートスピーカーの利用実態を解説する。
Google Homeが日本に上陸した。グーグルは2017年10月5日、スマートスピーカー「Google Home」の日本発売を発表した。しかも、日本時間で同日の午前1時に米国で発表されたばかりのコンパクトで低価格な「Google Home Mini」が当初から投入される。
日本市場にGoogle Home Miniが最初から投入されるのは大きい。米国で売られてきたGoogle Homeは129米ドルという価格で、デザインも好き嫌いは分かれるところ。これに対してGoogle Home Miniは49米ドル。日本では6480円で販売される。オリジナルGoogle Homeに比べ圧倒的に安く、手が届きやすい。サイズは直径9.8cmとコンパクトで、デザインも存在感が少なく、日本の家庭にはこちらの方がはるかに適していると言えるのではないか。
一方、アマゾンジャパンは、10月初旬にGoogle Homeが国内発売されるという情報が流れたためか、同社のスマートスピーカーシリーズ「Amazon Echo」および音声アシスタント機能/サービスの「Amazon Alexa」を2017年中に日本で提供する予定だと、10月2日に発表した。
本記事では、Alexaの日本語対応がどうなるか正確には分からないものの、日本のユーザーにとっての、現時点で考えられる両者の違いを織り交ぜながら、Google Home、Amazon Echo、そしてスマートスピーカーの今を、独自の視点で浮き彫りにする。
「スマートスピーカー」なのか、何なのか
この種の製品を、どう形容すべきかは難しい。「AIスピーカー」という表現も見られるが、どの製品も「AI」という言葉で形容するほどの「AI度」は、現在のところない。グーグルのニュースリリースは、Google Homeを「スマートスピーカー」と表現。アマゾンジャパンのニュースリリースでは、Alexaを「クラウドベースの音声サービス」と表現しているが、Echoについては形容を省いている。
筆者は現在のところ、「スマートスピーカー」という表現を選んでいる。だが、Amazonはディスプレイ付きの製品や、カメラ付きの製品など、バリエーションを増やしており、「スピーカー」という表現もそろそろ限界と考えている。この種の製品に対応した分析ツールなどを提供しているVoiceLabsは、「voice-first device」と呼んでいる。
ただし、少なくともGoogle HomeおよびAmazon Echoシリーズは、「音声アシスタント」ではない。Google Homeの「頭脳」は「Googleアシスタント」で、Amazon Echoシリーズの頭脳はAlexa。こちらが「音声アシスタント機能/サービス」と呼ぶにふさわしい。
Googleアシスタントはスマートフォンで使える。iPhone用のアプリすらある。Alexaも、一部のスマートフォン機種に搭載されている。では、例えばGoogleアシスタントをスマートフォンで(しかも無料で)利用している人は、Google Homeを買う必要はないのだろうか。
Amazon Echoが自動車のドリンクカップホルダーにちょうど収まるといって、自動車で使っている米国人もいるが、基本的にGoogle HomeやAmazon Echoは、家庭のリビングルーム、ダイニングキッチン、その他の部屋に置いておくものだ。このこと自体が重要だ。わざわざPCを起動したり、スマートフォンに話しかけたりするのが面倒な用途に、利用しやすくなっている。ハンズフリーで、家族に話しかけるような感覚で利用できることを、少なくとも目指している。
関連して、「サービスを音声で完結できるかどうか」という問いも重要だ。Googleアシスタントのアプリでは「このような結果が見つかりました」と言って、結果を画面に表示することがある。
スマートフォンのGoogleアシスタントで、例えば「一番近い薬局は?」と聞くと「〇マイル圏内の薬局を検索しました」とだけ返事して、画面にマップとともに薬局のリストを表示する。一方、Google Homeでは、検索結果を1つずつ読み上げる。
また、スマートフォンのGoogleアシスタントで、「最新のニュースは?」と聞くと、動画ニュースのリストを表示する。Google Homeでは、これについても、ニュースを1つずつ読み上げるようになっている(従って多くの場合、「OK、Google、止めて」と再生を停止することになる)。
[2017/10/7追記]「次のニュース」と言うことで再生中のニュースをスキップできる。
全てのケースで音声による完結が実現しているわけではないが、できるだけ音声のみでニーズを満たそうという取り組みが見られる。
「何に便利なのか」は自明ではない
では、具体的に、スマートスピーカーはどんな用途に使われているのか。
市場で7割のマーケットシェアを獲得しているというAmazon Echoの用途は、米GeekWireの記事が引用している2016年の調査によると、1位から順に、「タイマーを設定」「音楽を聴く」「ニュースを聞く」「アラームを設定」「時間を知る」「ジョークを聞く」「スマートライトを制御する」「ショッピングリストにアイテムを追加」「有料音楽サービスに接続」「交通情報を聞く」「やるべきことリストを管理」「Amazon Primeで何かを買う」となっている。
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